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会社の倒産を見分けるチェックポイント、成長するベンチャー企業経営者の心得を学ぶ『エンゼルバンク』9巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。

海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。

その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。

海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。

商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまうが、海老沢の知恵を借りたベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案が刺さり、海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本の秘書に転職することとなった。

その後も成功と失敗を繰り返しながら順調に仕事をこなしていく井野。

また海老沢に強い興味を持った東大卒のエリート商社マン・桂木が新たな仲間に加わり、「これからはたった1人の天才の才能を生かした会社が生き残る時代」という仮説を実験するためのチームとして共に働くことに。

日本支配計画の一部として人材育成のプロになることを期待された井野は転職代理人の仕事を続けながら採用や組織管理、日本企業とアメリカ企業の違いなどについて知見を深めていく。

そして今度は「自分の会社が倒産するかもしれない」という求職者・内藤を担当することとなった。

焦りながらも面倒くさがりの内藤に対し、転職を宝探しに例えながら周到に準備を重ねることの大切さを説く井野。

海老沢から教わった知恵を活かし、まず「平社員でもできる会社の倒産を見分けるチェックポイント」を伝授するのであった。

 

9巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

会社の倒産を見分けるチェックポイント

平社員でもできる会社の倒産を見分けるチェックポイントを教わり、早速試してみる内藤。

・普段より1時間半早く出社し、会議室で役員たちが話し込んでいる
・自販機が故障したまま放置されている
・会社の前で待っていたタクシーがいなくなった(誰も使わなくなった)
・社外の客がいない社内のみの会議が増えて労働時間が長くなる
・受付横などの植木が枯れたまま
・事務量の減った一般職の女性が暇を持て余す
・ランチミーティングが減って粗食倹約の精神からお蕎麦みたいな食事が増える

といった傾向が見られると危険なサイン。

そして決定打となるのは会社のエースが退職すること。

ほぼ全てのチェックポイントが当てはまった内藤は倒産を確信し、井野に転職を決意したことを連絡。

入社以来ずっと経理一筋だった内藤に推薦する求人リストの作成が始まるのであった。

有望なベンチャー企業は経理のベテランを欲している

今の会社と同じような会社をリストアップする井野に対し、海老沢は「大砲の打ち方」を例えにしながらあえて極端に目標を外したターゲットを挙げて反応を見ながら10社目ぐらいでベストの解に誘導するようアドバイス。

内藤にとって極端に外すなら何が良いかを考える井野は、ベンチャー企業の経理担当というアイディアを閃いた。

予想通り保守的で内向的な内藤はベンチャー企業に拒絶反応を示し安定した企業を希望するが、井野は内藤を岡本社長に引き合わせて説得を試みる。

岡本は「ベンチャー企業には挑戦的で行動派な人だけでなく、大きく成功するには必ず保守的で慎重派な人も必要」と話し、ベンチャー成功の秘訣は「高く背伸びしてちょっと無理をしないと実現できないような目標を用意してそこにふさわしくなるよう努力すること」と教える。

さらに「社員数が少ない時期に経理を中途採用するベンチャーは成功する」とも語り、有望なベンチャーは経理のベテランを欲しがっていることを明かす。

会社の経営者とは戦国時代の大名と同じであり、部下とその家族の命を預かる以上は万が一に備えて守ることを常に考えなければならない。

いざというときのために備蓄を管理する守りは大将自らではなく、信頼できる城代家老に任せればいい。

ベンチャーが経理を強化したいときは経験豊富な中途を採用するのが一番であり、内藤のような人材は成長しそうなベンチャーでは歓迎される存在なのである。

岡本のお陰でベンチャー企業に対する殻が破れてきた内藤は、ベンチャー企業の経理という選択肢についてじっくり考えてみることにするのであった。

再び桜木主宰のビジネス塾へ

ベンチャー企業について知見を深めるため、井野は業務命令で桜木の主宰するビジネス塾に再び参加することに。

そこでは起業を目指す人が大勢集まり、海老沢も講師として出るという。

井野がよく話す桜木に強い興味を持っていた桂木も参加を熱望するが、体調不良で参加できず。

その代わり井野は同じくビジネス塾に参加していた南や本田と再会を果たす。

そして桜木の講義が始まるのであった。

成功するベンチャー経営者の心得

受講生たちに様々な問題を出しながら、要所で本田を指名する桜木。

指された本田はすべて的確な正答を返し、受講者たちの注目を集めていく。

自分の立てた仮説が「正しい」という情報だけを確認したくなる確証バイアスの罠などを紹介しつつ、「自分の仮説を否定する、都合の悪い情報を集めて仮説を改善する人になる」というベンチャー経営者成功の秘訣を挙げる桜木。

次に桜木が語ったのは、「会社が軌道に乗って大きくなる時の大切なプロジェクトも誰かに任せて部下を育てるべし」という成功する経営者の心得。

南が参加者として熱心に聴講する一方、井野は本田ばかりがずばずば正答を言い当てる流れに違和感を覚え、思い切って桜木に議論を吹っ掛ける。

しかし桜木を相手に弁論で叶うはずもなく、井野が受講生たちの前で恥をかく一方で本田が株を上げていく。

議論の中で桜木は

「創業は会社の立ち上げ、経営は会社を大きくし続けること。

創業者に必要な能力はアイディアと行動力だが、経営者に必要な能力は人の能力を見極めて適度な仕事を任せること。

失敗する社長は自分が走った記録を自慢するマラソンランナータイプ、成功する社長はたすきを継いだ選手と選んだ自分の眼を自慢する駅伝監督タイプ」と語る。

それでも井野は「会社の拡大ばかりでなく身の丈に合った堅実な経営をするための情報を教えてほしい」と食い下がるが、桜木は「そんな考えなら身の丈にあうどころか君の会社はあっという間に必ず潰れる」と切り捨てた。

社長が身の丈に合った経営を考え始めると会社に上を目指す人は誰もいなくなり、会社は必然的に活力を失って衰退してしまう。

反論できなかった井野は引き下がり、さらに桜木は「会社は誰のものか?」という質問を受講生たちに問いかける。

ベンチャー創業者は「会社は自分のもの」と思いがちだが、ここでも指された本田は「会社は従業員のもの」という正答を言い当てる。

客に会わない社長の仕事は従業員が楽しく安心して働ける環境を作ることであり、従業員がお客様のために仕事をする―。

ここまで答えられる本田はそもそも受講する必要がない、桜木や海老沢と本田もグルで芝居をしているのではと勘繰る井野。

桜木は最後に「残念ながら皆さんの中で起業家として成功する人は一人もいない。起業して成功する人に成功するためのマニュアルを誰かから教えてもらおうなんて思う人はいない。悪いことはいわない、起業なんておやめなさい」という厳しい言葉で講義を締めた。

南によればこの厳しい締め文句はいつも使っており、これが逆に信頼を呼んでいるのだというのだった。

日本支配計画の参謀会合

ビジネス塾の後、井野は桜木・海老沢・南・本田と会食に行くことに。

井野の予想通り、桜木・海老沢・本田は裏で繋がっており本田も日本支配計画に参加している様子。

井野も同じ日本支配計画に組み込まれた一員ではあるが、海老沢たちが参謀本部ならば井野はただの兵隊。

仲間に入れてもらえず腹を立てる井野は桜木に「兵隊でいたくなければどうすれば勝てるか作戦を考えろ」と指摘され、「兵隊ならそれで結構。でも大切なのは実際に動く人よ」と反論する。

そして海老沢が兵隊としての井野に期待しているのは内藤をある会社へ転職させることが明かされる。

その会社は農業のベンチャー企業で、経験豊富な経理担当者を必要としている段階にあるという。

保守的思考の内藤を農業のベンチャーにどう誘導するかは転職代理人である井野の腕の見せ所。

その会食の場で出てきたサラダに使われている美味しいレタスもそのベンチャー企業が作ったものと知った井野は、海老沢の薦めで内藤をその企業の社長に会わせてみることにするのであった。

【9巻のまとめ】

様々なチェックポイントを教わり自分の会社が倒産することを確信した内藤が転職を決心し、井野はベンチャー企業の経理担当という仕事を提案する。

岡本社長と引き合わせることで「有望なベンチャー企業はベテランの経理担当を欲している」という話を引き出してベンチャー企業への拒絶反応を薄れさせ、さらに桜木の主宰するビジネス塾にも顔を出した井野はそこで本田とも再会。

本田も海老沢と桜木と通じており日本支配計画に参加している様子。

そして同じく日本支配計画の兵隊として組み込まれた井野は海老沢から、内藤をある企業に転職させるように指示を受ける。

そのターゲットは農業のベンチャー企業、保守的な内藤をどう誘導するかが井野の腕の見せ所となるのだった。

次巻へ続きます。

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