少年漫画

世論を変えるためコックピットの生中継へ『ぼくらの』7巻【ネタバレ注意】

小学館/鬼頭莫宏
~前巻までのあらすじ~

夏休みの自然学校で出会った15人の少年少女たちはココペリと名乗る男と出会い、「巨大ロボットを操って敵から地球を守るゲーム」に参加することに。

ウシロの妹であるカナ以外全員がパイロットとして契約を済ませ、ゲームが始まる。

コエムシと名乗る口の悪いマスコットにサポートされながら、ココペリは実際に巨大ロボット「ジアース」を操り敵を撃破した。

しかし契約が済んだあとで「ジアースは1回戦闘するごとに操縦者の命を奪う」「相手は並行世界の地球」「負けるか48時間以内に決着がつかなければ地球は滅亡する」というルールが明かされ、子供たちは勝って自分たちの地球を守りながら死ぬか、負けて地球と共に死ぬかの運命を突きつけられる。

巨大ロボットによる戦闘を受けて国防軍も動き出すが、軍の火力ではまともなダメージを与えることができない。

戦闘以外での死亡などによりパイロットが不足するなか、軍からのサポート要員である関と田中が予備パイロットとして契約を済ませた。

既にワク、コダマ、ダイチ、ナカマ、カコ、チズ、モジ、マキ、キリエが命を落とした。

海軍の要職に就く父を持つコモが次のパイロットとなるが、勝利目前で相手のパイロットが戦いを捨てて逃亡、行方をくらましてしまう。

この地球の中から敵のパイロットを見つけ出して48時間以内に殺さなければ互いの地球が滅亡する状況。

コモの父は苦渋の判断でコモがジアースのパイロットであることを公表し、世間の興味や被災者からの敵意を一身に受けることに。

さらにコモが予定していたピアノの発表会を予定通り開催することとなった。

逃げた相手のパイロットは、この状況を見ていま何を思うのか―。

7巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

コモのピアノの発表会

戦闘は一時中断し、予定通り開催されたコモのピアノ発表会。

押し寄せた観客からの視線が突き刺さり、恐怖と緊張に包まれるなかコモの演奏が始まる。

そこに逃走中の敵パイロットも堂々と姿を現した。

〈敵パイロットも姿を現す [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

死を目前にしたコモがどんな演奏をするかで、潔く負けてあげるかどうかを判断するつもりのようだ。

序盤はまったく身体が言うことを聞いてくれず焦るコモだが、次第にピアノとまっすぐ向き合い、自分が感じている世界すべてをそのまま音で表現していく。

演奏に満足したのだろうか、敵パイロットは演奏が終わる直前に席をはずし、軍に身柄を預ける。

〈敵パイロットが投降 [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

コモの父が自ら敵パイロットを撃ち、勝敗は決着。

演奏を終えたコモは父の見ている前で笑いかけながら息絶えるのだった。

ニュースキャスターの娘、アンコ

次のパイロットはアンコ。

 

ニュースキャスターとして多忙な父を持ち、父に振り向いてもらいたい一心で秘かにアイドルになる夢を持っている。

〈アンコの夢はアイドル [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

コモの情報が公開されたことで同じ自然学校に参加していた子供たちにもジアースとの関連が疑われだし、その情報はアンコの父の耳にも入った。

情報統制にも限界が訪れ、父はアンコから話を聞くために家に帰る。

真相を取材するためとはいえ、久々の父との会話を楽しむアンコ。

〈父と過ごす時間 [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

しかし自分が最後には死ぬということだけは、口にすることはできなかった。

ジアースのパイロットを名乗る少年

娘から真相を聞いたアンコの父は、軍と報道協定を結んでスポークスマンとなる。

 

ジャーナリズム精神には反するが、事の重大さを考慮しての判断だった。

ジアースのパイロットはコモとアンコの2人という筋書きで、軍からもらった公開できる情報を元に特番の制作にかかる。

〈アンコ主演の特番へ [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

これまでの戦闘の経緯などを説明し、アンコがインタビューを受ける形の番組。

しかし、そんなアンコの父たちの努力を邪魔するかのように、全く知らない少年がジアースのパイロットとして名乗り出し、別のインタビューを受けるのだった。

〈パイロットを名乗る少年 [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

少年の名は狩田 淳二(カタリ)

 

ジアースのパイロットというのは全くの嘘であるが、もっともらしい口調で大衆には判別はつかない。

自分主演の番組を潰されたアンコは怒り、一躍時の人となるカタリ。

しかしカタリは被災者遺族に銃撃され、意識不明の重体となった後に死亡した。

〈カタリが撃たれる [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

真相は定かではないが、犯人は被害者の会で見知らぬ老人から銃を入手したらしい。

世間からの敵意を目の当たりにし、子供たちへの警護はより厳重となる。

カタリが世間へ与えた影響を吹き飛ばすため、アンコの父たちはジアースのコックピットへカメラを入れることを決断。

〈コックピットの生中継へ [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

マチが死んだコモの代わりとしてカメラに映り、カタリもパイロットの1人だったことにした。

そして、アンコの父とともにカメラが入った状態で、アンコの戦闘が始まる。

戦闘をコックピットから生中継

今回の敵は飛行するタイプ。

素早く飛び回りながら、針からです強力な酸でジアースの装甲を溶かしてくる。

苦戦を強いられながらも、コックピットの中で中継は進む。

そして敵の針がジアースのコックピットを突き破り、滴る酸からマチを庇ってアンコが負傷してしまう。

 

〈アンコが負傷する事態 [ぼくらの 7巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

響き渡るアンコの悲鳴。

しかしアンコの父はキャスターとして、心を鬼にしながら中継を続行するのだった。

〈被災者の敵意が向けられる [ぼくらの 6巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉

【7巻のまとめ】

話題を集めたコモのピアノの発表会に敵パイロットも姿を見せ、決着がつかずに滅亡という最悪のシナリオは回避した。

次のパイロットはアンコ。

ニュースキャスターの父も軍に協力し、ジアースのパイロットとして特番を制作することとなる。

コックピット内にカメラを入れて戦闘を生中継するが、その戦闘でアンコが負傷。

悲鳴が響き渡るショッキングな映像となるが、父は心を鬼にして中継を続行するのだった。

次巻へ続きます。

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