「伊賀」と「甲賀」、二つの忍群が血で血を洗った「忍法合戦」から十数年の歳月が流れ、ある隠し里で甲賀と伊賀は合意の下に互いの幼い棟梁の甲賀八郎と伊賀響を許嫁とし、一つの「力」を生み出そうとしていた。
しかし八郎と響に受け継がれた「瞳術」により発動する桜花と呼ばれる未知の「力」に狙いを定めた魔術集団「成尋衆」が里を襲撃し、八郎と響の養父にして村の忍頭である服部響八郎をはじめ有力な忍者たちが次々と殺される事態に。
命を操る成尋の魔術によって響も身体をバラバラにされたまま傀儡と化し、八郎は仲間に助けられて辛くもその場から敗走することとなる。
その敗北から6年後、いったんは忍を解散しながらも修行を続けていた八郎のもとに甲賀・伊賀から8人の忍者が集い、徳川幕府の天海と柳生からが徳川の威光を取り戻すために成尋衆を排除する手助けを求めに訪れ、響を救うための八郎たちのリベンジが幕を上げる。
数々の犠牲を出しながらも成尋衆を撃破するなか、八郎と響は過去の忍法対戦で弦之介と朧が死の間際に幸せな未来を願い、桜花が発動した際に「弦之介と朧が子を成した世界」へと歴史が捻じ曲げられたことで生まれたという真実が明らかとなる。
桜花の力と自分の出生の秘密を知った八郎は再び甲賀・伊賀の平和のために戦い続ける覚悟を固め、ついに響を復活させることに成功。
共に成尋を倒すために前を向く中、八郎たちの前には孔雀が再び立ちはだかるも、「時の逆鉾」を操り何度でも時間を巻き戻す孔雀を相手にその破り方を看破した八郎が勝利を挙げた。
他方、滑婆が成尋が自分にかけた魔術の効力があと1か月で切れることを掴むが、成尋は響の復活を許したとはいえ裏でその意識を操っていた。
響の裏切りによって現と涙が殺され、滑婆も負傷してしまう。
そして操られた響の前に八郎が対峙するのであった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
八郎の選択
鳳輦車の外では天海らが火矢を放って鳳輦車が燃え始める。
そんななか響とその背後にいる成尋と対峙する八郎。
成尋は八郎に「愛する者に斬られ死ぬか、桜花にて新たな歴史を創り出すか選べ」と選択を迫る。
滑婆が「成尋はもうすぐ死ぬ」という情報を八郎に伝え、響と共に逃げるように薦めるが、八郎は逃走ではなく桜花の発動を選択するのだった。
八郎が滑婆に残した伝言
燃え尽きる鳳輦車のなかから逃げ延びた滑婆は、外にいた天海たちに八郎からの伝言を伝える。
「忍びの世は終わり。此度の任務完遂を以て後の治世の剣としてのお役目、柳生に託すものとする」
果たして八郎の伝言の真意とは―。
成尋との最終決戦
桜花によって本能寺の変が再びやり直される。
全てを知る成尋は蘭丸と弥助と共に明智光秀の襲撃を返り討ちにするが、その並行世界に八郎と響が姿を現した。
蘭丸と弥助が斬りかかるも、響の盾眼術によって2人は霧散。
そのカラクリは、八郎が滑婆から受け取っていた夜叉の鏡にあった。
成尋に選択を迫られて桜花を発動した際、八郎は響の盾眼術を鏡で反射して響自身へと返すことで成尋の「傀儡」を破っていた。
つまり桜花によって作り出されたのは響を操っていた成尋の望む世界ではなく、八郎と響が作り出した夢幻の世界。
最後は全てを欲した信長と、運命を信じて何も望まなかった八郎・響の戦い。
2人は信長を倒し、「運命を変える」という行為を否定し、桜花と共に消えることを決意。
八郎と響は再び桜花を発動し、本来存在しえなかった自分たちの存在ごと消えることで歴史を元通りに戻すのであった。
エピローグ
本来の歴史に戻った世界では、甲賀・伊賀の頭領を務めた滑婆と根来が徳川家を支える忍の役目を柳生へと譲り、平和な暮らしを手に入れる。
あるべき運命によって導かれた流れ。
滑婆は目から自然と零れる涙の意味が理解できなかったが、歴史にも誰の記憶にも残らぬ戦いがあったことを無意識のなかで知っていたのだろうか。
それも確かめる術はなく、すべては散りゆく桜の花びらのように儚く移り変わっていくのだった。
【7巻(完)のまとめ】
鏡を使って響にかけられていた術を破った八郎は、響と共に成尋を倒すことに成功。
八郎と響は運命を変えることは望まず、「桜花」の力と共に自分たちの存在も消し去ることを決意し、再び桜花を発動。
本来の歴史に戻った世界では、誰も八郎と響の存在や尽力を覚えていないながらも甲賀・伊賀の忍者たちが平穏な暮らしを手に入れたのだった。
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