一方で成長著しい八雲だが、まだまだ未熟であることを思い知る。
春子は桜庭の子を宿し、結婚することとなる。
そんな中、伊勢崎に恨みを持つ者が、化学テロを企てる。
八雲の機転で死者を出さずに済むものの、犯人の恨みを買ってしまう。
偶然現場にいた幼馴染の吉岡は有栖川の看護師としてDMATに参加することとなった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。
春子の出産と結婚式
春子がついに出産した。
そのころ、八雲はDMAT研修に講師として参加していた。
吉岡のサポート力は、経験不足な医師ではもてあましてしまうほどだ
海外での医療ボランティアを5年務めた経験は、長谷川も一目置いている。
紅美もまた自分のチームに欲しがるが、八雲は決して譲らない。
一番出場率の高い八雲のチームには吉岡の存在が不可欠なのだ。
八雲の携帯が鳴り、春子の出産が報告される。
皆で春子達を訪ね、新しい命の誕生を祝った。
息子の首がすわったころ、結婚式を挙げるという。
桜庭の生まれ故郷・伊豆諸島の神根島。
小さな島に昔からあるチャペルに八雲達は招かれることとなった。
神根島
3か月後、八雲達は神根島を訪れる。
かつての仲間たちが、出世頭の慶事を祝いに集まっていた。
春子が花嫁衣裳を身に着ける間、八雲と桜庭は家から閉め出される。
そこに桜庭の友人である池畑がやってきた。
夜に祝いの席を設けたことを報告に来たのだ。
しかし、自警団の団長である池畑は密猟者の報告を受けると、すぐにそちらに向かってしまった。
密猟者たちを追い詰めるも、あと一歩のところで逃げられてしまう。
後を追おうとした瞬間、乗っていた巨岩が転がり、足を挟まれてしまった。
命を救うための選択
タキシードを着た桜庭を先頭に皆チャペルへと向かう。
海沿いの丘に建てられた素晴らしい景色だ。
しかし、そこへ池畑の事故が伝えられる。
八雲達が現場に駆け付けると、浜辺で岩に足を挟まれ横たわる池畑の姿が目に入った。
しかもまずいことにそろそろ潮が満ちてくる時間だ。
八雲がすぐに診察すると、命の危機が迫る重症だった。
岩を持ち上げる設備等小さな島にはない。
すでにDMATの派遣を要請したが、到着まで2時間はかかるだろう。
八雲は挟まれた足の切断を決意した。
すぐに吉岡が準備をしてやってくる。
八雲は悪条件下で、海外経験もある吉岡が驚愕するほどのスピードで手術を終えた。
無事にヘリで搬送されていった池畑を見送ると、汚れた姿のままで結婚式が行われた。
首都圏直下型地震発生
その日は不思議な雲が空を覆っていた。
桜庭家は新生活に幸せを感じ、花田は合コンで持ち帰った女と朝を迎える。
長谷川は息子を保育園に送るため家を出る。
空にはカラスの大群が飛んでいた。
吉岡は出勤前の身支度を整え、非番の八雲はまだ寝ている。
突如、都内を大きな地震が襲った。
惨事を確信した長谷川は一番安全ともいえる病院に息子を連れて向かう。
サボるつもりだった花田も女を送りだし、病院へ向かうことにした。
八雲のPTSDを知る吉岡は八雲の家へ向かった。
パニックを起こしている八雲を吉岡が落ち着かせる。
2人家を出ると、長谷川と花田も様子を見に来ていた。
4人は病院へ向かう。
長い戦いの始まりだった。
希望の光
緊急対策本部が設置され、伊勢崎にも協力要請が入る。
ついに伊勢崎の半生を費やしてきた活動が実を結ぶ時が来たのだ。
すでに有栖川病院はさばききれない傷病者であふれかえるだろう。
最も被害が集中するであろう東京東部、一番大きな病院は有栖川だ。
まだ後方支援も期待できない初期に段階ではDMATを派遣する余裕もない。
そこへ、伊勢崎が切望する八雲のチームが到着した。
惨状を目にする八雲がまたパニックを起こす。
しかし、伊勢崎の言葉に奮い立ち、出場準備を始めた。
成長した八雲の頼もしさ、危険な現場に部下を繰り出す葛藤から伊勢崎は涙を流して八雲達を見送る。
八雲達は希望の光だった。
現場までの道のり
長谷川が配備された災害地医療派遣車・東京DMATカーを駆り出す。
消防の先導で電場へと向かうが、道は放置車両や瓦礫が邪魔をしていた。
誰かの身勝手は誰かの命を奪うのだ。
道中、以前工事現場倒壊事故で助けた高校生の山村が助けを求めてくる。
しかし、一番被害の大きい場所へ向かっている八雲達はその期待に応えられない。
状況を理解した山村が抜け道を案内し、DMATは無事に現場に向かっていった。
見送る山村は、八雲の助けになるため、看護師になることを目指す。
がれきの下
桜庭はヘリで現場に向かう。
向かう先は自宅付近だが、まだ春子と連絡が取れていなかった。
現場近くにたどり着くと、そこは火災旋風が起こり、一面火の海だ。
一番深刻な被害地区にたどり着く。
大きなショッピングモールの駐車場は臨時の医療基地と化し、搬送された多くの患者のトリアージが進められていた。
しかし、崩れかけた建物内にはまだ多くの人が取り残されている。
八雲達は余震の危険が迫る中、瓦礫の下の要救助者を助けるため、内部に入ることになった。
中では負傷の家族が残って救出を訴えるなど、避難も状況の把握も完了していない。
八雲は瓦礫の下から聞こえる、助けを求める声へ向かっていく。
すぐに瓦礫に足を挟まれた負傷者が見つかった。
一見大けがには見えないが、八雲は阪神大震災でも多発したクラッシュ症候群を懸念した。
瓦礫から助け出され、助かったと安堵した負傷者が突然急変し、笑顔のまま死亡する。
これを防ぐためには現場での適切な医療行為が必須なのだ。
幸いこの負傷者は適切な処置が功を奏したが、まだまだ瓦礫の下で助けを求める声は減らないのだった。
【5巻のまとめ】
春子に子供が生まれ、桜庭の故郷で結婚式が行われた。
途中、大きな事故に遭遇するが、八雲の成長した技術と決断で命が助かる。
平和な時間が流れる中、突如とうきょうを大地震が襲った。
春子と連絡が取れない不安を抱えながら、桜庭も八雲も現場に出場し、瓦礫の下の命を救っていく。
【5巻の見どころ】
この巻の見どころは、春子の出産と結婚式、そして突如として襲いかかる首都圏直下型地震の緊迫した救命活動です。
新たな命の誕生に喜ぶ八雲たちですが、結婚式の最中に桜庭の友人・池畑が事故に遭い、八雲が命を救うための究極の決断を下します。
静かな島の幸せな光景が一変し、災害医療の現実が突きつけられる場面は圧巻です。
そして、結婚式後に襲う未曾有の大地震。
パニックに陥る八雲を仲間が支え、彼は再び医師としての使命に立ち向かいます。
崩壊した街、迫る余震、救える命と救えない命——極限状態の中で繰り広げられる人間ドラマが胸を打ちます。

次巻へ続きます。
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参考災害現場の最前線で人命救助に奔走するヒューマンドラマ『Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜』全11巻【ネタバレ注意】
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