女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
常に患者のためにまっすぐで医局に問題を起こす朝田を野口教授が切り離そうとする一方で、その腕に惚れたERの鬼頭教授は朝田を手に入れようと画策する。
野口も加藤ではなく、ミキの兄にして朝田と因縁のある北日本大の軍司を推薦することに決め、一度は野望が終わったかに見えた加藤。
しかし「選挙制度そのものを変える」という抜け道を見出して選挙改革草案を作る一方、軍司が論文のためにバチスタを後回しにしていた患者も朝田の新しいバチスタ術式とともに救ってみせた。
選挙改革草案は「加藤が負けたら朝田はERに移籍する」という条件付きで鬼頭が教授会に通し、教授選が幕を開ける。
首の皮一枚つながった加藤だが、教授選では横綱相撲を見せる野口と、鬼頭自らが擁立した最強の候補者、国立笙一郎が立ちはだかることとなった。
朝田は国立にUCLAへの留学を持ち掛けられる。
朝田にはその腕に見合った最高の舞台がアメリカにある。
行かないでほしいと願う加藤たちをよそに、朝田はUCLAに行くことを宣言するのだった。
13巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
朝田の腹の内は読めない
UCLAに行くことを宣言した朝田に対し、本心なのか探りを入れる伊集院。
しかし朝田の腹の内は読めない。
ひねくれた国立の息子、真悟
軍司は明真と北日本大の技術交流として大事な手術を控えていた。
助手以下のメンバーは未定だが、執刀医の軍司は明真の敷地内で国立の息子、真悟が瀕死のスズメを眺めているところに遭遇する。
スズメは窓に当たって落ちてきたそうだ。
すぐに楽にしてやろうとする軍司に対し、真悟は皮肉をこめて「父さんなら助けられたかも。父さんは神様らしいよ」と言葉をかける。
それに対し軍司は「医者は、神様じゃない」と返し、その場を後にするのだった。
〈ひねくれた真悟を諭す軍司 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
伊集院も軍司のもとへ
軍司の手術の助手は誰が担うのか。
医局員たちは興味津々だったが、軍司は「サイコロを振らせて出目の大きかった者」とした。
結果、木原が第一助手、ミキがオペ看を務めることとなる。
朝田に見放されたと感じている伊集院もまた、朝田の背中を追うことから一歩身を引き、現実的に目指すべき医師像を軍司に求めて手術を見学する。
軍司がアピールするのは朝田や国立のような天才的な技術ではなく、誰にでもできる平凡な手術。
〈スタンダードな手術を選択する軍司 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
できるだけ患者の負担を最小限にするべく、アプローチの方法を変え人工心肺の使用も避ける朝田とは対照的に、軍司は伝統的なアプローチ、かつ人工心肺もあえて使用することを選択。
軍司は朝田へ挑戦状をたたきつけ、凡庸な医師たちへのアピールとしたのである。
わかりやすく、正しい手術。
〈軍司に惹かれる伊集院 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
伊集院は軍司の思想に魅力を感じ、軍司の派閥の飲み会に参加することに。
それを聞いた加藤は、伊集院も自分の手を離れていくかのように感じるのだった。
飲み会の場において、新参者の伊集院は末席。
しかし軍司はそんな伊集院にも気配りを忘れず、伊集院に手を差し伸べる。
〈伊集院を受け入れた軍司 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そこで伊集院は先輩である岡島と一緒に、軍司に直接指導してもらえる立場となった。
新たなVIP患者
翌朝。
早速、岡島と一緒に軍司の下につくこととなった伊集院。
担当するのは前市長でVIP患者の田原。
〈VIP患者の田原 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
看護師にセクハラし、指示を無視して酒とタバコは止めないなど、やりたい放題のオヤジである。
伊集院の急速な成長
伊集院は軍司の門下に入っても自分の腕を磨くことは怠らない。
先輩風を吹かせた木原は伊集院を第二助手として腕試しの手術を行う。
伊集院自身は「どんどん下手になってる」と自信喪失気味だが、周りから見れば急激に腕を上げているのは確かで、伊集院の目が朝田のせいで肥えているだけであった。
〈急激に成長している伊集院 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
ベテランの中田にいい練習法を聞くなど勉強熱心な伊集院に、木原や岡島など周囲の凡庸な医師は焦りを感じ始める。
機転を利かせる伊集院
岡島と伊集院は担当患者の木原の病室を回診に訪れる。
娘と孫娘がお見舞いに来ていた。
無愛想な孫娘からお菓子をもらった伊集院だが、病室を去った直後に緊急で呼び戻される。
〈田原の孫が喉を詰まらせていた [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
孫娘がお菓子をのどに詰まらせ、チアノーゼを起こしていた。
岡島がすぐに処置にかかるが、なかなか治らない。
救急隊が使用するハイムリック法と施そうとする岡島。
しかし伊集院が冷静に「ハイムリック法は成功しても内臓を損傷する恐れがあり、子供には危険だ」と止める。
〈機転を利かせる伊集院 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
代わりに伊集院は掃除機のノズルを孫娘の口にツッコミ、直接吸引して見事に救って見せた。
VIP患者の手術へ
軍司は伊集院の咄嗟の判断について一定の評価を与えつつも、スタンダードな方法であるハイムリック法を選択した岡島の判断に背いたことを問題視する。
〈伊集院を誉めない軍司 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
といっても、それは岡島の顔を立てるための方便。
個人的に伊集院へのフォローも欠かさず、伊集院も軍司の掲げるような替えのきくチーム作りを理想と感じて軍司の助手を自ら志願する。
〈助手を志願する伊集院 [医龍 13巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
軍司は「特別扱いはしない」といったんは断るが、岡島に代わって田原を直接担当することとなり、田原へのアピールも兼ねて田原の信頼を得た伊集院を助手とすることを決める。
田原の病状は心筋梗塞。酒とタバコのせいでバイパスに使えるグラフトの採取場所も限られる。
第一助手は木原。
伊集院を含め色々な人に朝田と比較されていると感じる軍司は、どこか危うさを感じさせながら田原の手術に挑むのだった。
【13巻のまとめ】
朝田に続き、伊集院も加藤の元を離れて軍司についた。
朝田から学んだ様々な知識と経験は伊集院を急激に成長させていたが、誰でもできる正しい手術という軍司の理念には反するもの。
そしてVIP患者の手術を軍司が執刀することとなり、伊集院がその助手を務めることとなる。
難しい手術に軍司はどう挑むのか。
次巻へ続きます。
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