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農業再生の鍵を握るベンチャーともう1つの社会実験『エンゼルバンク』10巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。

海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。

その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。

海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。

商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまうが、海老沢の知恵を借りたベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案が刺さり、海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本の秘書に転職することとなった。

その後も成功と失敗を繰り返しながら順調に仕事をこなしていく井野。

また海老沢に強い興味を持った東大卒のエリート商社マン・桂木が新たな仲間に加わり、「これからはたった1人の天才の才能を生かした会社が生き残る時代」という仮説を実験するためのチームとして共に働くことに。

日本支配計画の一部として人材育成のプロになることを期待された井野は転職代理人の仕事を続けながら採用や組織管理、日本企業とアメリカ企業の違いなどについて知見を深めていく。

そして今度は「自分の会社が倒産するかもしれない」という求職者・内藤を担当することとなり、井野はベンチャー企業の経理担当という仕事を提案する。

岡本社長と引き合わせることで「有望なベンチャー企業はベテランの経理担当を欲している」という話を引き出してベンチャー企業への拒絶反応を薄れさせ、さらに桜木の主宰するビジネス塾にも顔を出した井野はそこで本田とも再会。

本田も海老沢と桜木と通じており日本支配計画に参加している様子。

そして同じく日本支配計画の兵隊として組み込まれた井野は海老沢から、内藤をある企業に転職させるように指示を受ける。

そのターゲットは農業のベンチャー企業、保守的な内藤をどう誘導するかが井野の腕の見せ所となるのだった。

 

10巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

農業ベンチャーの社長と対面へ

内藤を転職に誘導する先の農業ベンチャー企業は、野菜がおいしいということをとことん追求し、野菜が採れたてから水分を失わなずに食卓に届けられるよう、摂氏4℃の低温輸送による宅配システムを自社で作り上げた。

そのためには多額の投資も行っているが、大きなビジネスチャンスと捉えた海老沢たちがそこに関与している。

そして実際にその社長である中谷と内藤を引き合わせることとなった井野。

面談場所のレストランには外車と流行りのスーツ、ブランドに身を固めた若手社長の中谷が姿を表し、井野の第一印象は最悪なのであった。

農業ベンチャーへの転職を決意

自らを代表取締役兼CEOと名乗る中谷。

中谷はわざわざ外資っぽくCEOという役職をつけたのも、外車やブランドの時計で身を固めているのも「農業のベンチャーが若い人を集めるための作戦」と明かす。

この会社に所属することを誇りに思ってもらえるよう、具体的にで目に見えるカッコ良さをアピールして、辛そう、儲かりそうにないといった若者からのイメージを払拭するのが狙い。

優秀な人材を集めるためには農業自体が儲かってカッコいい産業にならないとダメ…。

中谷はその場で内藤の採用を決心し、財務経理担当執行役員として迎え入れたいと提示する。

誘われるがままに握手を交わした内藤は、役員の肩書ではなく中谷の手がこれまで必死に農作業を頑張ってきた人の手であることを感じ、中谷のところで働くことをあっさり決意。

安定志向だった内藤がたった一度の握手で転職を決意したかたちだが、それも転職活動で様々な会社や人と触れるうちに少しずつ考え方が変化した結果なのであった。

海老沢の部署が潰される?

不景気で会社の業績が悪く、海老沢の部署が「利益も上げてないのに暇そうにしてて遊んでそう」と営業担当たちから槍玉に上げられてしまう。

人事部長の前田が現れたら部署が潰されるサイン…。

そう吹き込まれた井野は、ちょうど自分たちの部屋を訪れた前田を見てギョッとする。

前田は海老沢に用があるようだが、海老沢は留守とあり井野を誘ってランチに行くことに。

自分の部署が潰されると心配する井野を連れ、前田はある弁当の移動販売車へ案内するのだった。

必要な無駄と本当の無駄

弁当の種類は豊富で、値段は500円から1200円と開きがある。

井野を含め客はみな500~900円の弁当しか買わず、一番高い1200円の弁当は無駄…。

しかし前田は海老沢の部署を1200円の弁当に例え、「あれがあることで他がお得に見え、客単価が上がる。お店にとって必要な無駄」と告げる。

利益を上げる部署だけが必要なのではなく、必要な無駄と本当の無駄を選別して必要な無駄は残す必要がある。将来のための投資は無駄ではない。

と企業を長く存続させるための絶対的な哲学を語り、海老沢の部署を潰す考えは全くないことを明かす前田。

会社が赤字になることで会社のダメなところを浮き彫りにし、体質を改善して翌年以降長く黒字を続けられる会社にすることが大事。

組織を改革するためには部下に細かく指示や規則を出して引き締めるのではなく、経営者と経営陣がリーダーシップを発揮すること。

トップが行動をもって自らの意志を伝えることで社員の感情が伝播し、それが社員の行動となっていく。

井野は「人は感情で動く」という言葉を前田から学ぶのであった。

農業再生の鍵を握る素人農場

中谷が経営する農場を視察することになった海老沢と井野、桂木。

海老沢はそこで農業以外でも大きな実験をしていることを明かす。

まず中谷は有力者の息子を口説き落としてそこから地元の人々の協力を得ることに成功し、近隣の土地を借りたという。

結果として用意できたのは見渡す限りの畑であり、意図的に色々な標高の土地を畑にすることで作付け時期をずらして安定収入につなげていた。

レタス畑などは倒産した観光牧場の土地と施設を居抜きで手に入れ、牛も肥料を創り出すペットとして飼っている。

そして初期投資に必要な資金は10年前に海老沢とある大企業のトップが共同で出資し、当時大学4年でバイトに来ていた中田にが抜擢されて23歳という若さで社長を任されたという。

農業の知識は農学部の教授が協力指導してくれており、経営は海老沢と桜木がアドバイス。

プロでないと農業はできないというイメージとは裏腹に、農業の再生の鍵は素人の手にかかっていると海老沢は考えており、素人による斬新なアイディアに期待がかかっているのだった。

外国人労働者の受け入れというもう一つの実験

まだ20代の中谷が社長をしていて部下はついてくるのか、という疑問を投げかける桂木。

しかし中谷は全く問題ないと明かす。

その秘密は海老沢がこの農場を使って進めていたもう1つの実験にあった。

まず農場で働いている人はバイトや外国人が多い。

それは低賃金の外国人労働者から搾取しているわけではなく、日本に出稼ぎに来た外国人労働者のハングリー精神や体力に期待してのこと。

さらにこれは次の時代の日本の形を実験的に想像する、という目的もあった。

このまま出生率が低調であれば日本は人口が減り、いずれ国際競争力も経済力も、さらに文化も衰退すると考える海老沢。

その流れに対抗するためには移民を受け入れる必要があり、日本語を話して文化を維持すること以外にも「日本を好きな外国人を増やす」というところから外交がやりやすくなったり経済効果なども期待できる。

移民はただの労働力や人口維持のためではなく、移民も日本文化の担い手であり、日本文化の宣伝マンになる―。

こうした考えに基づき、まずはこの農場で外国人労働者を受け入れ、地元にも溶け込めるように実験していた。

唯一、井野は移民の受け入れによる治安の悪化を心配する。

しかしこれはデータを見れば嘘。

現代は殺人事件などの凶悪事件は昔に比べて大幅に減っており、犯罪の全体数と比較すれば外国人による犯罪数はそれほど多くなく、日本にいる外国人の割合を考えれば妥当と言える割合に過ぎない。

つまり外国人=犯罪が多いというイメージはテレビに出ている人の勝手なイメージであり、視聴者たちがそのまま鵜呑みにして常識として定着したイメージなのだった。

農業にまつわる誤った情報

間違った情報に踊らされていることは農業にはいっぱいある、と明かす中谷。

まず特にひどいのは、「国産=安全、外国産は危険」というイメージ。

実態は外国産は一定割合で検査をしていて危険なものは排除される一方、国産は国産神話のために検査が緩く、安全な確率で考えれば外国産の方が国産よりもずっと高い。

次に挙げたのは狂牛病のリスク。

実際に外国産の牛を食べて狂牛病になる確率は宝くじに当たる確率や交通事故にあって死ぬ確率よりもずっと低い。

その他にも無農薬でないとダメなど、日本人は食に対して過敏になり、間違った情報を信じてヒステリー状態になってしまっている。

農業関係者を苦しめる誤信という名のモンスターたちのなかでも、一番の敵は「不作のときに誰も責任を負わずに天気などのどうしようもない言い訳に逃げがちである農家自身の弱い心」

言い訳に逃げていると失敗の原因究明がなされず次にも活かされない、つまり産業として成長していかない。

失敗と原因究明・改善を積み重ねて効率化することで農業を発展させ、いつか畑を工場にして農業に産業革命を起こすことが中谷の目標だという。

さら中谷は他人に責任を押し付ける体質を改善したうえで、それでもまだ畑を工場にするにあたって「丹精」が邪魔だと話す。

農家が作物を作る際にとても大事にしている丹精や真心、それが邪魔だと表現する中谷の考えとは―。

【10巻のまとめ】

海老沢も出資している農業ベンチャー企業の社長・中谷と出会い、そこへ転職を決意した内藤。

その農場では素人ながら有識者や地元の人たちの協力を得て農業再生の鍵を握る新たな農業の形を模索するとともに、外国人労働者を受け入れてこれからの日本の形を実験していた。

農業にまつわる古い誤解を挙げながら農業を産業として成長させるために奮闘する中谷は、失敗の責任を天気など自分以外に押し付ける体質を改善したうえで、それでもまだ農家が大事にする「丹精」が邪魔だと話す。

果たしてその意図とは―。

次巻へ続きます。

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