薬害事件を起こし、新社長のもと結束を高めるために登山レクリエーションに来ていた新入社員の早乙女をはじめとする藤谷製薬の社員たち40名。
しかし初日の夜からナタを持った大猿の襲撃により次々と社員が殺されていく。
山の険しさと共に増していく疲労と、追い詰められる精神。
自分が助かることだけを考えている飯塚は藤柴を言いなりにして同盟を結ぶ。
日没が迫り野宿を決行した岩山では今度は辻が撲殺されているのが見つかり、容疑者として怪しい動きを見せた氷室を安斎が拷問にかける。
しかし氷室が早乙女の名前を口にしたことで拷問の矛先は早乙女にも向いてしまう。
暴走し始めた安斎による拷問がヒートアップしていくが、早乙女の無実を信じる宮田らによって早乙女は山小屋から身一つで脱出。
早乙女は山小屋に迫っていた魔猿に一矢報いて崖の下に転落するが、奇跡的に一命をとりとめ、さらに行方不明になっていた田中と合流して再び尾根を目指す。
他方、山小屋には一般登山者の八木兄妹が訪れ、救助隊が出動していないことと社内に裏切り者がいる可能性が浮き彫りになる。
絶望する生存者たちは分裂し、宮田ら4人が安斎と決別して別の小屋を目指すことに。
安斎と袂を分かった宮田たちは極寒のなか遭難しかけるが、八木兄に救出される。
一方の安斎たちも山小屋で再び諍いが起きたところを魔猿に襲撃され、八木妹らが命を落とした。
辻殺しの犯人が氷室、飲料泥棒の犯人が田中であることが分かったことで諍いはいったん収まるが、復讐に燃える八木兄に先導され分裂したはずの生存者たちは再び合流することになるのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
凍傷を負った早乙女
八木の装備で暖をとり、凍死を免れた早乙女たち。
しかし早乙女の足の指は既に何本か凍傷を負っていた。
〈凍傷を負った早乙女 [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
山に詳しい八木から凍傷の痛みなどを教わった早乙女は、腹をくくるしかなかった。
氷室を追放
山小屋を出ることを決意した安斎らは、食糧を均等に分配したうえで氷室を追放する。
〈氷室を追放 [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
氷室を一人別方向へ向かわせてあわよくば魔猿たちへの生贄とし、自分たちは宮田らと同じ山小屋を目指すプランである。
先行した八木兄と早乙女たちは安斎らの安全を確保するために見晴らしのスポット、通称「仁衛門岩」を死守することに。
〈仁衛門岩を死守せよ [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
八木の発案により、ロープを使って投石用の武器を3人分作り、魔猿の出没に備えていく。
初めて魔猿を撃退
仁衛門岩からは周囲がよく一望でき、岩陰からこちらの様子をうかがうナタ持ちの魔猿の姿も視認できた。
早乙女・宮田・林の3人は投石武器で威嚇し、復讐に燃える八木兄はピッケルを両手に魔猿に近接戦を挑む。
八木兄の身のこなしは魔猿にも引けを取らず、浅めではあるが魔猿に傷を負わせ撃退することに成功。
〈八木が魔猿を撃退 [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
初めての勝利に早乙女たちの士気は上がるのだった。
薬害事件の関連を疑う
なぜ猿は今になって暴れ出したのか。
藤谷製薬が起こした薬害事件が関連し、無実の社員たちまで巻き添えにされている可能性に気付いた早乙女たち。
〈薬害疑惑と関係が…? [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
八木兄も妹の仇を取るために魔猿への復讐心をさらに燃やすのだった。
陰で支配力を増す飯塚
山小屋を目指す安斎たちは、次第に体力の消耗が激しくなり分断され始めていた。
もっとも、「全員は守り切れない」と判断した安斎があえて振るいにかけているせいであるが、佐藤が遅れを取り始める。
また飯塚と藤柴は食糧が底を尽いてしまった南に隠し持っていた缶詰を与え、秘密の同盟に引き込んだ。
〈南も同盟に [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
安斎は一足先に仁衛門岩に到着し、後続組の到着を待つ。
後続組が岩に張り付きながら鎖を頼りに進む難所に差し掛かったところで、またも背後から魔猿が迫ってきた。
〈背後から猿が [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
先頭の佐藤は体力の消耗もあり速く動くことができず、追い詰められる一行。
取り乱した南が前を進む遠野と佐藤を無理やり押しのけて先を急ぐ。
しかしなぜか魔猿は一定の距離を保ちながらプレッシャーをかけるだけで、最後尾に回った遠野と佐藤を襲う気は無いようだ。
そうこうしているうちに前方にも別の魔猿が現れ、挟み撃ちになる後続組。
取り乱した南は佐藤に石を投げて背後の魔猿と闘わせようとし、激高した佐藤が南を蹴る。
〈佐藤が南を蹴ってしまう [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
よろけた南は崖下へ転落し死亡した。
佐藤が南を殺した現場を目撃していた飯塚は藤柴や遠野と共に佐藤の弱みを握ることとなる。
結果的に魔猿は様子をうかがうだけで社員らを襲うことは無く、無事生存者たちは仁衛門岩で八木兄や早乙女らと合流した。
魔猿の傍に佇む日本刀の男
生き残っているのは10人。
八木兄、早乙女、宮田、林、安斎、田中、飯塚、藤柴、遠野、佐藤である。
無事に目的の山小屋までたどり着くが、一定の距離を保って魔猿たちが付いてくる。
さらに山小屋では魔猿に先回りされたのか、寝込みを襲われた人の死体もあった。
ふと前方に目をやると、3匹目の魔猿と傍らに日本刀を持った男が佇んでいるのが見える。
〈日本刀の男が登場 [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
飲み会の席で人事部長の長谷川(今は行方不明)が日本刀を所有していると聞いていた安斎は、日本刀の男が長谷川ではないかと疑う。
長谷川に恩義のある早乙女は怒り安斎を殴り険悪な空気となる。
しかし今夜はこの山小屋を協力して防衛しなければ生き残ることができない。
交渉決裂
生存者たちはグループに分かれ、物資と安全の確保のために行動を開始する。
①早乙女・宮田・林:小屋の2階を捜索
②飯塚・藤柴・遠野・佐藤:小屋の1階を捜索
③安斎・田中:見張り
④八木兄:小屋の周囲を捜索
の4グループ。
小屋の2階で捜索する林は、日本刀を持った男と話し合うことを提案。
協議の結果、早乙女が護衛につき2人で日本刀の男と話し合いに行くことに。
〈話し合いを試みる [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
しかし日本刀の男は丸めたメモを投げ渡すのみで、傍にいた魔猿が槍で林の腕を刺して追い返す。
持ち帰ったメモには、すべてひらがなで
「今夜襲う。2人だけ逃がしてやるから陽が落ちる前に逃げろ。残りは全部殺す」
とあった。
〈猿たちからのメッセージ [モンキーピーク 5巻](c)日本文芸社/志名坂高次・粂田晃宏〉
話し合いは通じず、この中から2人だけが見逃してもらえる。
2人をどう選ぶか、生存者たちの中で様々な思惑が交錯するのだった。
【5巻のまとめ】
度重なる襲撃の末、10人が山小屋にたどり着く。
しかし3匹の魔猿と日本刀の男も生存者たちを追ってきていた。
日本刀の男との話し合いを試みる早乙女と林田が、交渉する余地はない。
逆に夜の襲撃を予告され、「2人だけ逃がしてやる」というメッセージを受け取る。
真意が読めぬ中、生存者たちは混乱するのだった。
次巻へ続きます。
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