青年漫画

堀田の犠牲、再びレスキュー活動に奔走する小野寺たちの奮闘『日本沈没』12巻【ネタバレ注意】

小学館/ 一色登希彦・小松左京
~前巻のあらすじ~
諏訪湖へと逃げ延びた小野寺達だったが、六郎からの勧誘はここへもやってきた。

彼らに協力すればマコともども身の安全が大きく改善されることを知ってなお、押さえつけている記憶が無意識に拒絶を示す。

そんな中、諏訪湖もまた危険域に入り、避難することとなる。

混乱のさなかでマコを見失った小野寺はついに力を求めて六郎へコンタクトを取った。

ようやくマコを見つけたものの、避難する中で危機的状況に陥ってしまう。

12巻のあらすじを振り返ってみましょう。

最後の救出

小野寺たちの救出作戦がついに開始される。

真っ先にヘリに引き上げられた小野寺は、ボロボロの体でヘリの操縦を担う。

玲子が降下しようとするや否や、ヘリが体勢を崩し、ローターに巻き込まれそうになるものの、小野寺の卓越した操縦でこの危機を乗り切った。

次々と救出が進められる中、マコを助けた4人は脱獄した死刑囚であることが判明する。

「助け出され、牢獄に戻されるくらいなら、ここで死んだほうがはるかに自由である」と考えていた彼らだったが、それでも堀田は助け出すことを選択する。

それは理屈ではなく、レスキュー隊員として人の死を見たくないという強い意志だった。

マコを引き上げ、最後の一人を救出しようとしたその時、小野寺は絶望的な予感を得てしまう。

自分の正体もわからない小野寺を真正面から認めてくれた人物、堀田に襲いかかる悲劇を知ってしまったのだ。

直後、堀田の足元が崩れ、トラックと共に火の中に飲み込まれていく。

辛うじて即死を免れたものの、もはや助かる見込みはなかった。

玲子の制止もむなしく、堀田はその場に自分を残し離脱するよう指示する。

それ以外に、残りの人間が生き延びる方法が無いのだ。

堀田は日本の未来を託し、ヘリと自分を結ぶワイヤーを切り離す。

その場を離れるヘリの中で玲子は小野寺に堀田を助けるよう懇願するものの、ボロボロの体で帰還の自動プログラムまでやり切った彼は、すでに意識を失っていた。

帰還したD計画のキャンプの外れ、玲子は持っていたサバイバルナイフで自らの髪の毛を切り落とし、絶望の叫びを上げていた。

助け合う心

日本沈没まであと5か月、すでに国土の27%が水没する中、回復し始めた小野寺は六郎たちと行動を共にし、民間D計画のキャンプでレスキューの一員として最前線に身を置き、相変わらず冴えわたる感覚を発揮している。

その日もまた、次の安全な土地を求めて3万人の大移動が行われていた。

玲子は未だ堀田の話ができるような精神状態ではない中、記憶が戻らない小野寺と昔のように話ができないことに葛藤を感じている。

マコと堀田に存在感のよりどころを見出した小野寺だったが、それは玲子の求める小野寺ではないことが、玲子を苦しめていた。

しかし、小野寺がそれによって救われたことは事実であり、4人の死刑囚たちも上層部の判断でこのキャンプに役割を見出し、再服役を免れている。

彼らにとって、自らを手繰り寄せてくれたものに身を寄せることは、決して間違っていることではなかったのだ。

そんな中、小野寺は隊列の直下に地殻変動の予測を出し、山津波が彼らを襲うことが判明する。

火と土に追い立てられた彼らは、必ずしも全員が助かったわけではなかった。

すぐさま玲子は、土に飲み込まれたものの中から生存者を探し始める。

小野寺もまた、その悲惨な光景に打ちのめされながらも、何千人倒れているかわからない彼らに声をかけ始めた。

助けを求めたところで来る者などいないはずだったが、この光景に何かを感じた2人の子供が、同じように倒れているものに声をかけ始めた。

これを機に生き残った者、動ける者が次々と協力して生存者を助け出す。

これが幸いし、直後降り始めた雨による土砂崩壊が起こる前に、難を逃れることに成功した。

わずかな希望

数日後、未だ雨が降り続く中、小野寺は玲子のテントに顔を出す。

中田から玲子に差し入れられた酒を届けに来たのだ。

一人で食事を摂る玲子だったが、なんだかんだいっても目の前に小野寺がいると食事がおいしいことに、悔しさを感じた。

酒を酌み交わす中、小野寺は自身の記憶に向き合おうと前向きになったことを打ち明ける。

マコが待っているからと早々とその場を去る小野寺に、玲子はいらだつ反面、かすかに生まれ始めた希望に喜びを感じていた。

そのころ、D計画が約束していた小野寺のための「翼」として、潜水艇ケルマディック2号を搭載したヘリが、ついに届けられるのだった。

【12巻のまとめ】

堀田の決死の救出により、小野寺たちは何とか難を逃れることに成功しました。

ただ、その代償に堀田の命が失われてしまいます。

玲子が絶望に打ちひしがれる中、小野寺は正式に六郎たちと行動を共にすることを決意します。

3万人の移動が行われる途中、地殻変動に多くの人が巻き込まれてしまいます。

助けなど来ない絶望的な状況で、たった2人の子供は生き残った者の意識を変え、互いに助け合うことでさらなる被害から逃げることに成功しました。

小野寺は自分も変えられるかもしれないと、自分の記憶に向き合うことを決意します。

そんな中、ついにケルマディック2号を搭載したヘリが、小野寺のもとに届けられました。

【12巻の見どころ】

この巻の見どころは、堀田の決死の救出と、小野寺たちの極限状況下での生存劇です。

ヘリの操縦を担うボロボロの小野寺が、玲子や隊員たちを次々と救出する場面は、彼の経験と冷静さが生死を分ける緊迫感を生み出しています。

記憶を失っていても、体に刻まれた技術――それが全員の命を繋ぎます。

堀田が死を覚悟して救出を選ぶ場面は、人命を守る覚悟と強い意志が読者の胸を打ちます。

理屈ではなく、ただ人を死なせたくないという純粋な想い――それがレスキュー隊員としての堀田の本質でした。

ワイヤーを自ら切り離し、日本の未来を託す姿は、涙なしには見られません。

その後、地殻変動や土砂崩れに巻き込まれる中で、子供たちを含む生存者が互いに助け合う描写は、絶望の中に希望が芽生える瞬間を鮮やかに描いています。

助けなど来ないはずの状況で、2人の子供が声をかけ始めたことで、人々の心が動く――この連鎖が多くの命を救うのです。

そして小野寺が記憶に向き合う決意を固め、玲子がわずかな希望を感じる場面――失ったものの大きさと、それでも前に進もうとする人々の姿が、物語に深い感動をもたらします。

堀田の犠牲と小野寺たちの奮闘、そして未来への希望が交錯する中、彼らの成長と覚悟が際立つ重要な巻となっています。
管理人

次巻へ続きます。

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