三瓶は川内の記憶障害を治すため診療記録を手に入れたいと考える。
大迫教授が頑なに開示を拒否する診療記録には、一体何が隠されているのか。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。
納涼会の夜に
納涼会を前に浮かれる看護師たちに、指差し確認・ダブルチェック・復唱確認と、いつもと同じ厳しい目を光らせる看護師長の津幡。
三瓶たちの病院で納涼会が行われていた夜、鼠径ヘルニアの手術を控え入院中の患者の離床センサーが反応しナースコールが鳴る。
病室を訪れた看護師は、起き上がらないよう念を押し患者のもとを離れた。
その後も離床しないか不安が残るものの、当直の医師は無愛想で陰険な先崎であり、相談しづらいからとそのままにしてしまう。
そして、離床センサーのスイッチをオフにしたままだと思い出すが、別の看護師にスイッチを入れるよう頼んだうえで、別の患者のもとへと急いだ。
頼まれた看護師はベッドサイドモニターのスイッチと勘違いし、肝心の離床センサーのスイッチはオフのまま一晩を過ごすことになるのだった。
藤堂院長と津幡
大学病院時代から一緒に働いていた津幡と藤堂院長。
藤堂院長は津幡に対し、看護部長になって、津幡の専門であるリスクマネジメントを院内に根付かせてほしいと願っているが、津幡は管理職になると出来ないこともあるからと渋っている。
しかし、津幡がリスクマネジメントのスペシャリストとして力を発揮することに躊躇う理由はそれだけではなかった。
津幡のトラウマ
15年前大学病院で手術部の看護師として働いていた津幡は、病院初の心臓移植としてマスコミからも注目される難しい手術の機器出しを任された。
各部から集められた精鋭たちがそれぞれが役割を果たそうと緊迫する手術の最中、津幡は脳の酸素飽和度低下に不安を覚えるが、寄せ集めのチームであるが故に誰も意見できないまま、すれ違いが生じていく。
そのすれ違いが原因で手術は失敗に終わり、患者は命を落とすことに。
津幡は気が付いていながら指摘しなかったことにずっと責任を感じていた。
その出来事をきっかけにリスクマネジメントの専門家の道を進んだ津幡だが、トラウマから今も手術には入ることが出来ない。
そして、事故を未然に防げなかった真の原因を見つけ出すまでは、前に進めないことを自覚しているのだった。
小さなミスが重なって
納涼会の翌朝、一番に出勤した津幡は入院中の患者がベッドから転落し頭を打ったと連絡を受ける。
転落したのは、離床センサーが切れたままになっていた例の患者だった。
駆けつけた三瓶は、急いでCTを撮り急性硬膜下血腫と診断した。
一刻も早く手術に取り掛かりたいが、連絡していたはずの手術室の鍵が開いていない。
手術室の準備要請の連絡を受けたのは、当直のシフト外でたまたまそこにいた新人看護師であり、よくわからないまま後回しにしてしまったのである。
居合わせた救急部のメンバーと当直の先崎は、力ずくでドアを破ることに。
緊急のため手術に参加することになった津幡は、トラウマで震える手を懸命に抑えながら必死に機器出しを務める。
救急部の一致団結により患者の命は救われ、津幡と藤堂院長は胸をなでおろした。
前に進む津幡
患者には後遺症も残らず大事には至らなかったものの、病院としてはあってはならないミスだったと藤堂院長は関係者を呼び出し、津幡のレポートを共有させる。
津幡は、今回のことは複数の小さなミスがいくつも重なって発生した事故であるとし、そのうえで多重防衛システムの重要性を説いた。
また、小さなミスや確認不足の裏には、「権威勾配」=「率直に意見交換が出来ない関係性」であることが原因であると指摘した。
トラウマを克服し、自分自身に問い続けたことに一筋の光を見い出した津幡は、もうしばらく今の立場で現場の医師・看護師たちと答えを見つけていきたいと藤堂院長に話す。
理事長の健忘症と川内の記憶障害
理事長が出席する会議に出る三瓶と星前。
元理事長であり、外科医だった夫をくも膜下出血で失った理事長は、脳外科医や救急部門を充実させることが悲願だった。
会議では救急受け入れ態勢を整えるべく、設備と人員を拡充することが決まるが、理事長の様子がおかしく、どこか記憶が抜け落ちてしまうことがある様子。
ほんの少し前のことも覚えていない理事長の認知症を疑う意見も出る中、三瓶は一過性全健忘症と診断し、特に治療の必要はないと判断した。
健忘症について三瓶の説明を聞きながら、川内は自分の記憶障害について改めて考えさせられる。
通常の健忘症と違うメカニズムが働いていることも考えている三瓶だが、川内の場合は事故発生時から遡った過去の時間からの方が記憶を取り戻しやすいのではと話した。
もやもや病のバイパス手術
お経をあげている最中に倒れて運び込まれた僧侶の患者。
倒れるときには右半身のしびれを感じていたが診察時には異常がないようで、三瓶は一過性脳虚血発作と診断した。
その原因を探るべくMRIを行うと、もやもや病であることが発覚。
内頚動脈が細くなるため、お経で過呼吸状態になると脳の血流が低下し発作が起こると説明した。
三瓶は血管の血流を増加させるためのバイパス手術を、川内に任せることに。
特に血管の細いもやもや病の手術に向けて猛特訓を重ねる川内は、吻合に問題はないものの、手術手順を忘れてしまうことに不安を覚える。
忘れたくない景色
手術当日、練習したものよりさらに細い血管を前に緊張の色を隠せない川内だが、三瓶はいつもの調子で声をかけ緊張をほぐす。
三瓶の完璧なサポートと、星前、成増らの協力を受け、川内は無事に手術を成功させた。
手術終了直後、川内はチームの全員が自分の方を見てくれている景色に気が付く。
そして、術者としての景色を目に焼き付けろという三瓶の言葉に、一人じゃないことを実感し、このことを忘れたくないと日記に綴るのだった。
無事手術が済んでよかったと一息つく星前に三瓶は、以前の川内は三瓶ですら叶わないほどの手術センスを持っていたことを明かす。
【5巻のまとめ】
津幡看護師長はトラウマを乗り越え、この病院の医師たちと求める答えを見つけ出すことを決意し、一歩前に進んだ。
三瓶たちを中心にチームワークを高める脳外科は、ついに川内を術者とする手術に挑む。
以前の川内を知る三瓶は、まだまだこれからだと医師としてのさらなる飛躍を期待する。
【5巻の見どころ】
この巻の見どころは、津幡看護師長のトラウマ克服と、脳外科チームの結束です。
納涼会の夜、小さな確認ミスが重なり、入院患者の転落事故が発生。
緊急手術では津幡が過去の失敗を乗り越え、震える手で機器出しを務めます。
彼女が再び現場に立つ決意を固める姿は感動的です。
また、川内が術者となるもやもや病のバイパス手術も重要なシーン。
手技への不安を抱えながらも、三瓶の支えで成功を収めます。

次巻へ続きます。
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