地上最強の生物と謳われる父、勇次郎との決闘へ向けてトレーニングに励む刃牙。
自らアリゾナ州立刑務所に収監され、見事オリバを上回った。
その頃、古代から野生人ピクルが蘇る。
烈と克己が敗れて身体の一部を失い、ジャックもまた「日に2度の敗北」を再び味わう。
そして烈と克己からバトンを託された刃牙もまた武術をもって翻弄しペースを握るが、最後は武術を捨てて真っ向からの勝負をあえて望み敗北した。
烈はボクシングの門を叩き大物プロモーターのカイザーに連れられてアメリカへ。
デビュー戦では元王者のワーレフに余裕で勝利し、衝撃的なデビューを飾る。
しかし"スモーキン"ジョーとの対戦では苦戦を強いられながらも逆転KO勝利。
次の相手は最強王者ウィルバー・ボルトに決定した。
他方、数度の親子団欒を経てついに親子喧嘩にいたった刃牙と勇次郎。
大観衆が詰めかけ困惑する勇次郎をよそに、刃牙にエンジンがかかっていく。
勝利を目指す刃牙に対して勇次郎も姿勢を改め、息子を好敵手として認めるために本気で向き合い、割って入った梢江の制止も聞かずに戦い続ける。
その戦いにも終わりが近づいていく。
鼓膜が破れた刃牙に対し勇次郎は戦いの終わりをつげ、おもむろに拳の握り方を教え始めるのだった。
37巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
終わりを感じる観衆たち
刃牙がまだ幼いころの様に、拳の握り方を教える勇次郎。
己の全存在を乗せた刃牙の拳と勇次郎の拳が交差する。
〈全存在をかけた拳が交差[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
親子の正面からの殴り合いを見て、祈りだす外国人の観衆も現れた。
かつて弱き民のために先頭に立って強国と戦った勇次郎の姿を”神”と崇め、少しでも親子の勝負を間近で感じるために2人を取り巻く輪が小さくなっていく。
〈観衆の輪が小さくなっていく[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
勇次郎が刃牙を力強く抱きしめる
勇次郎が両腕を広げ、刃牙を迎えるような構えをとる。
構わず打ち続ける刃牙。
勇次郎はかつて江珠を手にかけたように刃牙を力強く抱きしめ、刃牙は倒れ込んだ。
〈力強く抱きしめる勇次郎[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
全身に数えきれないほどのダメージを負った刃牙は、もう立ち上がれないだろう。
勝負を切り上げようとした勇次郎の前に観衆が道を開く。
〈切り上げようとする勇次郎[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
刃牙と勇次郎のエア夜食
しかし刃牙はまだ終わっていなかった。
闘志と持ち前のイメージ力だけで自分の残像を作り出し、勇次郎に挑みかかる。
刃牙の残像を感じた勇次郎はおもむろに料理の仕草をはじめた。
勇次郎の作り出すイメージは周囲の目にも映り、刃牙を起こして親子2人のエア夜食となる。
〈勇次郎と刃牙のエア夜食[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
対する刃牙は食事を楽しむ素振りを見せながらも、味噌汁の味が気に食わないとしてちゃぶ台返し。
〈刃牙がちゃぶ台返し[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
実は味噌汁を少ししょっぱく作っている自覚のあった勇次郎は、怒りを抑えてこれを受け入れた。
刃牙が勇次郎を前にして我儘を押し通したのである。
地上最強の親子喧嘩に決着
この事実をもって勇次郎は刃牙を認め、「ここに地上最強を名乗れ」と告げた。
〈勇次郎が地上最強を手放す[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
対する刃牙は「決着の際に見下ろしている者こそが勝利者」として、自らの敗北を宣言する。
〈刃牙が勝利を手放す[範馬刃牙 37巻](c)秋田書店/板垣恵介〉
聴覚を失っているが故のすれ違いにより、勇次郎が地上最強の座を手放し、刃牙が勝利を手放す。
2人がそれぞれの最も大きいものを手放し、地上最強の親子喧嘩は決着となった。
【37巻(完)のまとめ】
刃牙が一度倒れるが、最後は自分の我儘を初めて勇次郎相手に押し通す。
勇次郎はこの事実を以て地上最強の称号を刃牙が名乗ることを認め、対する刃牙も自らの敗北を認めて勝利を手放した。
こうして刃牙と勇次郎、地上最強の親子喧嘩は幕を閉じた。
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