女性として教授に上り詰める野望をもつ加藤が天才外科医の朝田とオペ看のプロであるミキをスカウトし、バチスタチームの結成を目指す。
朝田はさっそく医局に染まり切っていない研修医である伊集院に目をつけ、強引ながら指導をしていく。
循環器内科のプロである藤吉も引き入れることに成功した。
常に患者のためにまっすぐな朝田は心臓ペースメーカーの不備問題をはじめ医局のルールを無視して問題を解決するが、野口はそんな朝田と加藤に目を付け始める。
患者は加藤の恩人でもある元婦長の奈良橋文代。
リスクの高い手術だが、朝田はその神がかり的な技術で手術を進めていく。
しかし麻酔と臨床工学士が朝田の腕に後れを取り始め、患者がチアノーゼを起こしてしまう。
このままチアノーゼが全身に回れば術中死に。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
術中死は回避
患者がチアノーゼを起こし、パニックを起こす新米工学士の前田。
朝田は手が離せず、加藤も人工心肺装置のフォローはできない。
朝田に命じられた伊集院はおぼろげな記憶を頼りに前田のフォローに回る。
伊集院は呆然としている前田をひっぱたき、落ち着きを取り戻させた。
〈前田をひっぱたく伊集院 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
無事に血液の色が正常に戻り、患者はチアノーゼを脱した。
伊集院がフォローに回ったせいで加藤の負担が重くなる。
それでも朝田は集中を切らせることなく手術を順調に進めていく。
越権行為を指示する朝田
そして開始から2時間。予定よりいいペースだが、ここで朝田が異変に気付く。
右心房の一部が微小な梗塞を繰り返しており壊死寸前だったのである。
〈新たな処置が必要に [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
朝田は急遽、グラフト採取の手術を追加で行うことを決断する。
しかし加藤も朝田も手が離せず、伊集院は一度離れているため再消毒が必要。
そこで朝田が指名したのは、オペ看のミキだった。
〈ミキに越権行為を指示する朝田 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
看護師にできることを越えた、越権医療行為である。
当然、加藤や野口は必死に止めようとするが、患者のためのベストな選択に妥協を許さない朝田は加藤に頭を下げ、そうこうしているうちにミキがグラフト採取を始めてしまう。
そして手術は無事、成功した。
術後の言い逃れ
手術は成功しても、ミキにさせた越権医療行為を野口たちが看過するはずがない。
それでもまだ野望を諦めない加藤は、自分の保身を図り早くも根回しを進める野口に対しある提案をする。
院内倫理委員会での査問は避けて通れない状態だが、「朝田の判断は正しかったと証言するのが得策だ」と加藤は切り出す。
〈加藤の話術 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
加藤は野口が欲しているであろう、「最も傷つかない方法」を提示してみせ、さらに「バチスタ成功の見出しが明日の朝刊を飾る」と告げる。
そんな状況で大量の処分者を出し以後のバチスタもしないとなれば間違いなく不審がられる。
つまり加藤は「この問題で自分たちを処分すれば、マスコミにすべて暴露する」と暗に脅しをかけたのである。
〈マスコミへのリークをチラつかせる [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
迷う野口だったが、結局加藤の提案を飲み、教授会で朝田の判断を支持。
加藤たちは不問となった。
朝田とミキの過去
それでも現場では悪い噂は立つ。
特にミキは、同僚の看護婦たちから嫌厭され孤立していた。
ミキに惚れている木原はいいところを見せようとミキを庇ってみせるが、ミキはそんな周りの状況には慣れっこのようである。
木原の気持ちをよそに、ミキが加藤との食事で朝田との過去について語りだした。
2人は以前、北日本大病院で働いていた。
しかし朝田がそこで事件を起こし、ミキの腹違いの兄である霧島軍司という外科医に追い出されていたようである。
〈ミキから語られる過去 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
もともと愛人の子だったミキは、中学に入ったときに母とともに父の家に引き取られる。
そこでミキは老いた父の世話をしながら、兄の軍司の過度な干渉を受けて育つ。
父の死後、軍司の支配はより一層強まっていく。
看護学校を出たミキの就職先は勝手に北日本大に決められ、そこでミキは朝田に出会った。
外面はよく若い医師たちのリーダー的存在である軍司と、天才的な腕を持ちながらもトラブルの多い朝田。
2人は仲がよかったが、とある事件が2人を引き裂く。
朝田と軍司を引き裂いた事件
風の強い冬の夜、北日本大に急患が運び込まれてきた。
すぐに緊急手術となり、軍司が執刀医、朝田が第一助手、ミキがオペ看を務める。
手術は成功したが、術後合併症として腎不全を起こす可能性が高く、経過観察が必要な状態だった。
当時から朝田に好意を寄せているミキに対し、軍司は「これ以上朝田に近づくな」と命令する。
〈ミキを束縛する軍司 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
反発するミキを力ずくで抑え込める軍司だったが、その軍司が経過観察のシフトであった時間に事件が起きる。
患者の容体が急変したが、軍司はその頃心臓外科の教授のワインパーティに出席中。
電波が遠く呼び出しが遅れてしまったのである。
ようやく軍司が病院に連絡を入れて容態の急変を聞いたとき、軍司は保身から「朝田にシフトの交代を頼んでおいたはずだ」と主張したのである。
〈朝田に罪をなすりつけた軍司 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
しかし看護師たちはおろか、朝田もそんな連絡は聞いておらず、朝田はバイト先の病院で手術中だった。
不運にもその夜は急患が多く、処置が遅れた結果その患者は永久人工透析が必要な身体になってしまった。
軍司は朝田に罪と責任をなすりつけ、教授は朝田とミキの反論よりも軍司の肩を持ったために、朝田は自ら北日本大からNGOへと旅立った。
〈医局から解放された朝田 [医龍 5巻](c)小学館/乃木坂太郎〉
そして帰国予定を過ぎても朝田は帰らず、そのあとを追うようにミキも辞表を提出、軍司と決別してNGOへと旅立ったのである。
【5巻のまとめ】
術中死を回避したものの、ミキに越権行為となるグラフト採取をさせたことで波乱含みのまま初回のバチスタは終了した。
それでも加藤はマスコミへのリークを盾に野口を説得し、バチスタチームは不問となった。
術後、現場に嫌厭されるようになったミキは朝田や兄の軍司といた北日本大での過去の事件について加藤に明かすのだった。
次巻へ続きます。
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