「伊賀」と「甲賀」、二つの忍群が血で血を洗った「忍法合戦」から十数年の歳月が流れ、ある隠し里で甲賀と伊賀は合意の下に互いの幼い棟梁の甲賀八郎と伊賀響を許嫁とし、一つの「力」を生み出そうとしていた。
しかし八郎と響に受け継がれた「瞳術」により発動する桜花と呼ばれる未知の「力」に狙いを定めた魔術集団「成尋衆」が里を襲撃し、八郎と響の養父にして村の忍頭である服部響八郎をはじめ有力な忍者たちが次々と殺される事態に。
命を操る成尋の魔術によって響も身体をバラバラにされたまま傀儡と化し、八郎は仲間に助けられて辛くもその場から敗走することとなる。
その敗北から6年後、いったんは忍を解散しながらも修行を続けていた八郎のもとに甲賀・伊賀から8人の忍者が集い、徳川幕府の天海と柳生からが徳川の威光を取り戻すために成尋衆を排除する手助けを求めに訪れ、響を救うための八郎たちのリベンジが幕を上げる。
戦いのメンバーは以下の通り。
甲賀・伊賀連合:八郎、響、滑婆、蓮、涙、現、根来、式部、才蔵、七現
成尋衆:成尋、輪廻、涅哩、夜叉、孔雀
成尋衆の根城である鳳輦車へと乗り込み、2人ずつペアを組みながら4人の刺客を倒して響の四肢を回収するのが八郎たちの目的。
刑部と蓮が輪廻と相討ちに、七弦と涙のペアは七弦が身を挺して魔獣召喚を操る涅哩を撃破、才蔵と現のペアは才蔵が未来を見通す「宿命通」の持ち主である夜叉を心理戦で撃破した後に駆け付けた孔雀によって討たれてしまった。
他方、孔雀の持っていた響の四肢を回収した根来と滑婆はかつての同胞たちや蘇った輪廻に襲われることとなり、その場を一手に引き受けた根来が全員を道連れに命を落としてしまうのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
桜花を葬る為に阿吽坊が動き出す
鳳輦車の外では天海を守護する阿吽坊が動き出していた。
忍法で腕を2本新たに生やしながら戦う阿吽坊は、鳳輦車が動きを止めたことで崩壊が始まったことを察知。
鳳輦車が止まったことはその動力の一つであった「金剛楼閣」を操る副将の輪廻が死んだことを意味しており、阿吽坊は予め天海から受けていた命令通りに桜花を葬る為に鳳輦車へと乗り込んでいく。
桜花を葬る為にそれを発動しうる成尋・八郎・響のいずれかを殺すのが阿吽坊に与えられた任務。
鳳輦車の内部に侵入した阿吽坊は八郎と接敵し、決闘を挑もうとする。
しかしそこに成尋衆の下っ端である忍者たちが押し寄せてくる。
八郎は得意の瞳術でことごとく返り討ちににしながら、阿吽坊との戦いを仕切り直すのであった。
八郎と響の出生の秘密が明らかに
鳳輦車の中では、生き残っていた現・涙・滑婆がそれぞれ響の四肢を持って合流を果たす。
3人は阿吽坊と戦う八郎のもとに向かい、2人の戦いに割って入った。
水を差された阿吽坊はいったん退いて成尋を倒しに向かうことにする一方、現は才蔵から預かった眼を八郎に差し出し、自分の幻術と組み合わせることで桜花の真実と八郎・響の出生の秘密を浮き彫りにする。
才蔵の眼に残された記憶を幻術によって引き出し、かつての忍法対戦で弦之介と朧が自害した際、2人が同時に夫婦となり子を宿すことを願ったことから桜花が発動し、「弦之介と朧が子を成した世界」へと捻じ曲げられたことを知った。
そのときに生まれたのが八郎と響。
2人の存在が禁忌でありながらも甲賀と伊賀の悠久の平和を願ってできたものであることを知った響八郎は、弦之介と朧の遺志を継いで2人を守り抜くことを決意。
真実を知りながら戦う覚悟を固めた八郎たちは、響を蘇らせるのだった。
成尋vs阿吽坊
一足先に鳳輦車の天守閣に到着した阿吽坊は、成尋と対峙する。
身体にもう1人を宿し、阿坊と吽坊のタッグで挑みかかる阿吽坊だが、成尋は八郎の矛眼術のように敵意を反射し、阿吽坊を自滅に追い込む。
命を操る成尋の魔術「傀儡」にかかれば瞳に魅入られた相手の生も死も思いのまま。
阿吽坊は討たれ、鳳輦車の外でそれを察知した天海は残りの忍法僧と徳川の塀を集めて次の作戦に移行するのだった。
響の復活、孔雀が再び立ちはだかる
無事に蘇り八郎たちと再会を果たした響は、自分のために多くの犠牲が出てしまったことへの自責の念からすぐに自害しようとする。
滑婆が慌てて止め、八郎の説得で共に成尋を倒すために戦うこととなるが、それでもこのタイミングでなぜ成尋がみすみす響の復活を許したのか、疑問が残っていた。
そんななか、八郎たちの前に再び孔雀が立ちはだかるのであった。
【5巻のまとめ】
過去の忍法対戦で弦之介と朧が死の間際に幸せな未来を願い、桜花が発動した際に「弦之介と朧が子を成した世界」へと歴史が捻じ曲げられたことで生まれたのが八郎と響。
すなわち八郎と響は本来の歴史では生まれるはずのない存在だった。
出生の秘密を知った八郎は甲賀と伊賀の悠久の平和を願った弦之介と朧の遺志を受け継ぎ、戦う覚悟を固める。
そして四肢が揃った響が無事に意識を取り戻した。
共に成尋を倒すために前を向く中、八郎たちの前には孔雀が再び立ちはだかるのだった。
次巻へ続きます。
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