しかし、この日を最後に小野寺はまたしばらく姿をくらませることとなる。
一方、幹事長の大柳に山城名誉教授が接近し、核爆弾による日本沈没の阻止が提案される。
中田たちが気付かないふりをしていたその可能性は思いのほか大柳幹事長に力を与えていく。
様々な思惑が交錯する中で、緒形総理はとうとう公に日本沈没の未来を日本国民に明らかにした。
8巻のあらすじを振り返ってみましょう。
命を賭けた演説
ついに言ってしまった。
日本の行く末が、公の知るところとなったのだ。
しかし、これでもまだ国民の納得には程遠く、緒形総理は自ら命を賭して目的を果たすつもりだった。
本当に阿蘇山が噴火すれば、熊本城も無事では済まない。
自らの死にゆく様を見せつけることで、納得させるのだ。
そのころすでに阿蘇山周辺では、火山ガスによりひっそりと多くの犠牲者を出していた。
刻一刻と阿蘇の噴火が迫る中、緒形総理は演説を続ける。
すでに事態は切迫しており、政府として有効な避難指示が出せないため、一人一人の判断でできる限り避難しなくてはいけないこと。
京都大震災から今日まで予知を公表しなかったこと。
D-2計画とは復興を目的とせず、国外への脱出計画であること――次々と告げていく。
熊本の人々は、ただならぬ緒形総理の様子から、その言葉が真実であるか、そうでなければ総理の気が触れたかのどちらかに間違いないことを確信する。
大半の者は後者であることを祈りつつ、この期に及んで周囲の者がどのように振る舞うのか、傍観するにとどまった。
核という希望
緒形総理の演説に対抗するかのように、大柳幹事長は別チャンネルに緊急出演する。
あくまで彼の狙いは核保有論を語ることであり、日本の沈没など全く信じていない。
解説のために呼ばれた山城名誉教授は、自身の晴れ舞台に意気込んでいる。
しかし、そこには泥酔した田所も呼ばれていた。
生涯最大の局面に張り切った山城名誉教授の解説が始まる。
しかし、それは大柳幹事長の思惑とは裏腹に、日本の沈没を肯定するものだった。
使い物にならない状態の田所をいいことに、山城名誉教授はD計画が導き出した結論を、自分が導き出したかのように語り出す。
そしてついに核爆弾による沈没阻止を語ろうかというその時、田所の拳が山城名誉教授の顔面を捉えた。
田所たちでさえも検討すべきかどうか迷っていたほどの結論を言い切られる前に、力ずくで止めに来たのかもしれなかった。
予言の成就
廣田官房長官の指示により、玲子や堀田を含む47名のレスキュー隊員は、D計画直属として熊本に派遣された。
これから起こるであろう大災害に向けて、待機を命じられたのだ。
ついに熊本では、噴火の兆候と見られる異変が相次いで起こり出す。
結局、避難を決断できたものはわずかで、多くはその場にとどまってしまっていた。
あまりに受け止めにくい大きな真実に、人は自ら考えることを放棄してしまったのだ。
ついに起こってしまった阿蘇の噴火に、緒形総理は喜びにも似た表情を見せる。
こうして史上例のない、予言された天災が全世界に中継され、凄惨な被害を映し出していた。
逃げ惑う人の中には、自身の発言を実行すべく、なんとか噴石に当たろうとする緒形総理の姿もあった。
150万人を超える死者を出した大災害の中、緒形総理は生きて帰ることができたものの、いよいよ大柳幹事長たちも日本の沈没を意識しないわけにはいかなくなっていった。
決別の時
阿蘇の噴火から3週間後、小野寺たちは補給のために神戸に入港していた。
まだ今回の災害群による被害がないこの都市には、かつての震災の記憶を残すべく、震災後の状態をそのまま残したメモリアルパークがある。
しかし、その光景は、これからやってくるであろう普通の光景の先取りとなってしまった。
被災して以来、久しぶりに神戸へと帰ってきた小野寺は、父への想いを馳せる。
しかし、突如小野寺の顔面に拳が叩き込まれる。
それは山城名誉教授によって意図的に歪められたD-2計画を刷り込まれた結城によるものだった。
まるで小野寺たちを売国奴のように罵り、その場を去る結城。
A計画の思惑通り世論が核保有に傾倒する中、世界中を巻き込む日本沈没阻止計画が、ついに開始されることとなった。
【8巻のまとめ】
緒形総理の予言どおり、阿蘇山は噴火し、150万人もの死者を出します。
自らも死ぬつもりだった緒形総理は生き残り、帰還することとなりました。
一方、大柳幹事長と山城名誉教授が目論む核爆弾による日本沈没阻止に、人々は希望を見出してしまいます。
山城名誉教授によってD-2計画を意図的に誤解させられた結城が、小野寺の前に姿を現し、決別を告げ去っていきます。
世論が核保有に傾倒する中、世界中を巻き込む日本沈没阻止計画が、ついに開始されることとなりました。
【8巻の見どころ】
この巻の見どころは、緒形総理が命を懸けて真実を語り、阿蘇山の噴火によってその言葉が現実となる緊迫の場面です。
総理が自らの死をもって国民を納得させようとする姿は、為政者としての覚悟と絶望を象徴しています。
避難するかしないか――あまりに大きな真実を前に、人々は思考を放棄し、傍観するしかありませんでした。
一方、大柳幹事長の核保有論の場に呼ばれた山城名誉教授が、日本沈没を肯定する解説を繰り広げる場面。
D計画の結論を自分の手柄のように語ろうとする山城を、泥酔したはずの田所が拳で止める瞬間は、衝撃的です。
阿蘇山噴火で150万人を超える犠牲が出る中、緒形総理の生還は皮肉にも核保有論を後押しすることになります。
そして神戸での結城との再会――誤解と憎悪に満ちた決別の場面は、物語に新たな悲劇性を加えます。
かつての仲間が敵対する構図は、分断される日本社会の象徴でもあるのです。

次巻へ続きます。
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