そんな状態でも川内は、自分にしか救えない患者がいると立ち上がった。
そして、手術に執着する三瓶に対して、川内が出した答えとは――
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。
術者交代
川内の治療について大迫に相談していた三瓶と綾野は、風間からメールで魚住部長の執刀している手術患者のCT画像を受け取った。
単純な脳出血ではなくアプローチを間違えると大変なことになると、画像を確認した三人は息をのむ。
そこへ、魚住部長の手術中に動脈瘤が破裂して止血できない、すぐに戻ってきてほしいと助けを求める風間からの電話が。
出血点を見つけられずに動揺する魚住は、星前と成増に手術台から下げられる。
輸血の在庫も底をつき、三瓶が戻るまでの30分間患者が持つかどうか、、
諦めかけたその時、川内が現れて目の前の患者を救うため、遠のく意識の中破れた血管を縫合した。
駆けつけた三瓶が手術室に飛び込むと、縫合を終えた川内はその場で意識をなくしてしまうのだった。
川内と三瓶の選択
それから、1時間しか記憶が保てなくなった川内。
なんとしても脳梗塞が出現するまでに手術したい三瓶に対し、川内は「手術はしない」と言い張る。
さらに1週間後、川内の記憶保持は30分に。
何度も説得を試みる三瓶だが、川内は頑なに手術を拒否する。
血行遮断が許される2分以内の吻合を目指す三瓶は、寝る間も惜しんで超微細手術の練習に励むが、過労で倒れてしまった。
院長に休養するよう言われた三瓶は、仕事から離れ川内に付き添い、「手術は諦める代わりにずっとそばにいさせてほしい」と言うのだった。
こうすると影が消えます
政治的な動きや、医大の思惑に巻き込まれる丘陵セントラル。
すべての影に光が差すことを求め続ける三瓶は、退職を決意する。
そして、川内は記憶が10分しか保てなくなった。
川内宅で朝から晩まで付きっきりの生活を始めた三瓶は、よく笑う川内を愛おしく思う日々を過ごす。
記憶保持はさらに10分から5分へと日に日に短くなっていった。
クリスマスの夜、もうほとんど記憶が保てない川内とともに讃美歌を聞きながら、三瓶は川内と出会った頃のことを思い出す。
影に光を当ててもまた別の影ができ、永遠になくならない「アンメット」。
どうやったら隈なく照らすことができるのか、答えを探す三瓶に、川内は心の中に光があればどんな暗闇も明るくなると、屈託のない笑顔で教えてくれたのだった。
緊急手術
ついに目を覚まさなくなった川内。
川内の妹リオは、三瓶に川内の日記の1ページを手渡す。
そこに綴られていたのは、手術を受けないことに決めた理由と、純粋で温かい三瓶への気持ち。
ふと、中枢低体温症を併発し身体が冷たくなった川内を見て、低体温により脳機能が保護されていると考えついた三瓶。
急いで丘陵セントラルに乗り込み、MRIを撮ってほしいと懇願する。
そして、MRIにより脳梗塞が完成していないことを確かめた三瓶は、丘陵セントラルの脳外科・救急部メンバーとともに川内の手術に挑む。
三瓶と同じく諦めずに超微細手術を練習し続けていた大迫も加わり、手術は成功した。
三瓶と川内の出会い
手術から2週間、未だ川内は目覚めない。
三瓶は川内の手を握り奇跡が起こることを待ち続け、二人の出会いを思い返す。
南アフリカでの授賞式、三瓶に興味を持った川内。
翌日、街で再会した二人は手術機器メーカーのムッタとともに、世界遺産のロベン島を訪れることに。
ロベン島へ渡る船で、ばったり綾野に遭遇した川内はとっさに三瓶とお付き合いを始めたと紹介する。
なんとなく口裏を合わせる三瓶だが、次第に綾野が川内にしつこく言いよることに苛立ち始め、「婚約したからもう付きまとうな」と言ったのだった。
婚約者として
ロベン島で新型ウイルスが見つかり、観光客は隔離されることに。
隔離中も婚約者として共に過ごす二人だが、三瓶は発熱しさらに別室での隔離を余儀なくされた。
三瓶が苦しむ中、日本を含む先進国の国民は島を出られることになるが、南アフリカ国籍のムッタと、感染者の三瓶は島から出ることが出来ない。
そして、川内も島に残り三瓶に付き添うことを選んだ。
目が覚めた三瓶に、婚約者として当然と微笑む川内。
三瓶と川内は婚約者のフリではなく、本当の婚約者になったのだった。
ずっと一緒に
回復した三瓶は脳外科医として島内を往診し、隔離は島内の爆発的な感染拡大から観光客を守るためだったことを知る。
くも膜下出血により倒れた島民を救うため、三瓶は島内での手術を決断した。
川内も手伝い、手術は成功に終わるがその患者も川内も新型ウイルスに感染してしまう。
今度は三瓶が川内に付き添い、無事に回復したあと二人は、2カ月間現地での医療活動に従事した。
新型ウイルス撲滅が宣言され帰国が目前に迫った二人は、ムッタの計らいでロベン島で結婚の儀式を行った。
そして現在、ロベン島で記念に撮った写真をじっと見つめる三瓶の手を、強く握り返す川内。
ようやく長い眠りから覚めた川内は、奇跡的にすべての記憶を取り戻していたのだった。
【17巻(完)のまとめ】
手術を受けないことを選んだ川内のそばで、片時も離れず寄り添い続ける三瓶。
ついに意識がなくなる川内だが、三瓶はあることに気が付き、一か八かの手術に挑む。
南アフリカでの出会いから、ずっと一緒にいると約束した二人はこれからも同じ気持ちで手を取り合うのだった。
【17巻(完)の見どころ】
この巻の見どころは、川内の命を懸けた選択と、それを受け止める三瓶の覚悟です。
手術を拒み続けた川内がついに意識を失い、絶望的な状況の中、三瓶は彼女を救う道を見つけます。
低体温により脳機能が保護されている可能性に気づき、緊急手術を決断するシーンは圧巻です。
また、南アフリカでの出会いや偽りの婚約から始まった二人の関係が、過酷な隔離生活を経て本物の絆へと変わっていく過程も感動的です。

この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
-
参考天才脳外科医の愛と献身、記憶障害を抱える婚約者の医師を救うことはできるのか―『アンメット』全17巻【ネタバレ注意】
続きを見る