しかし、代償として富士山は噴火し、結城は命を落とし、小野寺の心は壊れてしまった。
中田はすぐにD-2計画への移行を進めるが、山城名誉教授はついに日本沈没が避けられないことを公に宣言した。
結城を死なせたショックで小野寺は記憶を失い、小野田という名前で被災者キャンプでマコという女性と共に過ごす。
相変わらず勘は冴えわたるものの、必ずしもそれが心から受け入れられるわけではなかった。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。
待つ側の人間
A計画の終了から3週間、小野寺たちがたどり着いた諏訪湖の避難所は生活も楽で、危険な感じもなく、穏やかな時間を過ごせていた。
テレビでは、緒形総理と中田がD-2計画の状況と協力を呼び掛けている。
かつては「為す」側だった小野寺は今は記憶を失い、ただの「待つ」側の「小野田」となり、どこか他人事のように感じていた。
しかし、今の状況は力を持った人間を放っておくほど楽観的な状況ではない。
ここにもD計画の関係者が姿を現し、小野寺を勧誘に来ていた。
マコも一緒ならばと、話を聞きに向かうためヘリに向かう小野寺だったが、ヘリに不具合が発生する。
これに的確な対応策を提案した小野寺だったが、記憶を失っていても相当な経験を持っていることは、誰の目にも明らかだった。
八ヶ岳山麓に張られたキャンプに着くと、六郎が忙しそうにしている。
六郎は小野寺に、諏訪湖近辺が数日以内に壊滅すると予告した。
そのうえで、D計画に協力すれば最良の環境とマコの安全を保障することを提案する。
六郎は小野寺に提供するつもりで用意していた潜水艇を、小野寺に見せる。
何かを思い出しそうになった小野寺だったが、無意識にそれを拒絶してしまった。
小野寺はよみがえりかけた記憶に恐怖を感じつつも、マコを護るためには六郎の提案を受け入れることが最良であることに頭を悩ませつつ、一度諏訪湖に帰っていった。
「為す」側からの招待を受けた小野寺たちに、諏訪湖の「待つ」者たちは冷たい態度を取り始める。
そんな中、危険域と化した諏訪湖からの避難を促すため、玲子たちレスキュー隊がやってきた。
自分に気付くこともなく、小野寺の名で呼びかけても反応せず、隣に自分以外の女を伴っていることに、玲子は少なからずショックを受けていた。
そんな中、海上の司令艦に戻り待機する玲子たちに、出動指令が出される。
小野寺たちは諏訪湖から避難する中、起こり始めた異変とそれに伴うパニックに巻き込まれ、脱出困難な状態に陥っていたのだ。
混乱の真っただ中、マコを見失ってしまった小野寺は、ついに力を求め六郎に連絡を取る。
そこへ現れたのは中田と、怒りとも悲しみともいえない表情を見せる玲子だった。
決死の救出
小野寺はすぐにヘリに乗り込むと、自ら操縦桿を握る。
熟練度の低い隊員が引き出すことのできなかった本来の運動性能を引き出し、高々度から地勢と状況を把握してしまった。
その姿は間違いなく、彼が小野寺であることを物語る。
そのころ、マコは4人の男とトラックで逃げ延びていた。
ガス欠で立ち往生しているところを、小野寺が発見する。
小野寺はその姿を発見するや否や、ヘリから飛び降りてしまう。
満身創痍で立ち上がったその姿は、木に当たって死ななければ何とかなるという捨て身の方法をとったが故のものだった。
4人の男に警戒心を隠さない小野寺だが、マコには一切手を出していない。
マコの説得で、全員を連れて避難することとなった。
荒れた地面、陥没した道路を協力しながら先に進むものの、とうとう危機的状況に陥ってしまう。
玲子に想いを寄せる先輩レスキュー隊員の堀田は、自分たちの乗るヘリにまで異常が出始めている中、全員の救助を決意。
そのためには、ヘリの操縦に熟練した小野寺を真っ先に引き上げなければいけない。
しかし、マコを助けたい一心の小野寺は難色を示す。
堀田の決死の説得で小野寺はこの作戦を受け入れ、ついに救出が始まろうとしていた。
【11巻のまとめ】
諏訪湖へと逃げ延びた小野寺たちでしたが、六郎からの勧誘はここへもやってきました。
彼らに協力すれば、マコともども身の安全が大きく改善されることを知ってなお、押さえつけている記憶が無意識に拒絶を示します。
そんな中、諏訪湖もまた危険域に入り、避難することとなります。
混乱のさなかでマコを見失った小野寺は、ついに力を求めて六郎へコンタクトを取りました。
ようやくマコを見つけたものの、避難する中で危機的状況に陥ってしまいます。
【11巻の見どころ】
この巻の見どころは、記憶を失った小野寺とマコ、そして玲子たちの決死の救出劇です。
小野寺が無意識に経験と勘を発揮し、ヘリ操縦で荒れた地形や混乱の状況を把握する場面は、彼の真の実力と過去の影を強く印象付けます。
記憶は失っても、体に刻まれた技術と直感――それが小野寺という人間の本質なのです。
マコを追いかけ、ヘリから飛び降りながらも危険を顧みず救出する小野寺の姿は、彼の勇気と人間性の輝きを描いています。
木に当たれば死なない――そんな無茶な計算で飛び降りる姿に、彼の覚悟が表れています。
また、玲子や堀田の決死の判断とチームワークが、緊迫した状況下での人間ドラマを際立たせています。
玲子が小野寺と再会しながらも、彼が自分を覚えていないこと、そして別の女性と共にいることへのショック――その複雑な感情が、救出劇にさらなる緊張感を加えます。
堀田の説得によって、小野寺がマコを一時的に置いて先に引き上げられることを受け入れる瞬間――そこには、全員を救うための苦渋の決断があります。

次巻へ続きます。
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