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勝負の舞台はゲームの世界を再現した島!異質な空間で新たな勝負が開幕『嘘喰い』31巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

多重債務者の冴えない青年・梶隆臣はひょんなことから凄腕のギャンブラー・斑目貘と出会い、行動を共にするようになる。

さらに梶は命すら対価にするギャンブルや、それを成立させるために立会人を派遣する中立の秘密組織「賭郎」の存在を知り、廃ビルでの命懸けの脱出勝負に勝った貘は、全てを凌駕する暴力を持つ別人格の怪物・ロデムを宿すマルコを仲間に加え、賭郎の会員権や大金を得た。

賭郎の会員権を梶に譲った貘はさらに賭郎の能輪立会人の手配で新たな賭郎勝負の場を設定してもらうこととなり、貘と顔なじみである立会人の夜行妃古壱が梶の専属につくなか、富士山中のトンネルでテロリストの佐田国との賭郎勝負に勝ち、お屋形様との取引で再び賭郎会員に復帰。

しかしその裏ではお屋形様の思惑通り警察以上の力を持つ新組織成立へと動き始めており、さらに賭郎の乗っ取りを企む米国の犯罪組織「アイデアル」も実行部隊リーダーである暗殺者カラカルが暗躍する。

貘は警察とグルになって未解決事件の犯人をでっち上げるための迷宮ギャンブルを利用して自分が屋形越えに失敗した事実を無かったことにし、さらにイカサマを読み切って勝利を手繰り寄せ、合計11億円とこの迷宮ギャンブルに関与していた警察関係者の名前として天真という男の名前を得た。

貘の命を狙ってその天真とその部下である密葬課の箕輪が現れ、この迷宮ギャンブルの関係者のデータが入ったLファイルを賭けて門倉が仕切る勝負が行われるが、これにも勝利して天真からLファイルを獲得する。

他方、梶は自らの力で無実を証明すべく立ち上がり、貘から得た情報で殺人事件の真犯人である羽山邸へと潜入、羽山家に取り入るヤクザの鞍馬と滑骨の代理戦争に巻き込まれる形で完全な証拠を賭け、梶・カール・郁斗の3人で「ファラリスの雄牛」の勝負。

焼かれたカールが瀕死の重傷を負うが、カールとの協力もあり梶が最終的に勝利して事件の証拠を獲得、負けを認めようとしなかった滑骨は屋敷の外で伽羅によって葬られるが、伽羅は滑骨が契約していた伝説的ボディーガードのキョンホ・ジョンリョに狙われることとなり、姿を消した。

貘は梶が獲得した証拠と犯罪者が載るLファイルを使い、テレビ局を乗っ取って生放送での暴露番組を企画、賭郎勝負としてスタジオには弥鱈立会人が目を光らせるなか、番組ではゲストたちがパネルと共に事件の犯人として暴かれていき、貘はゲストの中に潜ませていた梶と共謀して500億もの大金をゲストから巻き上げることに成功。

放送市場類を見ない番組を終えた貘はさらに電波ジャックを継続し、Lファイルを利用して賭郎が用意した搦手の人員を各所に受け入れさせ、500億と合わせて屋形越えの権利に手をかける。

搦手が成立するまでの時間稼ぎとして旧電波塔である帝国タワーで賭郎勝負を始めたが、相手として現れたのは零號立会人の切間撻器を連れた謎の男・捨隈。

2人の戦いはアイデアルのカラカルとマーティンや鞍馬組も割り込み混沌とした戦いとなるが、アイデアルの工作員だった捨隈の思考をも看破した貘が勝負を制した。

他方、タワーの外では賭郎と警察が互いの代表による激しいバトルが繰り広げ、搦手の成立と笹岡副総監の死によって決着し、密葬課は解体、真鍋と三鷹の2人は賭郎に吸収されることとなる。

零號の称号を賭けた號奪戦でも死力を尽くした妃古壱が撻器から勝利を挙げ、貘が賭けに勝ったものの、その勝負の裏で貘の500億がアイデアルに横取りされてしまう。

さらに持病の記憶喪失を起こしたお屋形様がかつてお守役だった栄羽と合流すべく、賭郎の追っ手を振り切って行方をくらませた。

お屋形様の表の顔である内閣調査室の蜂名直器と面識のあった防衛省の大船額人が逃走を助け、額人が追う武器密輸事件の捜査に協力することとなった蜂名は、密輸の受渡場所であるジャルード号を特定し、額人と共に潜入。

船に拘束されていた新聞記者の横井と偶然巻き込まれた梶と共に額人がレーシィ船長と賭郎勝負「バトルシップ」を繰り広げ、レーシィのイカサマを見抜いた額人だったが、勝負はレーシィが勝利した。

敗れた額人は蜂名に救出され、梶や賭郎たちが脱出した後に蜂名の工作によって船は沈没。

その蜂名とアイデアルのボスであるラロが接触し、貘と3人で直接対峙、屋形越えの挑戦権を賭けて勝負することが決まる。

限られた空間・時間・協力者の人数のなかで好きに勝負ができる卍勝負となり、新章へと突入するのであった。

 

31巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

ゲームの世界を再現した島が舞台

大規模で大人数がオンライン上で遊べるRPGゲームのプロトポロスは、自由度の高さから大ヒットした。

当時オンラインでNo.1プレイヤーとなったチャンプごく一部の選ばれたファンがオフ会で実際にプロトポロスの世界を再現した島、通称オフプロに招待される。

プロトポロスは業界トップのデザイナーであるリチャード・アラタが産んだゲームであり、億万長者となったリチャードは姿を消して引退、その後の関与は不明だが頓挫したリゾート開発の跡地にプロトポロスの世界が再現されたのである。

しかしチャンプは今や島での身分は奴隷となり、1日3食のための10ビオス(通貨)を確保するので精一杯の毎日。

この世界ではテイパー、アズラ、ショウドの3つの国があり、どの国も王、司祭、騎士、魔法使い、戦士、市民、奴隷といった身分に分かれている。

島では現代品や武器の持ち込みは禁止され、配布されるインナーを通じて個人のレベルやHP等全てを管理、戦闘システムにも使われている。

元の世界で居場所を失ったチャンプは、このオフプロのテイパー国でせっせと仕事をこなしながら、奴隷仲間のりゅうせいみのると共に、市民に返り咲くための1万ビオスを稼ぐことを目標にしているのだった。

奴隷が考え出したイカサマのくじ引きゲーム

チャンプは仲間から一定の金を出しあって抽選で1人が手にする頼母子講を考えだし、3人のイカサマで少しずつ金を蓄えていた。

抽選は袋の中から赤い色付きのくじを引けば当たりというくじであり、当たり役を3人で順番に回す約束。

今回は10人も参加者が集まり、100ビオスを賭けたゲームとなり、当たり役はチャンプの番。

しかしチャンプはりゅうせいとみのるに裏切られ、まんまとハズレを掴まされてしまう。

端金で裏切られたチャンプが絶望するなか、そこに遅れてきた貘も参加を表明するのであった。

奴隷同士のゲームに貘が火をつける

同じ奴隷の身分からスタートした貘はくじを引く前に倒れてしまい、くじの入った袋を机に置くように指示する。

その状態で貘はりゅうせいに代わりに引くように頼み、さらに右手で引くように注文をつけた。

もともとくじの中は全てハズレであり、りゅうせいは右手に仕込んだ赤い色のつく実を潰すことで自分の番に当たりが出るようにしていたのである。

イカサマを見抜いた貘は皆が注視するなか、今までと同じように引くようりゅうせいに伝え、イカサマが露呈するのを回避するには貘に当たりを差し出さなければならない状況。

当たりを取られたりゅうせいは、どこまでもお人好しのチャンプを見限ると共に貘へさらなるゲームをもちかける。

奴隷のトラボルタはオンライン上で優しくしてくれたチャンプの味方につくなか、その場にいる奴隷たちを巻き込んで本気のゲームをすることに。

貘は賭郎に立ち会いを求め、オフプロでの貘の専属である伍號立会人のヰ近十蔵がやってくるのだった。

「四神包囲」ゲームが始まる

賭郎はオフプロの運営と交渉し、立会人も他のプレイヤーと同様にインナーを着用して管理される。

ヰ近は大人数でできるゲームとして四神包囲を提案。

ルールは以下の通り。
・数人の子と1人の親との間で行う「あっちむいてほい」である
・親はプレイヤーが持ち回りでローテーションする
・あっちむいてほいは1ゲームで最大3回繰り返し、親の方向を3回外して初めて子は賭け金を親から得ることができる
・親も子も、1ゲームの中で上下左右の同じ方向に二度振ることはできない
・親の交代は、①自己申告で次の親番が了承する、②親が継続不能となった、③1ゲームで子全員に負けたときのいずれかの場合に行われる

最初の親はメンマ、子はBETしたビオスに応じて高い順に階段に並ぶこととなり最初のゲームが始まるのだった。

ゲームの肝にいち早く気づいた貘

最初のゲーム、子はトビ太が10ビオスでトップ、貘が5ビオス、その他チャンプ・トラボルタ・パチャンガは最低BETの1ビオス。

このゲーム、子にとっては1回目を凌げば2回目は既に親が振った方向がセーフ確定となる。

1ゲーム目は様子見程度で流すが、2ゲーム目からみな賭け金を上げ、次第にゲームの肝は2回戦目にセーフ確定を使うか勝負かの読み合いにあることに気付き始める。

セーフ確定を使えば3回目で2択の勝負、勝負に出て勝てばそのまま勝ち確定となるのである。

貘は予めトビ太と取引し、貘が張るBET額を教えて最上位の段を譲る代わりにトビ太が最初に向く方向を教わることに。

貘は2番目くらいの位置をキープしながら的となるトビ太と方向を被らないようにすることで、次第にヒートアップしていく空気のなか目立たぬように着実に勝ちを重ねていく。

そしてついにパチャンガが破産するが、ヰ近は命と引き換えに200ビオス貸し出すことを提案するのであった。

徒党を組んで必勝法を編み出したりゅうせい

ヰ近の提案に貘がまず手を上げるなか、必勝法に気づいたりゅうせいは金に余裕のないみのる・トビ太・パチャンガと徒党を組み始める。

りゅうせいがまずターゲットにしたのは、親となったチャンプ。

りゅうせいはまず4人でBET額を揃え、1ゲームに4人で別々の方向を向き、生き残った3人が2ゲーム目でセーフ確定を使うことで、3ゲーム目は少なくとも2人は勝てる状況を創り出した。

必ず2人が勝ち抜け、運が良ければ3人が勝てる仕組みであれば、チームとして絶対に負けることは無い。

為すすべなくチャンプはビオス不足で親続行不能となり、次の親は貘にターンが回るのであった。

貘が全員を一網打尽に

一発逆転を狙うチャンプは自分を慕うトラボルタを説得して共にヰ近から200ビオス借り、大勝負に出る。

しかし1回目でトラボルタが、3回目でチャンプも貘に負け、あっという間に命の200ビオスを失ってしまった。

貘はこのゲームはあと1時間でお開きにすることを決め、その間に何とか小銭を手に入れたチャンプはトラボルタと2人で再起を図る。

りゅうせいら4人の必勝法に対し、貘は「もし自分が指を振らなければ賭け金である200ビオスと引き換えに全敗、つまり強制的に親交代で逃げられる」と揺さぶりをかけ始めた。

貘からビオスを巻き上げたかったりゅうせいが動揺した隙を突いて貘が指を振ると、慌てたりゅうせいが振るべき方向を間違え、4人中3人が敗北。

さらにゲームを続けるうちに貘は意図的にりゅうせいのビオスが減り、チャンプやトラボルタを含む他の奴隷たちの所持ビオスが多くなるように操作。

4人トータルで見れば負けることはない必勝でも、それぞれでビオスが変動するところを突き、りゅうせいが狙い打ちされてビオス不足に陥る。

貘の大勝ちを見て、次のゲームで子全員が全額を賭ける決意を固めた。

1回目で子全員が同じ方向を向いてセーフを勝ち取れば、全勝も狙えて貘から身ぐるみはがすのも夢ではない。

何とか貘を騙そうとチャンプが皆をまとめるが、その策も貘に見破られ、儚くも全員1回目で一網打尽となるのであった。

【31巻のまとめ】

賭郎勝負の舞台として用意された舞台はオンラインゲーム「プロトポロス」の世界を現実に再現した絶海の孤島。

勝敗は期日までにゲーム内の3つの国を統一し、最高位の皇帝となること。

最下層の奴隷からスタートした貘は、早々に奴隷たちを相手にギャンブルで圧勝するのであった。

次巻へ続きます。

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