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貘を襲う天災、2人の勝負のカギを握っていたハルと梟のもう1つの勝負『嘘喰い』41巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

多重債務者の冴えない青年・梶隆臣はひょんなことから凄腕のギャンブラー・斑目貘と出会い、行動を共にするようになる。

さらに梶は命すら対価にするギャンブルや、それを成立させるために立会人を派遣する中立の秘密組織「賭郎」の存在を知り、廃ビルでの命懸けの脱出勝負に勝った貘は、全てを凌駕する暴力を持つ別人格の怪物・ロデムを宿すマルコを仲間に加え、賭郎の会員権や大金を得た。

賭郎の会員権を梶に譲った貘はさらに賭郎の能輪立会人の手配で新たな賭郎勝負の場を設定してもらうこととなり、貘と顔なじみである立会人の夜行妃古壱が梶の専属につくなか、富士山中のトンネルでテロリストの佐田国との賭郎勝負に勝ち、お屋形様との取引で再び賭郎会員に復帰。

しかしその裏ではお屋形様の思惑通り警察以上の力を持つ新組織成立へと動き始めており、さらに賭郎の乗っ取りを企む米国の犯罪組織「アイデアル」も実行部隊リーダーである暗殺者カラカルが暗躍する。

貘は警察とグルになって未解決事件の犯人をでっち上げるための迷宮ギャンブルを利用して自分が屋形越えに失敗した事実を無かったことにし、さらにこの迷宮ギャンブルに関与していた警察関係者の天真とその部下である密葬課の箕輪とのギャンブルにも勝利してLファイルを獲得する。

他方、自らの力で無実を証明すべく立ち上がった梶は、貘から得た情報で殺人事件の真犯人である羽山邸へと潜入、羽山家に取り入るヤクザの鞍馬と滑骨の代理戦争に巻き込まれる形で「ファラリスの雄牛」の勝負に臨んだ。

焼かれたカールが瀕死の重傷を負うが、カールとの協力もあり梶が最終的に勝利して事件の証拠を獲得、負けを認めようとしなかった滑骨は屋敷の外で伽羅によって葬られるが、伽羅は滑骨が契約していた伝説的ボディーガードのキョンホ・ジョンリョに狙われることとなり、姿を消した。

貘は梶が獲得した証拠と犯罪者が載るLファイルを使い、テレビ局を乗っ取って生放送での暴露番組を企画し、貘はゲストの中に潜ませていた梶と共謀して500億もの大金をゲストから巻き上げることに成功する。

放送市場類を見ない番組を終えた貘はさらに電波ジャックを継続し、Lファイルを利用して賭郎が用意した搦手の人員を各所に受け入れさせ、500億と合わせて屋形越えの権利に手をかけた。

そのまま貘は搦手が成立するまでの時間稼ぎとして旧電波塔である帝国タワーで賭郎勝負を始めたが、相手として現れたのは零號立会人の切間撻器を連れた謎の男・捨隈。

2人の戦いはアイデアルのカラカルとマーティンや鞍馬組も割り込み混沌とした戦いとなるが、アイデアルの工作員だった捨隈の思考をも看破した貘が勝負を制した。

他方、タワーの外では賭郎と警察が互いの代表による激しいバトルが繰り広げ、搦手の成立と笹岡副総監の死によって決着し、密葬課は解体、真鍋と三鷹の2人は賭郎に吸収されることとなる。

零號の称号を賭けた號奪戦でも死力を尽くした妃古壱が撻器から勝利を挙げ、貘が賭けに勝ったものの、その勝負の裏で貘の500億がアイデアルに横取りされてしまう。

さらに持病の記憶喪失を起こしたお屋形様がかつてお守役だった栄羽と合流すべく、賭郎の追っ手を振り切って行方をくらませた。

お屋形様の表の顔である内閣調査室の蜂名直器と面識のあった防衛省の大船額人が逃走を助け、額人が追う武器密輸事件の捜査に協力することとなった蜂名は、密輸の受渡場所であるジャルード号に額人と共に潜入。

船に拘束されていた新聞記者の横井と偶然巻き込まれた梶と共に額人がレーシィ船長と賭郎勝負「バトルシップ」を繰り広げ、額人は勝負に敗れたものの、梶や賭郎たちが脱出した後に蜂名の工作によって船は沈没した。

その蜂名とアイデアルのボスであるラロが接触し、貘と3人で直接対峙、屋形越えの挑戦権を賭けて勝負することが決まる。

限られた空間・時間・協力者の人数のなかで好きに勝負ができる卍勝負となり、オンラインゲーム「プロトポロス」の世界を現実に再現した絶海の孤島で勝負が始まった。

勝敗は期日までにゲーム内の3つの国を統一し、最高位の皇帝となること。

各所でラロ側との戦いが勃発し、ラロの協力者たちを撃破するも、伽羅が死亡。

運営も巻き込んだ混沌とした戦いを経て、貘とラロは互いに全てを賭けたデスマッチ「エア・ポーカー」で雌雄を決することとなる。

1回戦ではラロが勝利するが、2回戦は貘が勝利。

勝負の法則に先んじて気付き優位に立つ貘だが、地獄の扉を先に開いてしまったのだった。

 

41巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

思考の渦に飲みこまれた3回戦

エア・ポーカーの3回戦。

勝負の法則に気づいてしまったがゆえに貘を襲ったのは、1回戦と2回戦で使われたカードを読み解いて残りのカードからどんな役が作れるか予測するという思考の渦。

ラロはなるべく考えずに酸素を温存していたが、貘は机の上にメッセージを刻み、ラロにあえて勝負の法則を伝えた。

そのメッセージを理解した途端にラロも思考の渦に飲み込まれることとなる。

一気に頭が追いつかなくなった2人は共に空気を交換し、3回戦に出すべき手札を考える。

ラロの切り札はロイヤルストレートフラッシュが作れる47、計算上はまだAも1枚残っているため成立するはず。

一方の貘の切り札は3~7でストレートフラッシュが作れる25。

貘はこの切り札を使って残る3戦のうちどれか1つでも勝てば逃げ切り可能だが、残る自分の手札は数字が小さく強い役がつくりづらい状況。

確実に切り札を使って逃げ切りたい貘と、貘の切り札を潰したいラロ。

ラロがさらに空気を交換、2人がカードを選択して3回戦が始まるのであった。

読み勝った貘だが、想定外の天災に襲われる

選ばれたカードは貘が45、ラロが47。

ラロが切り札のロイヤルストレートフラッシュを使ったのに対し、貘が作れるのはJx4枚+Aのフォーカード。

ラロの切り札を釣ることができた貘は、このままミスを犯さなければ勝利できる状況。

しかしラロは2ビオスだけBETし、貘を勝負に誘う。

これで負けてもまだ貘は逃げ切り可能なはずであり、貘はコール、互いに5ビオスで勝負が成立した。

判定の結果はラロの47の勝ち。

そしてこのとき、眩い光と共に天災が起きたことが告げられるのだった。

天災の条件

ある特定の負け方をした場合にのみ起こる天災は、賭けた分と同数の空気を放出するペナルティ。

その条件は必要なカードが被った上で役で負けることであり、3回戦での2人の役は互いにAとJが被っていた。

貘は5ビオスを強制放出となり、1勝すれば逃げ切りというアドバンテージが消滅。

残るビオスは貘18-19ラロと逆転を許し、限られた酸素の中でラロの狙いに気づけなかったことに悔しさを露にするのであった。

同時進行で行われていたハルと梟の勝負

貘が呼吸のために空気を入れ替え、所持ビオスはさらに1減って17に。

残る勝負は2回、「役がどのように作られているか」という疑問に行き着く2人。

その謎は、同時進行で行われているハルと梟の勝負にあった。

ハルと梟は貘とラロが選択したカードがオープンになってからその数字をもとに役を作り上げる役割を担っていた。

時は少し遡り、運営のコンピュータールームに乗り込んだ梟はメインコンピュータの破壊で貘の勝利も成立させないことをチラつかせつつ、ハルとポーカーの賭郎勝負を要求。

以前に負けた記憶を失っているハルは、この勝負を拒否しようとする本能を抑えつつ、互いの専属立会人である真鍋と紫音に任せることに。

貘とラロのメイン勝負に協力する形の勝負となり、貘とラロが選んだ数に応じて2人はそれぞれ役を作ることとなる。

・役を作る制限時間は100秒
・プレイヤーに分かるのは仲間のオープンした数字のみで、相手の数は決着まで分からない
・制限時間のオーバーや合計数の誤り、一度使用したトランプの選択は負け
・役作りは頭の中だけで行う
・使用したカードが重複した際は「天災」が起こり、仲間に大きな影響が及ぶ
・ハルと梟の勝負では負けた方が拷問器具「魔女の痛み」による苦痛を受ける
というルールが課された。

「魔女の痛み」は串刺しや火あぶりなど、5種類の痛みを電気信号として与えることができる拷問器具。

5回戦のうちどの回にどんな痛みが当たるかはその時にならないとわからない仕組み。

ハルは勝負に勝った際は梟が持つ貘と自分の記憶を全て話すように要求し、勝負が始まった。

1回戦はハルが8x4+4の4カード、梟がスペードのA~5によるストレートフラッシュで梟の勝ち。

負けたハルには「八つ裂き」の痛みが与えられ、早くも心を折られかけるのであった。

【41巻のまとめ】

3回戦では貘が読み勝ったものの、特殊な負け方をしたことによるペナルティの「天災」が発動し、ラロに逆転を許してしまう。

エア・ポーカーに連動して貘とラロの選んだ数字に対応するポーカーの役を作る工程は、同時進行で行われていたハルと梟の勝負によるものだったことも明かされた。

残すは2戦、果たして勝負の行方は―。

次巻へ続きます。

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