神話やおとぎ話のモチーフとなり、かつて怪物や妖怪などと称され迫害されていた、「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間たちがいる世界。
現在では、亜人たちは世間に「個性」として認められて一般社会に自然に溶け込み、社会的な弱者である亜人に対する「生活保障」が整備され、差別意識も希薄となり、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっていた。
新学期、大学時代から亜人に興味をもっていた高校の生物教師の高橋鉄男は、これまで一度も亜人に出会ったことがなかったが、おしゃべり好きでお調子者な「ヴァンパイア」の小鳥遊ひかり、頭と胴体が分離している「デュラハン」の町京子、暑さに弱い「雪女」の日下部雪といった1年生の生徒たちや、地味な服装にして異性を避けている「サキュバス」の新人教師佐藤早紀絵と、それぞれ「亜人としての悩み」を抱える彼女たちに囲まれながらの生活が始まった。
当初はただの興味の対象としか見なさなかった鉄男は、次第に教師として同僚として、彼女たちの話を聞きながら問題に向かい合っていく。
一方で、彼女たちは亜人である自分達に真摯に向き合おうとする鉄男のことを信頼し、町や早紀絵たちは次第に恋愛感情を持つように。
ひかりの妹であるひまりからの信頼も勝ち取り、雪女の雪の悩みも解決した鉄男。
しかしそんなある日、学校に2人の刑事がやってきた。
1人は佐藤先生の昔からの知り合いである亜人課の宇垣刑事、そしてもう1人は宇垣の後輩のクルツという少年。
果たして刑事である宇垣とクルツがこの高校に来た目的は―？
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
鉄男への恋心を募らせる佐藤先生
宇垣刑事と佐藤先生は昔からの知り合いで、宇垣刑事は父親のように佐藤先生のことを心配していたが、佐藤先生に「好きな人ができた」と聞いて驚く。
相手が催淫されないところに好意を抱いたと聞くと、宇垣刑事は「サキュバスに催淫されない人間はいない。ある程度亜人に詳しく、万が一催淫されることがあっても表には出すまいとしていただけだろう」と指摘。
鉄男があのとき自分にドキドキしていたかもしれないと知ると佐藤先生は恥ずかしくなり、逆に佐藤先生が鉄男に催淫されているかのようになるのだった。
鉄男と宇垣刑事が意気投合
宇垣刑事とクルツは亜人関係の事件を扱う「亜人課」の刑事であり、興味を持った鉄男はさっそく宇垣刑事に話を聞く。
他人に影響を及ぼす性質を持つ点で一線を画すサキュバスは、亜人課が扱う事件の大多数を占めており、宇垣刑事は常日頃から人となりを知るべく管轄内のサキュバスと積極的にコミュニケーションを取っているらしい。
話の中で意気投合し、宇垣刑事は鉄男が佐藤先生の意中の人であることを見抜いたうえで、佐藤先生や他の亜人の生徒たちのことを任せるのであった。
鉄男に好かれたくて勉強に励むひかりと京子
学力テストの結果、ひまりが2位、京子が5位と好成績を収める一方、雪は中の上、ひかりは最下位から2番目となった。
鉄男に嫌われたくない一心でひかりは京子や雪と勉強に取り組む決心を固め、触発されるように京子も1位を目指すことを決意。
そして宣言通り、京子はその後本当に1位を獲ってみせるのであった。
バンパイアが噛み付きたい腕とは？
バンパイアとして「吸血したい」という欲求は「血がほしい気持ち」と「かみつきたい気持ち」の合わせ技であると分析した鉄男は、さらに「かみつきたい腕の好み」についてひかりに検証してもらうことに。
京子の筋肉質な腕は65点、雪のしっとり柔らかく冷たい腕は93点である一方、鉄男の腕は固くて太くて毛深くて赤点という結果に。
さらに考察を深める鉄男は、「(他者を催淫するサキュバスである)佐藤先生の腕が一番美味しそうに見えると思う」とつぶやくが、傍から見ればセクハラ発言になってしまうのだった。
鉄男に叱られてしまう京子
ひかりがスキンシップとして鉄男の頬にキスをしたと知った京子は、自分もしたいと考えて鉄男のもとへ。
自分の首を持ち上げて鉄男に近づくが、手が滑って自分の首を落としかけてしまう。
咄嗟に助けた鉄男によって京子は逆にられてしまい、反省。
一方の鉄男も感情的に怒ってしまったことを反省して京子に謝罪し、2人は無事仲直りするのであった。
意中の相手を催淫したい佐藤先生
宇垣刑事からアドバイスを受け、佐藤先生はいよいよ「意中の相手を催淫する」という行為を試すことに。
経験を積むためにはリアクションを顔に出すまいとしている鉄男に対して積極的に誘惑することが必要。
恥ずかしさを堪えてジャージを脱いで少し肌を露出させると、鉄男は顔には出さないが実は効いていた。
2人でサキュバスの性質について語り合ううちに、ますます鉄男の真摯な態度に惹かれていく佐藤先生。
やはり自分から催淫するのはよそうと考えたとき、誤ってジャージのジッパーに胸を挟んでしまい、それを見た鉄男は赤面。
意図せず鉄男を催淫することに成功した佐藤先生は、「この程度までなら催淫を使っても良いかな」と落としどころを見つけるのであった。
京子の努力と親たちの頑張りを垣間見る
雨の日、京子は万が一の事故に備えて親が送り迎えに来るまで放課後も学校に残ることにしている。
落下や寝返りの危険性を考慮して寝るときは頭は抱えずに置いておくことや、通学時も学校の許可を得てリュックにするなど、生活面で色々な工夫をしている京子。
そして梅雨のある日、放課後に居眠りをしていた京子は机に突っ伏している鉄男を発見。
鉄男は突っ伏しながら本を読んでいただけだが、頭の位置から死角となって鉄男が寝ていると勘違いした京子は、身体を動かして鉄男の頭をなで始めた。
と、そんなとき京子の両親から依頼を受けてひかりの父が京子を迎えに到着。
視線が揺れて酔わないように頭部を持つ練習としてひかりの父が京子の頭を持って教室へ荷物を取りに行く間、京子は身体だけで鉄男に書き置きを残す。
何も見ずに器用に手紙を書く京子はきっとたくさん練習したのだろう。
静かに雨の音と京子の筆の音を聞きながら、鉄男は亜人たちやその親たちの頑張りを感じるのであった。
【3巻のまとめ】
佐藤先生と昔からの知り合いである宇垣刑事と意気投合した鉄男と、鉄男に恋心を募らせ宇垣刑事から恋愛のアドバイスを受ける佐藤先生。
京子も鉄男に好かれようと努力するが、鈍感な鉄男は2人からの好意に全く気付いていない。
そんななか、雨の日に親のお迎えを待つ京子の振舞をみて普段の生活で色々な工夫をしていることに気付いた鉄男は、これまでの京子の努力や京子を支える親たちの頑張りを垣間見るのであった。
次巻へ続きます。
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