倒壊と火災で戦後のような姿になってしまった都内は、犯罪と狂気に満ち溢れている。
そんな中六郎の立ち上げた民間組織案「D計画」が迅速で効率的に救援リソースを分配していくものの、これから日本がどうなっていくのか、その懸念は尽きることがなかった。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。
束の間の再会
玲子は先輩の堀田と雑種天国で飲んでいる。
物不足で飲み比べができないため、堀田は何時になくよくしゃべる。
その中で、本来の「D計画」の存在と、そこで活躍する潜水艇乗りの話を聞かされる。
姿を消して以来の小野寺の生存の可能性に、玲子は思わず表情を緩めるのだった。
次の現場で玲子は要救助者をすべて収容することに成功するも、自身の身に危険が迫る中で不思議と笑顔を見せていた。
建物の崩落に巻き込まれた玲子は、そのまま気を失ってしまう。
玲子が病院で目を覚ますと、ベッドの脇に小野寺が座っていた。
玲子の様子を心配した堀田は、玲子が緊急連絡先としていた小野寺に連絡を取っていたのだ。
久しぶりの再会に玲子は他愛のない話を切り出そうとするが、小野寺は涙を見せ、自分が弱くなってしまったことを打ち明けた。
2人が雑種天国へ向かうと、小野寺の無事をマスターが喜ぶ。
そんな様子を見て、玲子は人と深く関わってしまったことを後悔していた。
人と深く関わらないように生きているところは、2人とも似ているのだ。
小野寺がようやく玲子という存在に心を開きかけている中で、玲子の危うさを指摘しようにも話せない真実が重くのしかかっている。
うまく話すことができずにいると、そこへ田所が現れた。
小野寺が自分たちと活動していることを告げ、言えないことの多い小野寺をフォローする。
玲子は田所や小野寺の様子に違和感を感じていた。
周囲に別れを告げているように感じられたのだ。
雑種天国を出ると、小野寺は夜を共に過ごそうと提案する。
震災直後の非常時に罪悪感を感じている玲子に対し、これから何が起きるかを知っている小野寺に残された時間は多くない。
好意を抱く小野寺と過ごすことに幸せを感じる一方で、大切なものができれば弱みになってしまう。
小野寺もまた同じ理由で弱くなってしまったことに気付いた玲子は、覚悟を決める。
体を重ね幸せを感じ、深い眠りから覚めた時、もう小野寺の姿はなく、長い別れの朝となったのだった。
核という選択
幹事長の大柳に、山城名誉教授が接触していた。
D計画が導き出した日本の行く末と、それを「物理的に強大な力」で未然に食い止めるという案を提示する。
日本の国際的地位を高めるために核保有を主張している大柳にとって、これほど都合のいい話はない。
あくまで日本列島の沈没を信じているわけではない大柳に、この期に及んでこんな説得から始めなくてはいけないことを思い知った緒形総理は、辟易していた。
中田たちもすでに核による沈没抑止の可能性には気付いていたが、あえて触れずにいた。
それを永久に放棄することで国際社会での地位を築いた日本が、軽々しく口にできることではないのだ。
大柳幹事長の核保有の主張は、思いのほか大衆に受け入れられ始めている。
様々な思惑が存在する中、いずれにせよこのままでは日本は沈んでしまうことを周知させることが、喫緊の課題だった。
決断の時
世界の歴史上、これほど途方もない問題に直面した政治家はいないだろう。
まして京都や東京の惨事さえも、これから起こることを考えれば序の口に過ぎない上、解決の手立ては何もないのだ。
緒形総理は渡のもとで「D-2」計画の草案を受け取っていた。
渡に背中を押され、覚悟を決めた緒形総理は熊本へと向かう。
これによって、すっかり疲れきった田所は、しばらくD計画から離れることとなった。
テレビの生中継に、何か吹っ切れたような表情の緒形総理が映る。
熊本城から見える阿蘇山が、その日中に噴火することを告げ、もしこれが的中したならば同じように受け入れてほしい事実があるという。
廣田官房長官や大柳幹事長たちはもちろん、日本中の視聴者の前で、ついに日本沈没が公に語られたのだった。
【7巻のまとめ】
玲子と小野寺は久しぶりに再会し、互いに好意を受け入れ体を重ねます。
しかし、この日を最後に小野寺は再び姿をくらませることとなります。
一方、幹事長の大柳に山城名誉教授が接近し、核爆弾による日本沈没の阻止が提案されます。
中田たちが気付かないふりをしていたその可能性は、思いのほか大柳幹事長に力を与えていきます。
様々な思惑が交錯する中で、緒形総理はついに公の場で、日本沈没の未来を日本国民に明らかにしました。
【7巻の見どころ】
この巻の見どころは、玲子と小野寺の再会から描かれる、人とのつながりの重さと儚さです。
瓦礫に埋もれ瀕死の玲子を救った小野寺との再会は、温かくも切ない――互いに弱さを打ち明け合い、心を寄せ合う姿に胸を打たれます。
人と深く関わらないように生きてきた2人が、ようやく心を開き合う瞬間。
しかしそれは、同時に別れの始まりでもあったのです。
一方で、山城名誉教授が核保有を提案し、大柳幹事長の思惑と絡み合う政治的駆け引きは、日本沈没を前にした国家の葛藤を浮き彫りにします。
核という禁断の選択肢が、現実味を帯びて語られ始める緊張感。
中田たちが気付きながらも触れずにいた可能性が、政治の場で動き出していくのです。
そして何よりも、緒形総理が阿蘇山の噴火予知を引き合いに、日本沈没の未来をついに国民に告げる場面――物語の緊迫感を最高潮へと押し上げる、見逃せないシーンです。

次巻へ続きます。
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