女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
循環器内科のプロである藤吉も引き入れることに成功した。
常に患者のためにまっすぐな朝田は心臓ペースメーカーの不備問題をはじめ医局のルールを無視して問題を解決するが、野口はそんな朝田と加藤に目を付け始める。
患者は加藤の恩人でもある元婦長の奈良橋文代。
患者がチアノーゼを起こすトラブルが発生し、なんとか術中死を回避したものの、ミキに越権行為となるグラフト採取をさせたことで波乱含みのまま初回のバチスタは終了した。
それでも加藤はマスコミへのリークを盾に野口を説得し、バチスタチームは不問となった。
術後、現場に嫌厭されるようになったミキは朝田や兄の軍司といた北日本大での過去の事件について加藤に明かすのだった。
6巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
軍司もバチスタを成功させていた
NGOの解散と共に、2年半ぶりに帰国した朝田とミキは、教授に背いたせいで次の受け入れ先の病院は見つからず、徐々に堕落した生活を送るように。
そして軍司の呪縛から解放された2人を加藤が救い出したのだった。
しかし運命の悪戯か、加藤たちがバチスタを行った同日、同時刻に北日本大で軍司もバチスタを成功させていたことが明らかになる。
〈軍司もバチスタを成功 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
論文レースで軍司に後れを取っては全てを失う。
加藤は2人目のバチスタへと進んでいく。
ERで麻酔のプロ、荒瀬と出会う
しかし野口はそんな加藤に対し、朝田を数日間ERに貸し出すことを決める。
加藤が失脚すれば朝田はそのままERへ、という筋書きのようだ。
当の朝田は伊集院を巻き込んでERへ出向き、伊集院を鍛え上げることに。
そこで朝田と伊集院は麻酔医の荒瀬に出会う。
〈荒瀬との出会い [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
荒瀬はERに手術1回100万という高額の金で雇われた男で、契約内容以外のことへのやる気はみじんも見せない。
しかし腕は確かな男だった。
頻繁にERへ出向き、荒瀬に興味を持ちはじめる朝田。
荒瀬は朝田や加藤・伊集院が見学している手術で麻酔導入時の悪性高熱というレアな症状を見事に見抜き、術中死を回避してみせた。
朝田は荒瀬をバチスタチームへ引き入れるよう加藤に頼むが、ただでさえ全体で麻酔医が不足しているうえ、加藤に予算の裁量はない。
それでも諦めない朝田は直接荒瀬に接触を図る。
しかし荒瀬は論文の絡んだ手術を嫌い、逆に1回300万に要求額を釣り上げた。
〈論文を嫌う荒瀬 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
荒瀬が論文がらみの手術を嫌う理由、それは荒瀬の過去にあるようだ。
患者やその家族との距離感
バチスタ最初の患者、奈良橋の容体は安定している。
しかし心配する息子が毎日のように伊集院のもとを執拗に訪れ、頼ってくる。
〈患者の家族からの重圧 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
同じ研修医の鱈淵は患者の家族相手に住所や電話番号を教えてしまい、自宅で相談にまで押しかけられていた。
プレッシャーに押しつぶされそうになった伊集院だったが、奈良橋の息子に見つかりそうになった際、藤吉に匿われる。
藤吉が伊集院を匿ったのは3ヵ月も昏睡状態が続いている患者の個室で、藤吉が若いころ1人になりたいときに使った手段だった。
患者や家族との間に引く一線について藤吉からアドバイスを受け、伊集院の心は少し軽くなった。
荒瀬の暗い過去
伊集院は荒瀬の事が気になり、荒瀬が関わった麻酔導入新薬の論文を見つけて加藤に報告する。
加藤はその論文のタイトルを聞いただけで苦い顔をした。
〈加藤も知っていたいわくつきの論文 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
とある製薬会社が開発中だった新薬の治験を当時荒瀬が麻酔科として働いていた病院に依頼。
今でこそしの薬は使用法が確立され普及したが、当時は作用が不安定でトラブル続出。
しかし荒瀬たちは教授の指示で患者の家族には「不可抗力的な薬剤アレルギー」と説明して治験結果が有利になるよう偽証、多額の金品と引き換えに国の認可の後押しをしたのである。
当然のようにどの病院でもトラブルが続出しほとんどの病院が使用を中止するなか、使用を強行して多数の患者の命を奪いながら適正な使用法を確立し書き上げた論文だったのである。
朝田はそんな荒瀬の過去を聞いても、荒瀬を引き入れることをやめる気はなかった。
それどころか、ERで荒瀬の雇い主に当たる鬼頭に対し、自分がERを手伝う代わりに荒瀬をバチスタに借り受けることを切り出す。
〈荒瀬を引き入れるために金を工面する朝田 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
鬼頭は快くその提案を飲んだ。
その頃、当の荒瀬は自分に麻酔を打って薬に溺れており、そんな荒瀬を見つけた伊集院が騒ぎになる前に車で連れ出していた。
荒瀬に言われるがまま向かったのは行きつけのバー。
荒瀬はそこでまるで自分の罪から逃げるかのように、金を湯水のように使って金と一緒に消えるかのように潰れるのを繰り返していた。
〈酒に逃げていた荒瀬 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
バーテンダーの香が重傷を負う
荒瀬の過去をマスターとバーテンダーの香から荒瀬について聞いた伊集院だったが、それでも荒瀬への反感は消えない。
客も減り、香がグラスを買いに外へ出ていく。
夜が更け、伊集院も酔いを醒まして帰ろうと外へ出たとき、警官が駆けつけるほど騒ぎが起きていることに気づく。
何か事故だろうか、でも自分は疲れているし救急車もそのうち来るだろう。
面倒はイヤだが、とりあえず慈雨今日だけは確認しよう…。
伊集院が野次馬を押しのけて確認すると、先ほどグラスを買いに出た香が近くの宝石店を狙った強盗に発砲され、胸と足を撃たれていた。
〈香が撃たれて重体に [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
足の方は大量に出血しており、動脈が切れているようだ。しかし銃創の処置などやったことはない。
混乱して助けを呼ぶ伊集院のもとに、荒瀬が駆け付けた。
〈荒瀬が駆け付ける [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
荒瀬は消毒もしていないシャツの端を傷口に突っ込んで無理やり止血し、時間を稼ぐ。
救急車が到着し、そのまま朝田がいる明真へ搬送されることとなった。
身近な人の死から目を背けたい荒瀬
救急車の中。
香は出血多量でショック状態にあり、もってあと10分。
伊集院は自分の無力さを嘆き、荒瀬は香に言葉をかけつつもできることはなく、現実逃避をはじめている。
〈現実逃避する荒瀬 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そのとき、香が朦朧とする意識の中、かすかに言葉を絞りだす。
きっと香の最期の言葉になるかもしれない。
しかし荒瀬は金のために人を殺してきた医者に最期を看取る資格は無いと、耳を塞ぎ目を背けてしまう。
〈現実から目を背ける荒瀬 [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
荒瀬に託されて香の口に耳を近づける伊集院。
香が絞り出したのは、母に助けを求める声だった。
〈香の最期の言葉になってしまうのか [医龍 6巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そして救急車が明真に到着。
待ち受けていた朝田による緊急手術が始まる。
【6巻のまとめ】
加藤と同じ日に北日本大で軍司もバチスタを成功させていたことが明らかになり、バチスタの論文レースが熱を帯びていく。
朝田と伊集院は野口の命令でERに応援行くこととなり、そこで麻酔のプロである荒瀬と出会った。
荒瀬は過去に多数の患者の命を奪いながら薬の適切な使用法を確立させた暗い過去をもち、それ以来ただ金のためだけに手術をし、論文絡みの手術を非常に嫌う男である。
稼いだ金も、自分の罪から逃げるために行きつけのバーで盛大に使って飲み潰れるだけ。
そんな荒瀬の過去を知った伊集院だが、その行きつけのバーの店員が重傷を負ったところに居合わせる。
荒瀬もすぐに応急処置を施すが、救急車のなかで出血多量のショック状態に。
身近な人の死から目を背ける荒瀬。
そして救急車が明真に到着し、朝田による緊急手術が始まる。
次巻へ続きます。
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