未曽有の大災害を前に政府は対策本部と委員会を設立するものの、田所の主張は表向きには受け入れられない。
廣田官房長官は秘密裏に田所を中心としたD計画を推し進める。
参加を悩む小野寺を説得するべく、情報学者・中田は相模湾の「次」を見てくるよう予言を伝えた。
4巻のあらすじを振り返ってみましょう。
予測の残酷さ
田所研究所の階下、「作戦計画D-1」の本部にメンバーが集結した。
しかし、この計画に不可欠な小野寺は、まだ合流していない。
彼は中田の予測に従い、京都へと向かっていた。
田所はオンラインで参加する緒形総理に、次に起こるであろう京都の災害予測を報告する。
中田は学者として「災害は確実に起こる」と断言した。
だが彼らにできるのは、あくまで予測を報告することだけだ。
その報告を受けた緒形総理が下した政治判断は――「このことを一切公表しない」というものだった。
京都周辺の数百万人を見殺しにする結論に、廣田官房長官は激しく反発した。
しかし、これがより巨大な災害の一部に過ぎないのであれば、根拠を説明できない予測の段階で公表するわけにはいかない。
予測が的中しようとしまいと、その根拠を追及されればD計画はそこで終わる。
最終的な結論が出るまで、D計画は秘密裏に動かねばならない。
政治家として、下さざるを得ない決断だった。
緒形総理は、田所たちの心情も察していた。
自分たちの正しさを証明するには、この予測が的中しなければならない――。
望んで出したわけでもない予測を他人に伝えてしまった以上、彼らにとってこの災害は「起こってもらわなければ困るもの」になってしまったのだ。
緒形総理や廣田の葛藤はもちろん、予測を導き出した中田も、その先を見据え始めている田所も、同じ苦しみを抱えているに違いなかった。
古都の終焉
小野寺は、京都の幼馴染・六郎を訪ねていた。
六郎は宗教に傾倒する母親を疎ましく思い、自室に引きこもることで、周囲に向けかねない憤りを抑え込んでいた。
小野寺もまた、子供の自分を理解しようとしない厳格な父親に憤りを感じていた。
話が通じず、自分を押さえつけようとする父親に、突発的に死を願ってしまったことがある。
1995年1月17日――その日起こった阪神大震災は、小野寺の願い通り父の命を奪ってしまった。
環境に絶望している六郎は、世界がどうにかなってくれないかと願っている。
小野寺はまさに、その「どうにかなってしまう」話をしに来たのだ。
明後日の朝、マグニチュード8クラスの地震が京都を襲う――。
六郎が煩わしい親や家が消えることを望むなら、それも仕方がない。
自分は確信に近い不安を感じているが、それを感じない大多数の人間を説得する言葉を、小野寺は持っていなかった。
地震が起こる4時間10分前、オートバイに乗った彼は京都を離れようとしていた。
1月11日9時56分――中田の予測とほぼ時間通りに、それは始まる。
オーロラのような空の異変が観測された直後、京都大地震が発生した。
葛藤を抱えながら六郎のもとへ戻っていた小野寺は、まさに倒壊しようとしている六郎の自宅から、彼と母親を救い出す。
この大惨事の中で生き残った六郎は、改めて力強く生きることを決意した。
小野寺は将来の再会を祈り、京都を後にする。
相模湾に続き、自分をすり減らしてもなお、何万もの助けを叫ぶ声に応えられなかった非力さを痛感した小野寺は、ついにD計画への参加を決意するのだった。
【4巻のまとめ】
田所や中田は緒形総理に、京都で起こる災害の予測を報告します。
緒形総理はD計画を表に出さないため、このことを公表しないという苦渋の決断を下しました。
小野寺は京都で大地震を目の当たりにし、幼馴染の六郎を救出するものの、大多数を見殺しにして逃げ帰ることしかできませんでした。
その無力感から、ついにD計画への参加を決意します。
【4巻の見どころ】
この巻の見どころは、京都を襲う巨大地震と、それを前にした人々の葛藤です。
緒形総理や廣田官房長官は、予測を公表すればD計画が潰れるという現実と、数百万人の命を天秤にかけなければなりません。
政治と人命、正義と使命――その狭間での苦悩が、リアルに描かれています。
一方、小野寺は幼馴染の六郎と再会し、それぞれが家族への憤りや絶望を抱えながらも、災害の現実に直面します。
六郎を救い出した小野寺が、自らの非力さを痛感しながらもD計画への参加を決意する場面は、物語の大きな転換点です。

次巻へ続きます。
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