20XX年の日本、増加する凶悪犯と、それに反比例するかのように強まる国際社会での死刑廃止論を鑑み、政府は試験的に流刑制度を復活させた。
それは、死刑に相当する凶悪犯たちを、凶悪犯罪者隔離目的自治区、通称「無法島」と呼ばれる無人島に送り込み、放置するというものだった。
送り込まれた62人の凶悪犯たちは、島の港に着いて間もなく、限られた食料や女をめぐって激しく争い始める。
港では半グレ集団のトップであるジンボが手下を集めながら権力を握り、暴力で島を支配にかかる。
一方で、無実の罪を着せられて島に送り込まれた青年のカイトは、復讐から男性5人を斬殺した「白刃の魔女」ことミソラのことが気になり、ミソラを助けながらオジサン、チャラ、エミら合計5人で港から逃走。
剣道の心得を持つミソラをカイトが野球仕込みの投石で援護しながら、ジンボがけしかけた男たちの襲撃を退けるうち、人の心を取り戻したミソラはカイトに惹かれるようになった。
そんななか無法島にまた新たな凶悪犯たちが入着し、港で争いが発生。
港から逃げてきた男女3人組がカイトたちを裏切ってグループを支配しようと試みるが、カイトたちは撃退した。
逃走した性犯のキネはジンボに助けを求め、女性を弄ぶサイコパスとして最底辺の奴隷扱いを受ける男・ダイと共に管理されるように。
ミソラはカイトと接するうちに人の心を取り戻し始め、生を感じることに苦しみを抱えながらもカイトに惹かれていくようになった。
そして港では大規模な抗争が発生し、その混乱に乗じてチャラが食糧の倉庫に火を放つ。
さらにダイがカイトの家族を惨殺した真犯人であることが明らかとなり、ダイは奴隷たちを集めて食糧を抱えて山の奥へと逃亡。
抗争に勝利したジンボは食糧難に陥り、逃げた奴隷の捜索を続けつつもカイトたちの生活拠点からの強奪を狙うようになる。
カイトたちの拠点では身体を重ねるうちにチャラがエミを本気で愛するようになっていたが、そのエミが運悪くジンボ派の偵察隊に拉致、エミを助けに向かったチャラも捕まってボコボコにされたうえ、ミソラもエミを死なせないために投降してしまった。
ミソラを助けるためにカイトはジンボのもとへ殴り込みをかけ、命をかけて戦うことに。
隙を突いたオジサンがミソラを救出し、カイトとミソラがジンボたちとの死闘の末、全員を戦闘不能にした。
ジンボも倒れ、ミソラはカイトの胸に飛び込んで安堵の涙を流すのであった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
ジンボが死と生き残った奴隷たち
刃物を持ったエミがカイトとミソラの代わりにジンボにトドメを刺し、ジンボが死んだ。
そこでダイたち奴隷が港に姿を現し、非力な自分たちの代わりにカイトらに港を仕切るリーダーになってほしいと切り出す。
まだ息のあったジンたちも奴隷たちの復讐で命を落とすなか、ダイは生き残る為に最低限の秩序が必要と主張。
カイトたちはひとまず回答を保留にし、アジトに戻って手当てを受けることに。
カイトとミソラが失神したように寝込むなか、エミはチャラを心配し、オジサンと共にそのまま病院へと向かうのであった。
カイトたちがリーダーに
エミとオジサンが病院についた時、チャラは既に息を引き取ってしまっていた。
共に暮らした浜辺のペンションと海を見張らせる場所にチャラの遺体を埋葬し、無事に意識を取り戻したカイトとミソラもチャラの死を悼む。
エミのために命をかけたチャラの気持ちがよくわかったカイトは、自分も愛するミソラさえいてくれればいいという本心を告白。
そして数日経って落ち着いた頃、ダイたちが再びカイトらのもとを訪れた。
「港に輩たちがいる限り安全は無い」と考えたカイトは、ダイたちを仲間として信用したわけではないながらも、治安の協力としてミソラと共に港を仕切ることを決意する。
自分とミソラ、オジサン、エミに害を為すものは敵として容赦しない―。
その条件のもと、カイトが島のリーダーとなるのであった。
最低限のルールと秩序
再び食糧と共に新たな凶悪犯たちが入島してきた。
来る人数は徐々に減ってきており、カイトとミソラの2人は島の最低限のルールすらも守る気のない輩たちを暴力で成敗する。
この島での新しいルールは、「奪わない、犯さない、殺さない」という単純なもので、自力で食糧を調達できない者であっても薪拾いといった労働の対価として食糧を配給する仕組み。
その代わり、ルールを犯した無法者には罰金でも禁固でもなく、島の番人であるカイトとミソラによって死が与えられる。
ジンボやジン達の死の上に立ったカイトとミソラの抑止力は絶大であり、大きな抗争が起こることなく静かな生活が始まった。
そんななか、エミは一度自分を襲ったキネが他の女性を襲わないように厳しく監視。
妙な動きをしたら問答無用で殺す、と警告してキネを追い詰めるのであった。
エミの死に怒るカイトとミソラ
エミに見張られストレスを貯め込むキネだったが、ダイは「自分を殺したいという人間を殺すのも自由だ」と吹き込み、それ以降キネは逆にエミを殺すことを考えるようになる。
四六時中マークされているのであれば、エミを誘い出すのは容易。
キネは暑い日に自ら1人で薪拾いを申し出て山へと入り、追ってきたエミを高台にある建物に連れ込んで監禁した。
これまでの恨みを晴らすかのようにエミを凌辱したキネは、エミを放置して1人で港へと戻っていく。
出血が止まらないエミはこの島での楽しかった生活やチャラ、ミソラたちのことを思いながら意識を失ってしまった。
エミがいなくなったことを知ったカイトとミソラはすぐさまキネが犯人だと確信し、痛めつける。
キネはエミの居場所のほか黒幕の存在や、その黒幕がカイトの一家惨殺事件の真犯人であることなど洗いざらい吐き、カイトとミソラはエミの監禁された建物へと急ぐ。
しかしエミは既に死んでしまっており、カイトとミソラはこの日初めて、仲間が殺された報復としてキネを殺した。
そして怒りの矛先はもう1人、黒幕であるダイへと向けられるのであった。
黒幕のダイの最期
必死に誤魔化そうとするダイだが、ダイが黒幕だと確信したカイトは激しい殺意を向ける。
慌てて海へと逃亡し、隣の島へ逃れようとするダイ。
しかしカイトは泳いでいるダイに石を全力で投げ込み、家族を殺された恨みを乗せた石がダイの頭部に命中。
そのまま気絶したダイは溺死するのだった。
エピローグ:カイトとミソラの旅立ち、1人残ったオジサン
カイトたちはこれからまた敵との争いが生まれるかもしれない港での集団生活から離れ、ミソラとオジサンと共に島の奥でひっそりと暮らすことを宣言する。
そして島の東側で静かな入り江と民家を見つけ、そこでしばらく静かに暮らした。
結ばれたカイトとミソラと、2人を見守るオジサンによる共同生活。
しかしある日、網小屋で手つかずだったボートを発見したことでカイトとミソラは島からの脱出を志すように。
命をかけた海の旅に出る勇気が出なかったオジサンは、寂しい想いを抱えながらも2人の旅立ちを応援し、いよいよカイトとミソラが希望を胸に旅立っていった。
それからオジサンはさらに山奥へと住居を変えて1人で生きるようになり、数年後、島が「自殺島」と呼ばれるようになった頃にセイと出会うこととなる。
そして自殺島が解放され、ルポライターの織田がオジサンに向けられた手紙を持ってきた。
それは織田の取材先であるカイトとミソラからの手紙。
2人の無事を知ったオジサンの目には、涙が溢れるのであった。
【6巻(完)のまとめ】
ジンボの死後、カイトとミソラたちは生き残った者たちの総意により、島の番人として新たな秩序で生活を仕切る。
しかしエミがキネに殺されてしまったことで秩序は壊れ、カイトとミソラはキネと、黒幕かつカイトの一家を斬殺した真犯人でもあったダイを復讐のために殺した。
敵との殺し合いの螺旋から降りる決意を固めたカイトとミソラは、オジサンと共に島の反対側でひっそりと共同生活をすることに。
そして穏やかで安定した生活を送ったある日、無傷のボートを発見。
カイトとミソラはそのボートを改良して希望を胸に外洋へ旅立ち、1人島に残ったオジサンはさらに山奥で暮らし、数年後にセイと出会うこととなるのであった。
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参考凶悪犯たちが島流しに!極限サバイバルドラマ「自殺島」の前日譚『無法島』全6巻【ネタバレ注意】
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