死刑が廃止された近未来の日本。最も重い「島流し」の刑を受けた凶悪犯罪者たちは監獄の島・天獄島に送られていた。
だがその島では、人間のリサイクルを目指す人体実験が秘かに行われていた。
「不老」の特異体質を持つ少女・いちは島内で研究に利用されていたが、島に潜入した青年・御子柴により助け出される。
研究施設を壊滅し島を脱出した御子柴は、いちと共に中東に潜伏していたが、第二の監獄の島・天極島が選定されたことを知ると、再びいちが狙われることを危惧し日本の特殊捜査官である守野碕とカルロスに護衛を要請。
だが囮となった御子柴が捕らえられ…?
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
第二の流刑地・天極島
かつて死刑を廃止した日本は新たな極刑として流刑を復活させ、罪の重さに応じて3段階の島流しを採用した。
最初の1級(最も重い)流刑地である天獄島がある事件によって閉鎖されてから7年後、社会の高齢化が進み不満を募らせた若者世代の犯罪率が上昇すると、日本政府は新たに第一級流刑地に天極島を選定。
そんなある日、守野碕 仁(すのさき じん)が殺人の罪で第一級流刑を言い渡され、元医師で安楽死を行った東堂航太、元僧侶の三倉洋数、そしてモヒカンでオネエ言葉の日比屋清正ら他の囚人と共に護送機で天極島への流刑が実行された。
国から共存することを拒絶された者たちが棲み、周囲は極寒と激しい波という過酷な環境に囲まれ、二度と出られない島。
収容施設は厳格に管理されている様子だが、問題が無ければ衣食住整った環境で安らかな死を迎えられるという。
しかし管理者と思わしき男は三倉だけを検査室へ案内。
そして守野碕らが見ている前で三倉は神経ガスを吸わされ、一瞬で絶命してしまった。
三倉は全身にがん細胞が転移しており、施設での生活に耐えられないと判断されて強制的に安楽死の措置が取られたという。
ここは日本ではない場所、天極島には独自のルールが存在しているのであった。
記憶喪失のまま謎の施設での共同生活が始まる
3つのエリアのうち、エリアBの同部屋に収監されることとなった守野碕と日比屋は、同じように「治療」と称した措置を受けたのか様子がおかしい囚人を見かけ、得体のしれない恐怖を抱えることとなる。
恐怖とストレスを募らせた日比屋は守野碕に殴りかかってしまうが、守野碕は身体が覚えていた護身術で応戦しつつ、自分が記憶喪失であることを明かした。
守野碕 仁という名前が本当なのかも、自分が流刑になった経緯も何も思い出せない状況。
翌朝にはエリアの主任看守のユーリ杉原から施設と生活のルールの説明が行われる。
決まっているのは食事の時間と週に一度の健康診断だけであり、施錠されていないエリアへの移動も自由、看守は囚人同士の関係には干渉しないという。
しかし他の囚人によるとある日突然他のエリアに連れていかれる囚人がおり、そうなると二度と帰ってこないか治療と称して目をくりぬかれたりして無事では済まないらしい。
この島の裏にある本当の目的は何なのか、何をすると連行されるのかもわからないまま、施設での生活が始まるのであった。
脳裏に蘇るトラウマと自分の素性を知る看守
部屋に戻った守野碕はテレビ番組からふと記憶がフラッシュバックする。
燃え盛る炎のなか、少女が自分に”パパ”と言いながら泣き叫ぶ光景だが、それ以上は何も思い出せない。
そんななか、また囚人が看守に連行されようとしているところに出くわし、守野碕は割って入ろうとする。
ユーリに目をつけられ引き下がるしかなかった守野碕はこの島をどうにかして脱出する決意を固めるが、そこに1人の看守が近づいてきた。
守野碕のことを知っているようなその看守は、守野碕が記憶喪失であることを知ると急に態度を変えて守野碕の腹を殴り、立ち去ろうとする。
しかし守野碕にとっては自分の記憶を取り戻すための重要人物の存在を知ることができたのであった。
研究を続けていた水沢
他方、東堂はエリアSに通され施設の研究チームのリーダーで責任者でもある水沢からスカウトを受けていた。
現在教授にまでなった水沢は、天極島で「仕働夫」と呼ばれる存在を人体実験で創り出す研究をしていた。
仕働夫とは、人格を完全に破壊して命令に従順にリサイクルして作りだした新しい奴隷のこと。
これを産業として大量に作り輸出することを画策していたが、その拠点である天獄島が事件によって閉鎖されたことで研究データが消失。
しかし生き残っていた仕働夫をこの天極島へと連れて来て秘かに研究を再開・進化させているのであった。
二重人格の日比屋
施設の中でギャングのグループに目をつけられ、オネエの日比屋が襲われてしまう。
しかし気絶したところで急に起き上がると、別人のような凶暴性で一気にギャングたちを返り討ちに。
その場面に出くわした守野碕が止めに入ると、日々屋は自分が二重人格であることを明かした。
普段のオネエ言葉を使う方は「ユリカ」といい、本来の人格は今の「清正」の方。
清正はユリカを怯えさせるものを許さず、この島からの脱獄を狙っているという。
そして脱獄の協力者として守野碕と組もうとするのであった。
看守との接触に成功
騒ぎを聞きつけたユーリは「大事な商品に傷をつけられるのは許されん」として日比屋に銃を突きつけ、処刑しようとする。
ここで守野碕は日比屋を庇い、「さっき看守のひとりに殴られた腹いせでやった。商品に手を出したのは看守が先だ」と反論。
結果として守野碕は独房に入れられることとなるが、この作戦が功を奏し、守野碕のことを知るさっきの看守を面会に呼び寄せることに成功する。
看守の男は3年間も守野碕のことを待っていたと明かしながら、今回の暴行の件で処分が下されるまでの間に守野碕に記憶を取り戻すよう指示。
正確には、看守の男は守野碕を待っていたのではなく守野碕が持つとある情報を待ち望んでいたのであった。
島を訪れたVIP
守野碕の記憶の回復を望む看守(カルロス)は、ユーリに進言してある強硬手段でのショック療法を狙う。
ちょうど天極島にはVIPとしてイリノフという紳士、レイミーという美しい女性がペットの狼であるヴォルクを連れて訪れ、VIP向けのエンターテイメントも兼ねているという。
もともとこの天極島にはイリノフの経営する製薬会社の研究施設があり、それを流用して水沢が臓器売買のビジネスと並行して自力で人間を創り出す研究を進めていたのだ。
そして守野碕への処分は、腹をすかせたヴォルフとの殺し合い。
逃げ場のない場所で、負ければ生きたまま喰われるというショーがイリノフとレイミーの前で行われることになるのであった。
狼との殺し合いで記憶を取り戻す
幸いにも拘束はされず抵抗が許された守野碕は身体の赴くままに必死にヴォルクと戦う。
嬲られ続け死を覚悟したそのとき、守野碕はかつて自分が戦地で銃を突きつけられて死にかけた記憶がフラッシュバックし、そのショックで復活。
ヴォルクの目に指を突っ込んで潰し、形勢逆転。
レイミーは戦意を喪失したヴォルクを射殺し、守野碕に強い興味を持つこととなる。
そしてカルロスの期待通り、記憶を取り戻した守野碕。
カルロスとは相棒であり、それぞれが任務のためにこの天極島に潜入していたのであった。
【1巻のまとめ】
死刑が廃止された近未来の日本。最も重い「島流し」の刑を受けた凶悪犯罪者たちは監獄の島・天獄島に送られていたが、そこで行われていた非人道的な研究が露呈し島は閉鎖された。
第二の監獄の島・天極島が選定され、記憶喪失の守野碕という男が他の囚人と共に移送されることとなる。
島では教授にまで上り詰めた水沢が、「仕働夫」と呼ばれる存在を人体実験で創り出す研究を秘かに継続していたことが判明する一方、守野碕は自分の事を知る看守のカルロスと出会い、ショック療法で記憶を取り戻すことに。
天極島を訪れたイリノフとレイミーというVIPの面前でエンターテイメントとして狼との殺し合いをすることとなった守野碕は、命懸けの戦いに勝利し、カルロスの期待通り記憶を取り戻す。
守野碕とカルロスは相棒関係であり、それぞれがある任務のためにこの天極島に潜入していたのであった。
次巻へ続きます。
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