そんな中、中田はこの爆破によって環太平洋地域が壊滅的な被害を受けることを指摘する。
それを防ぐために小野寺は自身の命を差し出すことを決意した。
世界海洋財団の支援を受けて計画が着々と進む中、結城は日本沈没の真実を知ると、小野寺のもとを訪ね和解の意を見せるものの、不意をついてケルマディック号を奪い、自ら死地へと向かうのだった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。
決行の時
A計画の決行まであと90分。
ISSからでもわかるほど、日本は異常な状態に陥っていた。
まもなく富士山は火を噴こうとしているのだ。
そんな中、目を覚ました小野寺は結城に無線で話しかける。
事の重大さに、さすがの山城名誉教授も急ぎ駆けつけ、海上は大騒ぎだ。
結城は小野寺に問いかける。
人に味わわせようとしていた思いを、自分自身で味わうのはどんな気分かと。
小野寺は結城を止めようとするものの、聞く耳を持たない。
すでに引き返してパイロットを乗せ換えるほどの時間的余裕もなかった。
小野寺は仕方なく、作戦を主導し指示すること――つまり結城の死を見届けることを決意する。
12時ちょうど、ついに核爆弾は爆発し、A計画は成功。
同時にD計画による大津波相殺のミッションがスタートした。
津波の高さは130mにも達し、爆心地より日本列島側・環太平洋側へと広がっていった。
実行までまもなくという中、それまで「小野寺さん」と呼んでいた結城だったが、かつてのように「デラさん」呼びに戻る。
結城は日本の役に立ちたかったこと、小野寺を死なせたくなかったことを告白し、そのまま海へ消えていった。
失ったもの
大津波は打ち消され、沈没を遅らせることには成功した。
その代償として富士山は噴火し、結城は命を落とし、それを目の当たりにした小野寺は心が壊れてしまった。
小野寺を乗せたヘリは浜松へと向かうが、その途中で噴煙と火山弾に巻き込まれ墜落してしまう。
そのころ山城名誉教授は、作戦の成功と、日本の沈没は避けられないことを発表していた。
楽観視していた国民がパニックに陥る中、結城への感謝と哀悼の意を表し、A計画の解散を宣言する。
中田は速やかにD-2計画を推し進める段取りをつける中、それを知らない者たちからすれば、結城を失い、小野寺を失い、富士山を失い、それで得られたものは何もないように感じられた。
小野田という男
とある長野の被災者キャンプを、六郎が訪ねる。
目的はそこに滞在している「小野田」という人物に会うことだ。
結城を失ったショックと墜落事故の影響で記憶を失っていた小野寺は、墜落現場に駆け付けたマコと呼ばれる女性と行動を共にしていた。
「小野田」という名前は、マコの聞き間違いによる呼びかけを訂正する者がいなかったからだ。
六郎は協力を要請し、その場を去る。
小野寺はまだ、記憶を取り戻すことが本当に正しいのかさえ悩んでいた。
しかし、記憶は失っても相変わらず勘の鋭さだけは失っていなかった。
今いるキャンプも、何度も小野寺の勘が功を奏してようやく見つけた場所だった。
だが小野寺は、ここもすぐに危険な場所となることを察知する。
キャンプのリーダーにすぐ避難を提案するものの、なかなか受け入れてはもらえない。
挙句の果てには、マコが数人の暴走した男たちに襲われかけているところを、何とか間一髪で助け出した。
マコを護れないのなら来ている意味はないと考えている小野寺は、マコと2人でその場を去っていった。
直後、このキャンプは小野寺の予想どおり、一夜にして壊滅することとなる。
【10巻のまとめ】
A計画は成功し、D計画の主導で大津波を打ち消すことにも成功します。
しかし、代償として富士山は噴火し、結城は命を落とし、小野寺の心は壊れてしまいました。
中田はすぐにD-2計画への移行を進めますが、山城名誉教授はついに日本沈没が避けられないことを公に宣言しました。
結城を死なせたショックで小野寺は記憶を失い、「小野田」という名前で被災者キャンプでマコという女性と共に過ごします。
相変わらず勘は冴えわたるものの、必ずしもそれが周囲から受け入れられるわけではありませんでした。
【10巻の見どころ】
この巻の見どころは、A計画の決行と結城の最期の姿です。
小野寺が結城の死を見届ける決意を固める場面は、友情と責任の狭間で揺れる人間の苦悩を鮮烈に描き出しています。
指示を出すということは、仲間の死を見届けるということ――その重さが、痛いほど伝わってきます。
核爆発と大津波の中で、結城が小野寺に「デラさん」と呼びかけ、真の想いを告げて消えていく場面は、涙を誘います。
かつての呼び名に戻った瞬間――そこには、2人の絆と結城の覚悟が凝縮されています。
その代償として富士山は噴火し、小野寺は心を壊し、記憶を失った「小野田」として新たな生活を始める展開は、物語の大きな転換点です。
記憶を失っても残る鋭い勘――小野寺の本質は変わらないものの、彼が背負った喪失感の大きさが、読者の心に重くのしかかります。
何を得て、何を失ったのか――その問いが、次の展開への期待を高めます。

次巻へ続きます。
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