デブでオタクのカズキ、イケメンで情報収集担当のサイケ、運転・機動担当のタケオの3人は被害届の出せない悪党だけを狙う窃盗団、通称「バックスカーズ」。
サイケの同窓で振り込め詐欺グループに属していた洋介との内通を皮切りに次々と熟練したテクニックと連携で金を盗み出していく。
親から虐待され、少年院でも酷いイジメを受けながらも強く生きてきたカズキの夢は、犯罪集団の金を横取りしていつか日本を買収し、恵まれない子供たちの将来を守ることにあった。
一攫千金を狙うカズキ達は裏稼業界の頂点に立つ六龍天の1人である安達を狙い、ヤクザの宮島や道具屋の高田、ヤン達チャイニーズマフィア、安達系列の裏稼業番頭である加藤やマルコス山田率いる走り屋集団を味方に引き入れ、全員で安達を潰す作戦を練る。
しかし安達とコネのある刑事から情報が漏れ、作戦は失敗。
カズキ達は一転して全員安達から追われる身となり、加藤はひき逃げに見せかけて殺されてしまった。
高田が安達サイドに寝返り、安達はますます勢いづいていく一方、それでもカズキ達は再び安達潰しの作戦を練り直す。
ところが順調に金を追い続けていたところに突如として東日本大震災が起こり、事態は一変。
被災地での悪行を阻止すべく東北に急行し、時を同じくして詐欺の実務部隊として良心の呵責に悩み安達に反旗を翻すことを決意した来栖や鰯田たちを味方に引き込んだ。
安達と繋がっていたアゲハも味方に引き入れ、いよいよ一丸となって安達潰しに向かっていく。
来栖の情報収集により、安達が壮大な詐欺とマネーロンダリングの仕組みを作ろうとしていることを知ったカズキ達は、仲間たちの協力で安達が集めた資金を高級タワーマンションの最上階に保管していることを特定し、いよいよマンションへの侵入作戦が始まった。
しかし安達の兄でヤクザの力也がキナ臭い匂いを嗅ぎつけて現場に乱入。
タケオと鰯田が力也を足止めするなか、カズキ達は金庫室への侵入を急ぐのだった。
最終巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
力也と対峙、金を盗み出す
階段で力也と対峙するタケオと鰯田。
2人は必死で足止めするため、タケオが力也を羽交い絞め。
そのタケオごと鰯田が力也を階段から突き落とす。
〈力也を2人がかりで突き落とす[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
力也は頭から落下して失神。
タケオと鰯田はボロボロになりながら金庫を目指す。
他方、先に金庫室に突入したカズキ・ヤン・マルコスの3人。
お手製の音響閃光弾で見張り役を倒し、カズキは金をヤンとマルコスに任せタケオたちを迎えに行く。
〈金庫室を制圧[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
階段では目を覚ました力也が2人を追い詰めていた。
とはいえ、力也にも相当のダメージが溜まっている様子。
カズキは捨て身タックルで力也を気絶させるのだった。
脱出成功
マンションのエレベーターの扉を開け、そこから金の入ったバッグを1階に降ろしていくカズキ達。
〈金を降ろしていく[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
数十分かけて全てのバッグを降ろし切り、あとは脱出するのみ。
外では誰かの通報を受けて警察が近辺の誘導を開始しているなか、タケオが力也との戦いのダメージがたたり動けなくなってしまう。
タケオを荷物に詰め、引越屋に偽装したカズキ達は警察の検問を逃れて脱出に成功。
〈脱出成功[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
そこにタケオの友人のカルロスが駆けつけ、タケオを病院に搬送するのだった。
高田を人質に取る安達
タケオは一命をとりとめるも意識不明の重体。
大金を奪うことに成功したカズキ達は、身を隠す準備に入る。
しかしそこにカズキの携帯に着信が。
電話の向こうでは、安達が高田を内通者と見做して拷問していた。
「高田を助けたければ奪った金を1人で持って来い」
〈高田を人質に取る安達[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
普通ならば高田を見捨てて逃げる場面だが、友達の命を決して見捨てないカズキは即答で了承。
それもそのはず。
中華料理屋で高田とメガネを交換したあのとき(※5巻参照)から、2人はずっと仲間。
高田はカズキに協力するために安達のところに潜り込んでいたのである。
高田を助けに行こうとするカズキだが、様子がおかしいことに気づくサイケが止める。
カズキは血管系の重い病気を抱えており、こっそり薬を飲んでいるが激しい動きはご法度の状態だった。
カズキを死なせたくないサイケは必死に止めるが、カズキの覚悟は止められないほど強い。
カズキはサイケとタケオ以外には無断で金を積んだコンテナを動かし、安達のもとへ向かうのだった。
安達・力也との対峙、そして逮捕
安達による拷問で右腕や両足を切断され、瀕死の高田。
これまでの生い立ちが走馬灯のように蘇るが、そこにカズキがやってきた。
〈高田を救出に来たが…[ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
たった一人で来たカズキをいたぶる安達と力也。
最後まで心折れず、自分の夢を安達に語るカズキ。
思い通りにならずイライラを募らせた安達がヒートアップしたところで、宮島と共に警察と機動隊が駆けつけた。
〈現行犯逮捕の瞬間 [ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
安達と力也は殺人容疑の現行犯で逮捕される。
しかし力也もタダでは捕まらない。
隠し持っていた手榴弾で逃走を図る2人。
が、力也が足を負傷し、兄を見捨てられなかった安達も最後はお縄につくのだった。
カズキの死と託された夢
サイケとタケオも駆けつけ、カズキを病院に運ぶ。
しかしカズキは2人に笑顔で感謝を伝えながら意識を失ってしまった。
〈カズキの最期の言葉 [ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
そのままカズキは息を引き取り、カズキの夢は仲間たちに託される。
仲間たちの国外逃亡をヤンが手助けし、奪った金でそれぞれが独立していく。
サイケは猛勉強の末に不動産事業で独立、さらに母子家庭向けに賃貸のチェーンを展開。
タケオはカルロスと共にビンテージアメ車専門工房をしながら、子育て世帯に特化した家事代行のフランチャイズに携わる。
ヤンはイギリスに移住し中華料理店を開業。
ユイカはヤンについてイギリスに渡り、母と再会した後に大学に通っている。
来栖は消費者金融業で独立し、アゲハと共に学生専門の人材派遣業も展開。
マルコスはアフリカ各国に自動車整備関連の職業学校を展開し、世界から一目置かれる存在となる。
安達は懲役20年の刑が確定。
高田は高度なセキュリティAIを開発して得た巨額の富で社会福祉法人やNPOを立ち上げた。
洋介は画才が開花し世界各地で活躍するアーティストとなる。
そしてさらに時が経ち、カズキとアヤミの母はドラッグ中毒を克服して保育士に。
アヤミは国会議員となり、新設された次世代育成長の担当大臣に29歳という若さで異例の抜擢を果たした。
〈次世代育成大臣に抜擢されたアヤミ [ギャングース 16巻](c)講談社/肥谷圭介・鈴木大介〉
こうしてカズキの夢を仲間たちが紡いでいくのだった。
【16巻(完)のまとめ】
安達を出し抜いて大金を盗み出すことに成功した。
怒る安達と力也は高田を拷問し、人質としてカズキを呼び出す。
ずっと裏で高田と組んでいたカズキは高田を見捨てずに安達のもとへ姿を現す。
そこにカズキは身を挺して高田を助け、安達と力也は駆けつけた警察によって現行犯逮捕となった。
重い血管系の持病を抱えていたうえに重傷を負ったことでカズキは意識不明の重体となり、そのまま帰らぬ人となってしまう。
しかし仲間たちは奪った大金を元手に表の世界で新たな人生を歩みだし、カズキの夢を紡いでいくのだった。
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