桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。
海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。
その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。
海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。
商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまい、海老沢の知恵をそのまま借りてベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案をすることとなる。
希望条件から外れた提案に北川は怒ってしまい、その間ベテランエンジニアの斉藤という男性のカウンセリングを担当する井野。
しかしある程度時間が経つとベンチャー企業の社長秘書という提案が北川の心を揺さぶり、井野も真意を知らないまま「それを勧める理由を知りたい」という質問を受けてしまうのだった。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
人の悩みは気分で変わる
ベンチャー企業の社長秘書を勧めた理由について何も用意できていなかった井野は、直接面談で伝えるとしてその場を切り抜ける。
他方、エンジニア志望の斉藤との面談では「誰かからきちんと評価されたい」という本音を引き出した。
斉藤から本音を聞き信頼を得たと感じ、井野は改めて転職を成功させるべく気合いが入る。
ところがそんな井野の様子を見た海老沢は「いつまでもそんなしようもないことやってんじゃないよ!」と井野を叱責。
人生相談を受けても1円にもならない。人の悩みはその時の気分で変わる…。
じっくり話したからといって本心がわかるわけではなく、知識と経験で相手の本音を推測するのが転職代理人の仕事。
そもそも中堅メーカーで50代の斉藤に紹介できる求人は海老沢の会社ではほぼゼロであり、互いの時間を無駄にしないためにも「無理」ということを早く伝えるのが時間も労力も効率的な選択、このビジネスの視点が結局顧客の利益につながると説く海老沢。
叱責を受け凹む井野は、同僚の田口に慰めてもらいながらニッチな分野に特化した別の転職仲介業者を紹介するという選択肢があることを知る。
斉藤には別の代理店を紹介することを連絡しながら、井野は北川との面談に向け社長秘書を勧めた理由を考えるのであった。
転職は評価を確かめる機会ではない
斉藤を連れて早速エンジニアの転職に特化した業者を訪ねる井野。
その業者の社長自ら応対してくれることになったが、斉藤の「評価を受けたい」という言葉を聞くや「転職は評価を受けたり確かめたりする機会ではない」と厳しい言葉をかける。
人の価値や年収を決めるのは相場であり、面接ではその人の年齢や資格でしか判断できず、初対面の面接官が正しい評価などできるはずがない。
それでも紹介できる求人はあるとしながらも、社長はひとつ条件として「本気で転職を望むこと」を挙げる。
社長の言葉にドキッとした斉藤はもう少しじっくり考えることに。
そして数日後、斉藤は全員が中高年だけの技術者集団の会社に面接を受けてみることにするのだった。
ベンチャー企業の社長秘書を勧めた理由
北川との面談を翌日に控え、まだベンチャー企業の社長秘書を勧めた理由が見当たらない井野。
海老沢に教えを乞うのはしゃくだと、桜木の事務所で秘書をしている南を訪ねて相談する。
南もOLから転職してきた身であり、以前のように毎日同じ雑務の繰り返しではなく先生を近い距離からサポートすることにやりがいを感じている様子。
その言葉からヒントを得た井野は、海老沢のツテを使って北川を直接ベンチャー企業の社長に会わせてみることに。
その会社の女性社長である岡本も大手広告代理店から転職し、今は企業向け育児施設のサポート事業を営んでいる。
「保育士の質を維持しながら収益を拡大し巨大な市場を独占したい。アイディアさえ出してくれれば思いきって任せてしまおうと思う」
と切り出す岡本。
突然面接のような流れにされ北川は気を悪くするが、井野はベンチャー企業の社長秘書を勧めた理由として「トップとの距離」を挙げた。
常に人手不足なベンチャー企業なら社長秘書であっても有能ならどんどん仕事を任せてもらえる、いわば社長のパートナーのような存在になれる。
北川はその会社の経営基盤や将来性について自分なりに考えてみることにするのだった。
北川が社長秘書への転職を決意
転職について迷う北川は、アポなしで岡本を訪問し食事に連れていってもらうことに。
その日はちょうど岡本は海老沢と会食を予定しており、偶然にも海老沢も井野を連れてきていた。
その食事の場で海老沢は自分が岡本に独立起業を勧めたことを明かす。
岡本が論理的で理屈にあった怒り方をするところから経営者としての才能を見いだしていた海老沢。
海老沢は助成金を始めとする国の制度をうまく活用して起業することまで計算したアイディアを当時の岡本に提案し、思いきって提案にのったからこそ今がある。
そして北川にも当時の岡本と同じ印象を抱いた海老沢は、「岡本のように起業すれば成功する可能性がある」としながらも、「今は景気がそんなに悪くなく、起業には向かない」とアドバイスする。
不景気のときこそ助成金が多く能力が高い人も獲得しやすい、まさに起業するには絶好のタイミング。
また転職代理人でありながら起業を勧めることについても、今後の人材の紹介先と捉えれば結果的に会社の利益にも繋がるという。
海老沢の巧みな話術に丸め込まれ、北川も思いきって岡本のもとに転職することを決意。
これが井野にとって初めての転職成功にもなるのであった。
次の求職者は常識の足りない若者
井野が次に担当することになったのは、広告代理店勤めで見た目も爽やかな好青年の高島。
若くて雰囲気もよく、転職は楽勝と予想するが、今回も井野は苦戦を強いられることとなる。
口に焼きそばがついたまま面談に来る、履歴書の写真の表情がたるんでいる、履歴書の内容に空白が多い、など細かい点で無頓着であったり抜けているところが散見され、次第に不安になっていく。
できるだけ1から噛み砕いてアドバイスする井野。
井野の相談を受けた海老沢は、「彼くらいの非常識は大勢いる。普通のことだけでもできて常識を知れば彼も見込みがある」と判断。
そして人に「普通」を教えるためのヒントとして、行列ができるほど人気な定食屋のランチを奢ることに。
味も値段も量も食事がでてくるスピードも普通、それでも行列ができるほど繁盛する秘訣は店のなかにあると告げる海老沢。
果たしてその秘訣とはいったい何か、そしてそれに「普通」とどんな関係があるのか…。
【3巻のまとめ】
ベテランエンジニアの斉藤は技術者専門の仲介業者へ引き合わせ、自分の転職への本気度を見直させながら転職活動を進めることに。
他方、商社OLの北川は海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本を紹介しながら、ベンチャー企業の社長秘書はトップとの距離感が近くやりがいのある仕事も任されるポジションと説く井野。
海老沢の後押しもあって北川は岡本の秘書に転職することを決断し、井野にとっては初めての転職成功となった。
そして次の求職者は広告代理店に勤める高島という好青年。
しかし高島には細かなところで無頓着だったり常識が欠けており、「普通」をどのように教えたらよいか井野は悩むこととなる。
そのアドバイスとして行列の絶えない人気の定食屋に井野を連れ出した海老沢。
味も値段も量も食事がでてくるスピードも普通、それでも行列ができるほど繁盛する秘訣を探ることになるのであった。
次巻へ続きます。
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