小さい頃から憧れてきたスター集団の文京モップスに入団した凡田。
モップスでの最初のシーズン、妻ユキの双子の妊娠が発覚し気合が入る凡田だったが、今年こそは絶対に優勝したい鈴木監督によってリリーフの大黒柱として酷使され、シーズン終盤についに凡田の左肘が限界を迎えてしまった。
手術とリハビリで選手生命を伸ばすか、騙し騙し投げ続けて静かに引退するかの判断を迫られ、凡田はトミー・ジョン手術を決断。
しかし新たに就任した辺見監督は、戦力編成の都合から回復に専念する凡田に育成契約を打診し、凡田は昨シーズンの優勝の功労者にも関わらず、年収もどう頑張っても4000万と大幅ダウン、年俸が下がった分は復帰の再契約時に上乗せする予定という非情な仕打ちを受けることに。
仕方なく育成契約を飲んだ凡田は次のシーズンはリハビリに専念して復帰、約束通りの年収に戻るも、キャンプでは球速が戻らず不安が残るままシーズン開幕。
8回のセットアッパーのポジションは則川が指名され、凡田は先発として起用されることに。
凡田が微妙な投球内容ではあるものの、運に恵まれて勝ち星を重ねていく一方、則川は故障の影響でピリッとしない。
そんな折浮上した札幌パープルシャドウズで干されている内野手の河内とのトレード話では凡田の代わりに則川が放出され、河内がモップスに移籍してきた。
凡田と良いライバル関係にある河内は凡田が先発する試合に大活躍し、凡田は8月を終えて9勝0敗と神がかったペースで勝ち星を挙げる。
本来の力を取り戻しつつあった凡田は10勝目をかけて登板するも、この試合でピッチャーライナーを頭に受けてしまった凡田は緊急降板。
幸いにも強めの脳震盪だけで済んだが、凡田はこの試合でついた10勝目をもって回復に専念することとなり、運に恵まれた10勝0敗という成績でシーズンを終えるのであった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
シーズン5位に沈んだモップス、高橋新監督が就任
ほんの1~2cmズレていれば大怪我もあり得たものの、奇跡的に軽傷で済んだ凡田。
野球は怖いと痛感し辞めたいという考えもよぎるが、それでも河内ともっと野球がしたいという思いから引退を思いとどまる。
そのシーズン、モップスは5位に沈み、辺見監督の退任と現役引退した高橋の監督就任が決まった。
高橋は早速凡田に対し、当初の予定どおりリリーフとして起用するつもりであることを告げる。
今季はあくまで辺見らの過保護プランによって限定的に先発していただけ。
結果として10勝0敗という結果を残し、契約更改に臨むのだった。
凡田の契約更改
契約更改とあれば選手以上に気合いが入るダーティ桜塚。
ダーティ桜塚は10勝0敗であれば今年の年俸である8000万+手当4000万から跳ね上がって2億でもおかしくないと浮き足立つが、球団の考えはシビアだった。
まず計算のベースとなる年俸は手当の4000万を含まない形の8000万。
球団がそう来ることは予め想定していたダーティ桜塚は、凡田の年俸の形は球団の都合で育成に落とされたための例外措置であり、育成に落とされたのはプライドが傷ついたと心情に巧みに訴え、ベースとなる金額を間を取って1億にしてほしいと打診する。
だが球団側は凡田への提示額は9000万であり、ベースを1億にする提案は飲めなかった。
球団側は凡田は見かけ上は10勝0敗だったが、防御率も悪いうえに過保護な起用のしわ寄せが前後の試合の敗戦へと繋がり、チームのバランスを崩す原因になっていたことを指摘。
復帰計画のなかで先発する10日間しか1軍登録されていなかったのもマイナスポイントだという。
ダーティ桜塚は凡田の故障がもともと球団の酷使のせいで、球団が復帰計画に付き合うのは当然だと主張するが、本来は凡田は遅かれ早かれ肘の手術に踏み切らなければならなかったところを、球団が手術からリハビリまで全て面倒を見て選手生命を伸ばし、かつ一球も投げられない状態でも手厚く8000万を3年間払ったと主張。
凡田本人も球団への恩から提示額を受け入れる考えを考えるが、ダーティ桜塚は代理人のプライドにかけてもう一粘りする。
結果、9500万+25試合登板で500万のインセンティブ、実質1億となるが、これが後々問題になってくるのだった。
ハマの番長の引退
ハマの番長である三浦エースケは幼い頃は根が真面目な野球少年。
厳しい練習を続けて実力もずば抜けていたが、周りの過度な期待と厳しい練習に耐えかねて一時期グレてしまう。
しかし野球を続けろと監督やチームメイトにボコボコにされ、なんだかんだ野球部に復帰しドラフト6位でプロ入り。
プロに入ってもひたすら走って足腰を鍛えさせられ、コントロールの才能も相まって結局プロで172勝もする大投手となった。
凡田は自分にプラスだと思ったら野球マンガからだって取り入れようとする貪欲さや、プロとしてファンを大事にする姿勢を学ぶ。
そんな三浦もついに引退することとなり、ミラー監督は引退試合を本拠地最終戦にすることを決定。
三浦は6回までに10失点と打ち込まれてしまうものの、三浦に代打を送らず、7回に1人だけ打者に相手をさせ、ナインに見送られるようにしてマウンドを降りさせた。
ファンがあってのプロ野球という考えを持っており、この演出で三浦の引退に花を添えたのであった。
河内の契約更改
31歳で独身のままの河内は契約更改を迎え、凡田の先発試合で打ちまくったとはいえ、打点数が伸び悩んだことを指摘され、1000万ダウンの1億4000万を提示される。
すると河内はモップスに拾ってもらったことだけでも感謝したいと潔く受け入れ、球団側も態度を軟化させ考えを改めた。
結局、河内の年俸は現状維持となるのであった。
則川、丸金、富士野、鳥海らの契約更改
パープルシャドウズの則川は、7月8月とリリーフ失敗が何度かあり一時期出番を失っていたが、9月からは急きょ先発として登板機会を得るとそれなりに結果を残し、運にも恵まれて4勝を飾った。
契約更改ではその頑張りが評価されて現状維持となり、さらに来季は先発に回す構想であることが告げられた。
他方、スパイダースでは丸金と富士野がチームの低迷の戦犯として大幅な減俸。
所沢ジャガーズでも戦力外となった鳥海はトライアウトを受けることに。
高校時代は甲子園に行くことができなかった凡田は、甲子園優勝チームの4番でエースだった鳥海でもこうなってしまうことにプロ野球の厳しさを再認識させられるのだった。
ナッツ(高校生)編
凡田が高3の春、鶴見川高校は山梨県大会を優勝して夏のシード権を獲得する。
肩の怪我も癒えた凡田は、プロのスカウトがスパイダースしか接触してきていないことを知ると、監督に自分の力を誇示しようと甲子園出場も現役でのワセダまたはKO大学合格でのソーケー戦出場も両立させようと躍起になった。
平均睡眠時間4時間で部活の後に猛勉強し、練習しながら中間テストでトップをとるまでになった凡田。
しかしその顔に悲壮感が漂っているのを見かねた監督は凡田に両立を諦めるように諭す。
その言葉のとおり、凡田は最後の山梨大会でまさかの1回戦負けを喫し、期末テストでも100番以下に転落してしまった。
さすがに落ち込む凡田に対し、監督は「内省的になるな。調子に乗って自分自身を戒めるくらいなら他人から怒られるくらいの方がいい」とアドバイス。
すると凡田は途端に調子に乗り、リスクを冒してでもすぐさまプロ野球の世界に飛び込む決意を固めた。
一方、県大会1回戦負けの凡田を指名するか、凡田の性格がプロ向きかどうかについてスパイダースの安田スカウトは判断に迷うのだった。
【10巻のまとめ】
シーズン5位に沈んだモップスは高橋新監督が就任。
10勝0敗だった凡田の契約更改は難しい判断となるが、結局1億には届かずに9500万+25試合登板で500万のインセンティブとなった。
その他の選手たちも続々と契約更改。
順調な選手もいれば大幅な減俸や戦力外通告を受ける者もいるのであった。
次巻へ続きます。
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