エリーゼもまた悲劇を止めるべく頭を悩ませていた。
そんな折、リンデンはエリーゼを祭りに誘い出し、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすと、ついに指輪を送り求婚した。
幸せを噛み締めるエリーゼだったが、悲劇の発端となる皇帝派と貴族派の対立はエスカレートし、とうとうそれぞれの派閥に属する伯爵同士で決闘まで行われてしまう。
リンデンと甘い時間を過ごすエリーゼのもとに瀕死の伯爵たちが運ばれてきたのだった。
12巻のあらすじを振り返ってみましょう。
緊急手術
ドリスン伯爵は肝臓を損傷しショック状態に、メルキト伯爵は心臓を損傷しさらに深刻な状態だ。
どちらも困難な手術だが、グレアムの助けもあり、二人は奇跡的に命をとりとめた。
エリーゼとリンデンにとっては政敵となるメルキト伯爵は、自身が助けられたことを疑問に思い警戒するものの、医師として平等に自身を助けたことを知り、心から感謝を告げる。
自身の派閥に不利になることでなければ、どんな願い事でもかなえようと申し出るメルキト伯爵に、エリーゼは安静にするよう願うのだった。
そのころ、支配者が暗殺された共和国ではクーデターが勃発していた。
帝国が介入することで、関係の改善を目論む会議が開かれる。
すこし気弱になっている皇帝はリンデンに対処を任せることにした。
しかし、その時皇帝が倒れ、入院することとなる。
父の病に動揺したリンデンだったが、エリーゼが慰め、支えとなることを誓うのだった。
婚約式
ついに婚約式が執り行われることとなった。
病床の皇帝も、婚約式と結婚式には必ず出席するつもりでいる。
ただし、半日はかかる伝統的な儀式は体への負担も大きい。
エリーゼは皇帝の健康状態を懸念していた。
式の当日、控室のリンデンとエリーゼにもとに姿を現す皇帝は、さらに体調が悪そうに見えた。
それでも式は滞りなく執り行われ、皇帝が祝辞を述べる。
リンデンと皇帝が祝杯を酌み交わし、喜びを味わうのもつかの間、皇帝が血を吐き倒れてしまった。
すぐにエリーゼは応急処置を施し、皇室十字病院へと搬送していった。
毒を盛った疑いでリンデンは捕らえられ、貴族派にとっては千載一遇のチャンスが訪れる。
チャイルド伯によるリンデン失脚のための計画をミハイルは苦渋の表情で承諾するのだった。
貴族派の策略
チャイルド伯の指示で民衆はすっかりリンデンに疑いを持つようになっていった。
当然あらぬ疑いであるものの、皇帝派はすぐに潔白を証明できないでいる。
そんな中で、貴族派から緊急議会の開催が要請された。
状況からリンデンの関与を主張する貴族派と、あくまで法にのっとり明確な証拠を求める皇帝派は互いに一歩も譲らない。
しかし、現在最高司法権を持つ立場となったミハイルが、ほかの原因が明らかにならない場合、リンデンが罪を問われることになると宣言してしまった。
こうして皇帝派は、エリーゼがまた奇跡を起こしてくれるのを願う以外にできることは無くなってしまったのだった。
皇帝の危機
皇帝はなんとか危機を脱出するものの、依然として油断のできない状況が続く。
冷静さを失いつつあるエリーゼにグレアムが休みを取るよう諭した。
軟禁されているリンデンのもとへ向かい涙を見せるエリーゼだったが、そこへ皇帝の急変が伝えられるのだった。
エリーゼは直ぐに緊急処置をはじめ、皇帝が急変した原因を探る。
疑わしき病気にあたりをつけるものの、確証はない。
しかし、一刻を争う状況に、エリーゼはリンデンから手術の許可を取り付けた。
困難を極めた手術だったが、エリーゼは何とか原因を除去することに成功する。
しかも、これまでの体調不良の原因だったであろう病変まで見つけてしまった。
万全な体調には戻れずとも、回復の見込みが立ったことにエリーゼは安堵するのだった。
【12巻のまとめ】
医師として平等な治療を提供したエリーゼに、敵派閥のメルキト伯爵も素直に感謝していた。
皇帝は体調を悪化させる一方、ついに婚約式が執り行われる。
無理を押して出席した皇帝だったが、突然血を吐き倒れてしまった。
毒を盛った疑いで捕らえられたリンデンだったが、なかなか潔白が証明できない中で、貴族派がリンデンの失脚を目論む。
一時持ち直した皇帝が再び急変し、エリーゼが手術をすることとなる。
何とか一命を取り留め、さらには回復の希望を見出すことができたのだった。
【12巻の見どころ】
この巻の見どころは、政敵メルキト伯爵をも平等に救うエリーゼの医師としての姿勢と、心からの感謝を告げる伯爵の変化です。
また、婚約式当日に皇帝が倒れ、毒の疑いでリンデンが捕らえられる急展開は息を呑む緊張感を生みます。
民衆と議会の疑念が高まる中、エリーゼはリンデンの潔白を信じ、皇帝の命を救うべく奮闘します。

次巻へ続きます。
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