死刑が廃止された近未来の日本。最も重い「島流し」の刑を受けた凶悪犯罪者たちは監獄の島・天獄島に送られていた。
だがその島では、人間のリサイクルを目指す人体実験が秘かに行われていた。
「不老」の特異体質を持つ少女・いちは島内で研究に利用されていたが、島に潜入した青年・御子柴により助け出される。
研究施設を壊滅し島を脱出した御子柴は、いちと共に中東に潜伏していたが、第二の監獄の島・天極島が選定されたことを知ると、再びいちが狙われることを危惧し日本の特殊捜査官である守野碕とカルロスに護衛を要請。
だが囮となった御子柴はいちを狙うイリノフという男によって捕らえられてしまい、御子柴とカルロスはその後御子柴の救出のために天極島へ潜入することとなる。
しかし守野碕はその作戦の途中で記憶喪失となりそのまま他の囚人と共に移送されることとなってしまった。
島では教授にまで上り詰めた水沢が、「仕働夫」と呼ばれる存在を人体実験で創り出す研究を秘かに継続していたことが判明する一方、守野碕は自分の事を知る看守のカルロスと再会し、ショック療法で記憶を取り戻すことに。
天極島を訪れたイリノフとレイミーというVIPの面前でエンターテイメントとして狼との殺し合いをすることとなった守野碕は、命懸けの戦いに勝利し、カルロスの期待通り記憶を取り戻す。
研究施設「Sタワー」とどこにあるかもわからない海底施設「エリアXX」が怪しいと踏む2人だが、推測の域を出ない。
脱出までの期限が迫るなか、守野碕は水沢に協力する元医師の東堂によって別エリアへ移送されることとなってしまう。
移送先は極悪犯だけの無法地帯であるエリアZであり、ランキング1位の男・ギュウと対面を果たした守野碕は、天獄島の生き残りでいちを崇拝するギュウを味方につけることに成功する。
時を同じくして看守たちがエリアZへ突入、看守に紛れて守野碕らと合流したカルロスは、そのまま脱出作戦を強行することに。
看守たちに取り囲まれるなか、守野碕はいちの情報と引き換えに御子柴の解放を要求するが、これがかえって水沢を喜ばせる結果となり、水沢は守野碕以外の抹殺を指示。
するとその背後にいた東堂が水沢を裏切って銃口を突きつけ、看守たちに銃を捨てさせようとする。
果たして東堂の正体とその目的は―?
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
東堂の正体は保安官だった
東堂もまた保安官であり、情報室からこの天極島に潜入していた身だった。
看守たちを閉じ込め、水沢を人質にしながらSタワー内部へと足を踏み入れる。
東堂は4か月前、守野碕が記憶を喪失している間に会っており、当時の真相を語り始めた。
先行したカルロスと合流するために中東の国を出国する際、敵の待ち伏せに遭ったことで記憶を失ってしまった。
守野碕が潜入するための工作を担当していた東堂は記憶を失くした守野碕を保護するために中東へと向かい、アリと相談しながら計画を練り直したというのだった。
御子柴を救出、脱出期限までゲストハウスに籠城することに
Sタワー内では水沢が人体実験で作り出した筋骨隆々のゾンビのような囚人が解放され、襲い掛かってくる。
ギュウがその囚人と戦闘のうえタワーから突き落とす一方、守野碕らはついにエリアXXに辿り着き御子柴と再会を果たした。
東堂が水沢の研究データを全て抹消し、救出した御子柴を連れて脱出を目指すことに。
エリアXXからは北のゲストハウスへの連絡ルートがあり、ゲストハウスの方が守野碕が知る脱出ポイントに近い。
しかしそのゲストハウスには現在レイミーが滞在しており、脱出のタイミングは9日後。
つまりそれまでの9日間はゲストハウスで籠城しなければならない。
警備員が増員される前にゲストハウスを制圧するべく乗り込んでいく守野碕たち。
一方、襲撃の知らせを受けた船口はすぐさま増援を手配し追うのであった。
イリノフの部隊に囲まれる窮地
ゲストハウスにはイリノフの部隊も向かい、エリアZに閉じ込められていた看守たちもゲストハウスへと急行。
異常事態を察知した清正は、守野碕を助けるべく自分も単身でゲストハウスを目指すことを決意し、極寒の外を看守から奪ったスノーモービルで向かう。
他方、守野碕はイリノフにとってレイミーを人質にとっても無駄と悟るものの、レイミーが強い方につく女だと読み、自分の味方にすることを狙う。
守野碕にとっては過去のトラウマを克服するためにいちとの約束を守ることが最優先であり、そのためにはどんな手も使う覚悟。
いちと出会う前、カルロスと2人で要人のボディーガードの任務に就いていた守野碕だが、その要人はベテランの運転手が自爆テロを起こしたことで死亡。
その爆発はその要人の娘の目の前で起こり、その娘は事件後に精神を病んでしまった。
守野碕はその娘の泣き叫ぶ声がトラウマとなって記憶を封印していたが、全ての記憶を取り戻した今は、少女との約束を守れなかったことへの後悔から今度はいちとの「御子柴を助ける」という約束を必ず守るつもりでいるのだった。
イリノフの真の目的が明らかに
レイミーから「いちの情報を持つ男がこの島にいる」と報告や通報を受けたイリノフ。
100人以上の私兵がゲストハウスを取り囲み、守野碕はたった1人でイリノフの前に姿を現す。
守野碕が研究データを全て消去したため、もういちの身柄を手に入れても不老薬を完成させることができないことを伝えると、イリノフは2人きりで話せる場所に移動するよう促す。
この施設のコンピュータのデータはイリノフの会社の本社にも保管されていることを明かすイリノフ。
イリノフも本国で世界を救うべく同様の研究をしていること、水沢の研究は全て買い上げるつもりだったこと、そして今もいちを必要としており、本人が望むなら完璧な保護下で最高級に自由の生活をさせてやるつもりであることを告げる。
イリノフの狙いは不老薬で巨万の富を得ることではなく、未来ある若者たちに与えること。
世界にはびこる高齢者たちはそのまま自然死させ、30年後に優れた若者たちだけで世界の正しいバランスを取り戻すことが真の目的なのだった。
激しい戦闘、そして天極島からの脱出
研究データが全て消え自暴自棄になった水沢はこっそりと施設のトイレの隠しボタンを操作し、ゾンビのような囚人たちを全員解放。
ゲストハウスの外でもイリノフの私兵たちとゾンビ囚人たちの激しい戦闘となる。
1人のゾンビ囚人が銃を手にレイミーを狙うと、ギュウが身を挺して命を落とし、そこに合流した清正がその囚人を倒した。
銃声が収まると、イリノフの私兵だった仕働夫たちとゾンビ囚人が殺し合いでほぼ全滅しており、エリアZのリーダー格だった男も死亡。
守野碕はゲストハウスにあったヘリでそのまま脱出することにし、当初の計画でいちと合流する予定だった北海道へ。
さらに守野碕は自分の運命に自分で決着をつけたいといういちの想いを汲み、イリノフも一緒に連れていちと会わせることにしたのであった。
いちとイリノフの和解
北海道では救出された御子柴といちが涙の再会を果たす。
イリノフはいちの成長した姿に驚きを隠せないなか、いちと対面。
いちはこれまでに命を落とした大切な仲間のことを想いながら「不老薬なんて絶対に必要ない。自分がいまここで死んでも構わない」と断言する。
いちが困難を乗り越えようとする人類の強さを説くと、ちょうどそこにイリノフに電話が入り、イリノフの母が息を引き取ったことを知らされる。
自分の願いが叶わなくなったことを知ったイリノフは、いちとの和解を経て考えを改め、天極島の研究施設封鎖やドナー移植ビジネスの中止も決意するのだった。
エピローグ
イリノフが引き下がったことで今度こそ全てが終わった。
御子柴はかつて復讐のためとはいえ人の命を奪った罪を償うため天極島にいちど戻ることを決意。
水沢は精神を病んで廃人と化し、天極島にいた船口はゾンビ囚人に襲われて命を落とす。
島に残っていた清正はそのゾンビ囚人を殺し、大人しく収監生活を送ることに。
守野碕はかつてトラウマだった少女と向き合うためにその病室を訪れた。
そして3年後、ドイツの先進医科大学に留学したいちは見事な論文を書き上げる。
その姿は立派な1人の女性に成長していたのであった。
【4巻(完)のまとめ】
保安官として潜入していた東堂の援護で窮地を切り抜けた守野碕らは無事に御子柴の救出に成功、脱出のタイミングまでゲストハウスに籠城することとなる。
そこをイリノフの部隊に取り囲まれ窮地に陥るが、自暴自棄になった水沢が人体実験の成果であるゾンビ囚人たちを解放し、大規模な戦闘が勃発。
ゾンビ囚人らとイリノフの部隊が共に壊滅したところで守野碕らは天極島を脱出し、守野碕は全ての運命に決着を付けさせるためにいちとイリノフを引き合わせる。
2人は対話の末に和解し、天極島の研究施設は閉鎖が決定。
平穏が戻り、いちは1人の女性として立派に成長していくのであった。
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