途中、大きな事故に遭遇するが、八雲の成長した技術と決断で命が助かる。
平和な時間が流れる中、突如とうきょうを大地震が襲った。
春子と連絡が取れない不安を抱えながら、桜庭も八雲も現場に出場し、瓦礫の下の命を救っていく。
6巻のあらすじを振り返ってみましょう。
地下の惨事
八雲達は地下駐車場へたどり着いていた。
明かりをつけると、目に入ったのは、露わになった断層。
地下鉄やパイプラインが縦横無尽に走る埋立地は、震災時に予想もしない姿を見せていた。
すぐに急を要する負傷者が見つかる。
狭いスペースで大腿骨解放骨折した患者に応急処置を行う。
しかし、天井が低く点滴がうまく落ちなかった。
やむを得ず吉岡に点滴を手動で流させ、八雲のみが次の場所へ向かう。
そこでは、開店前の客従業員、搬入業者が多数負傷していた。
すぐにトリアージが進められ、応急処置を始まるものの、絶望的に手が足りない。
吉岡の手が欲しいが、彼女は先の患者につきっきりだ。
八雲は周囲を見渡すと、吉岡の下へ走り出す。
またも即興で問題を解決し、吉岡の手を空けることに成功した。
余震発生
突如大きな余震が発生する。
災害現場の鉄則は救助者の安全確保が第一だ。
自身が被災する2次災害を起こせば、助けられる命も助からない。
八雲達は作業を止め、要救助者たちの必死の声を背に受けながらその場から避難した。
一方、桜庭も軽症者を引きつれ、外へと非難していた。
その時、目の前の壁が崩れる。
桜庭はその下にうずくまる親子の姿に、春子と息子・輔の姿を重ね、災害時の鉄則など忘れ、思わず2人を助ける為に飛び込んでしまった。
ようやく外にたどり着いた八雲達はすぐに外の患者の処置を始める。
しかし次の瞬間、それまでいたショッピングモールが倒壊してしまった。
さらに、現場を指揮しなくてはいけない桜庭も、大けがを負って運ばれてきた。
すぐに命にかかわる状態ではないが、もう救助活動ができる状態ではない。
今や管轄一番の出場数を誇るDMATのNo.1ドクターであり、成長著しい義兄。
桜庭は八雲に現場を任せ、搬送されていった。
少しでも多くの命を助けようと、頑張っても頑張っても限界はあった。
新しく映った医療拠点の学校にも、いくつもの遺体袋が安置されている。
八雲は救えなかった命の数に打ちひしがれていた。
しかし、すでに死者700人を出している大災害はまだ初日でしかなかった。
集う救援
八雲達の下に紅美と村上が駆けつける。
有栖川には西から全国から派遣されたDMATが応援に入り、都内を熟知する紅美達が現場へ出場することができるようにまでなっていた。
今日の八雲達の役割は、現在いる医療拠点での活動になる。
入ってくる重症患者は多く、一度に搬送できる数は少ない。
救急患者を受け入れながら、赤タグ患者の状態維持もしなくてはならない。
今日もたまた厳しい1日になりそうだった。
村上は花田を見つけると、合コンで抜け駆けされたことを咎め追いかける。
そんな様子に八雲は少しだけ気持ちを楽にしていた。
そこに外科医・橋本率いる横須賀DMATが支援にやってくる。
橋本は吉岡の元彼だ。
それに気づいた長谷川が吉岡をからかう。
これから始まる戦いを前に少しリラックスした雰囲気が流れていた。
現場の統率
拠点のリーダーは、この学校の嘱託医をしている老医師だ。
次々と運ばれる重傷者を前に余裕がなく、スタッフたちにも厳しく怒鳴り散らしている。
この規模の災害に対応できているとは言い難かった。
このままでは、医療が救急の足を引っ張ってしまう。
八雲は老医師を説得し、いったん休憩に入らせる。
八雲はこの3年間の知識を総動員し、現場の指揮をを取り始めた。
スタッフの能力と、状況を把握し、助けられるものだけに配分をしていく。
1つでも多くの命を助けようとする八雲の信念は、はた目から見れば冷酷なものだ。
だが、現場を見ている橋本は間違いなく正しいその対応に驚愕していた。
実際、八雲が現場を統率し始めて、現場の組織が機能し始めた。
経験豊かな紅美もその様子に驚く。
橋本の暴走
現場では医療物資はいくらでも使える者ではない。
大量に使用した挙句患者が救えなければ、助かる患者が助からない。
当然、物資の振り分けもトリアージ同様、全体を見ながら配分しなければならない。
運ばれてきた重度の熱傷患者は、1時間状態をキープすれば優先搬送に回せる。
村上ならそれが可能だった。
だが、吉岡が輸液を取りに行くと、処置にもならない程度しか残っていない。
正義感が強く、周りがみえなくなる橋本が、こっそりと手元に貴重な輸液を確保してしまっていた。
橋本は自分の目の前の患者を見捨てたくない。
その歪んだヒューマニズムがほかの患者の命を脅かすのだ。
八雲は橋本を説得し、手元の輸液を引き渡す。
助けられなければ、すぐに切り替えて次の患者を助ける。
このような場所では医師は医療マシンにならければいけないのだ。
八雲もまた、患者を切り捨てることに何の感情も抱いていないわけではない。
人一倍臆病で災害にトラウマさえ持つ八雲がその決断をするのは、自分がやれば一番切り捨てを抑えられると確信しているからだった。
通勤途中の被災者
その日の朝、山根は満員電車で出勤していた。
妻と子は2人目の出産のために帰省している。
つまらない事でけんかをし、少し気まずい状態だ。
電車が地下に差し掛かった瞬間、地震が起こる。
脱線した電車の中は死者・負傷者であふれかえっていた。
山根は幸いにも壁に頭を打ち付けて昏倒する程度で済んだ。
だが、電車内の惨状を目にし、脱出を決意する。
線路伝いに駅にたどり着くと、反対車線の停止車両から逃げ延びた人でごった返していた。
突如校内に水が流れ込み、避難者は一斉に地上の出口を目指す。
パニックを起こした群衆は小さな子供を押しつぶそうとしていた。
自分の子供を重ねる山根はとっさの機転で子供を助け出した。
ようやく地上に出ると、もう昼過ぎになっていた。
必死に避難し、子供を母親に引き合わせ、ようやく生き残ったことを実感する。
ベンチで休息をとり妻へメッセージを送った。
その時、急な頭痛と吐き気に襲われ、意識を失う。
次に気が付いたのは救護所だった。
目の前の医師が赤タグ患者の処置を依頼している。
自分がその赤タグ患者なのだと理解したとき、目の前の医師はトリアージタグの赤を切り離した。
黒タグがつけられた山根の手が握るスマートフォンには、妻へ無事を知らせるメッセージが表示されていた。
テロ犯
映画館でテロを起こした青木は次の犯行にむけて準備を進めていた。
青木は両親を失っていた。
必死で生き抜こうとするが、底辺から抜け出すことができない。
半ばあきらめていたころ、同じ工事電場で働いていた花田が資格取得を進める。
当時の花田もまた医療事務の勉強をしていたのだ。
一念発起した青木は無事医療事務の資格を取得し、有栖川病院で働きだす。
だが、赴任してきた伊勢崎は災害医療のために財政緊縮を推し進め、同僚とトラブルを起こした青木はリストラの対象になってしまったのだった。
こうして青木は伊勢崎と災害医療への恨みをこじらせていった。
前回の事件はあくまで予行演習、今度は本気のテロを見せつける。
サリンよりも強力な神経ガスを抽出し、伊勢崎と八雲がテロを前に為す術もないことを思い知らせようとしていた。
出来上がった毒物を前に満足げにしていたその瞬間、地震が発生する。
毒の入った瓶は割れ、青木を倒れた家具が襲う。
春子も瓦礫の下敷きに
都内のベビー用品店。
地震により崩れかかった店内は商品が散乱していた。
瓦礫の下から1本の手がのぞいている。
傍らにある財布から飛び出したIDカードには、桜庭春子の名前が記されていた。
【6巻のまとめ】
桜庭が負傷し、八雲は現場の精神的支柱を託される。
助けられない命の多さに落ち込むものの、仲間とつらさを分かち合うことで乗り越えた。
2日目には重症患者が多く運ばれる医療拠点での活動を行う。
混乱する医療現場を指揮する決意をし、冷静かつ適切に患者を振り分けていった。
そのころ、まだ八雲や桜庭と連絡が取れていなかった春子は瓦礫の下にいた。
【6巻の見どころ】
この巻の見どころは、極限状態での医師たちの葛藤と成長です。
地下駐車場での負傷者対応では、八雲が点滴の工夫やトリアージの判断を即興で行い、限られた手で最大限の命を救おうと奮闘します。
さらに、余震によるショッピングモールの倒壊で桜庭が負傷し、八雲は指揮を任されることに。
圧倒的な医療資源の不足に直面しながらも、合理的な決断を下す姿は圧巻です。
また、過去の恨みからテロを計画する青木の悲劇が、災害の混乱と交錯し、緊迫感を高めます。

次巻へ続きます。
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参考災害現場の最前線で人命救助に奔走するヒューマンドラマ『Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜』全11巻【ネタバレ注意】
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