2074年、宇宙開発により人類は宇宙での生活を可能としていた。
その代償として地球圏には多くのスペースデブリ(宇宙ゴミ)が漂うこととなる。
小さなデブリであっても、宇宙船と衝突すると大きな被害となる。
ハチマキこと星野八郎太は宇宙船購入という夢のために、デブリ回収の仕事をしていた。
ハチマキは宇宙で様々な経験して、もがきながらも夢と仕事に向き合っていく。
2075年、自分の宇宙船を持つという夢の足掛かりとして、2078年に完成予定の木星往還船フォン・ブラウン号のクルーを目指すハチマキ。
ハチマキの代員としてやって来た新人タナベ。
目標のため、周りを顧みず突き進むハチマキにタナベは危うさを感じ、考え方の異なる2人は度々衝突することとなる。
だがやがてハチマキにとってタナベは大きな存在になろうとしていた。
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ハチマキの異変
フォン・ブラウン号に搭乗する船員を紹介する記者会見の席で、ハチマキは気絶をしてしまう。
ある猫に会ってからだ。不思議なほどハチマキの心は静まり帰っていた。
連日の訓練のため疲れが出たのではと、同僚サリーがピクニックを提案した。
気分転換にと思いハチマキはピクニックと称して、2日程はゆうに過ごせるくらいの食料や水、空気月面に一人腰をおろす。
孤独と静寂の中、再びあの猫の幻影との自問自答が始まる。
自分は何者なのか、どこから来て、どこへどうやって帰るのか。
そのまま1週間後の訓練再開当日、サリーはハチマキがまだ戻っていないことに気づく。
急いでハチマキを置いてきた場所へ向かうと、そこには倒れているハチマキがあった。
声をかけるとハチマキは返事をし、生きているのを確認できたが、1週間もの間ずっとそこに佇んでいるほどハチマキの様子はおかしくなっていた。
タナベと家族
2056年、田名部夫妻は帰宅した際に、1匹の黒猫と1歳にならない女の子が寝ているのに気付く。
一緒においてあった荷物には、「申し訳ありません」の文字。明らかに捨子であった。
その日から当たり前のように田名部家に引き取られ、女の子は「愛」と名付けられた。
あれから時が経ち、フィーのデブリ回収船で働くタナベは、勝手に黒猫を拾ってきてフィーに叱られる。
先日あった事故で飼い主が亡くなった黒猫だったのだが、タナベは放っておけず密かに回収船内で飼っていたのだった。
幼いタナベは感情が欠落したように人に興味をもたず、いつもどこか遠くを見つめている子だった。
そして、寄り添うように黒猫がいつもそばにいた。
小学校に上がろうかという年齢になってもおしゃべりをせず、両親は成長に異常があるのではと思い悩みながら、彼女を育てていった。
そんなある嵐の日、タナベは窓の外にいた例の黒猫を見つめ、黒猫もこちらに視線を返してきていた。
「もう彼らに任せてもいいだろう」という風に黒猫は背を向けて、嵐の中に消えていった。「クロが行っちゃった...」
タナベが初めて言葉口にし、両親はほっと胸をなでおろしながら、黒猫に感謝の念を抱く。
時は現在に戻り、回収船で保護されていた黒猫を連れ、タナベは実家へと戻って来ていた。
父親に会い、猫を頼むと伝えながらバックを開けた瞬間、黒猫は飛び出し一目散にどこかへ。
残念そうなタナベを横目に、父親はあの猫のことを思い返しながら、タナベの成長をしみじみと感じるのであった。
ハチマキとサリー
先日から明らかにおかしい様子のハチマキを心配し、サリーは気が気ではなかった。
ゴローやロックスミスにも相談してみたが、目ぼしい対応策はなく、クルーの中で対処するしかない。
ゴローが秘蔵のアダルトビデオで特別映像講習を施すも効果はなく、業を煮やしたサリーは自ら自分が一晩相手をするしかないと考え、一肌脱ぐことにする。
ピクニック以来、なえてしまったこと、よく見る夢のことを伝える。
空一面にうず巻く天の川銀河に見とれて、目が回ってしまい。目が覚めても眩暈でどうしようもないのだと。
サリーはハチマキを抱き寄せて優しく言葉をかけながら慰めると、ハチマキはタナベに抱きしめられたときに感覚を思い出して安心したのか、そのまま眠りについた。
ハチマキはあの夢の中にいた。いつもと違うのは隣にいるのがタナベだということ。
サリーのそばで子供のように丸くなって眠るハチマキ。
目が覚めると空腹になっていた。
タナベという存在
目を覚ましたハチマキは隣で寝ているサリーを起こさないようにそっと寝床を抜け出し、タナベに会いに行くことを決意。
久々にフィーのデブリ回収船を訪れるが、ちょうどタナベは地球に帰省しており、不在だった。
タナベの部屋で遺言状を見つけたハチマキは、フィーに声を掛けられ、咄嗟に懐にタナベの遺言状を懐に入れてしまう。
そしてタナベの実家に会いに行く道中でその中身を見てみると、中身は一文字目を消した状態のまま進んでいない内容だった。
タナベの実家に着いてタナベと再会を果たすと、ハチマキは歓迎を受け、一緒に食事をごちそうになる。
タナベ家は、ごくごく普通のよくある幸せそうな家庭だった。
タナベもハチマキも多忙な中で地球に戻って来ていたため、すぐに宇宙へ戻る予定だった。帰り道、ハチマキはタナベの遺書を見てしまったことを謝罪すると、タナベは涙を流し、愛しているのに遺書が書けないと打ち明ける。
そんなタナベの気持ちに寄り添うように、タナベを抱きしめるハチマキ。
互いの仕事の合間に同じ時を過ごし、何でもないことを話すハチマキとタナベ。
それで十分楽しかった。
そして、タナベはハチマキからのプロポーズを承諾する。
タナベがハチマキの帰る場所となった。
結婚報告
五郎とハチマキの木星行を祝して、地元の町は盛り上がりを見せてた。
ハチマキは婚約の報告のため、タナベと共に実家へ帰省。
ハチマキの母親は突然の報告に驚きながらも、娘ができたことを喜ぶ。
五郎は間が持たないのか、とにかく酒を酌み交わそうとしていた。
結婚したことで帰る場所がハッキリとしたため、ハチマキはもう手前勝手に死ぬことはできない。
酔い覚ましのため、海岸で弟・九太郎のロケットの発射実験を見ることにしたハチマキとタナベ。。
まっすぐ大気層を貫いてただひたすらに宇宙を目指すロケットは、雄々しく美しく意志の力に満ちた哀しい機械。まるでいままでのハチマキを見ているよう。
だが今のハチマキは、タナベや愛する人との繋がりを確かに感じているのであった。
名前は八郎太
時は遡り、ハチマキが生まれる前のこと。
五郎は火星の最前線で、野球ボールで壁当てをしていた。
臨月の妻を地上においてきたため、心ここにあらず、落ち着かない日々を送っていた。
地球のメッカに祈りをささげていた先輩のイスマイルと他愛ない会話を交わしていると、地球からビデオレターが届く。
臨月まで2週間のおなかをたたきながら、嬉しそうに語る妻。
子供の名前はまだ決まっていない。
応援している阪神が無敵の8年連続リーグ優勝を遂げるが、地球とのタイムラグがあるために、火星からでは臨場感も感動もいまいち感じられない。
結局頑張るのは妻だと考えながら、火星での作業に励む五郎。
その最中、義母さんから急に予定より2週間早く陣痛が始まったとの連絡が入る。
今から地球に駆け付けるわけにもいかず、落ち着かない五郎に、事態を把握していたイスマイルは気を使ってか、野球をやろうと誘った。
同僚たちと野球をする束の間の時間、五郎は火星の最前線にいる困難も子供が産まれることへの焦燥感も気にしないでいられた。
夢中で野球を楽しむ五郎は、自分が打席で会心の当たりを放つ瞬間、男の子が生まれるのを感じた。
そういえば息子の名前をまだ決めていなかった。
五郎は阪神のV8にちなんで、勢いのまま「八郎太」に決めるのだった。
【3巻のまとめ】
ハチマキは、いよいよ木星への旅立ちの準備を始める。
しかし、宇宙とは何なのかという深い問いに思いを馳せるうちに、自分自身を見失ってしまう。
宇宙の謎に思いを巡らせるほどに、彼の心は混乱し、不安定になっていった。
そんな時、彼を支え、救い出したのはタナベの存在だった。
タナベとの関係を通じて、ハチマキは再び自分自身を見つめ直し、彼女との絆を深めていく。
二人は絆を深め、ついには婚約するのだった。
次巻へ続きます。
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