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ローマに迫る政治的危機、衛帝隊と不死隊が国の威信をかけて激突『拳闘暗黒伝セスタス』14巻【ネタバレ注意】

~前巻までのあらすじ~

15歳の少年セスタスはヴァレンス剣闘士養成所に所属する拳奴であり、「100勝すれば自由の身」という条件で過酷な戦いの道を歩み出した。

元拳奴のザファルに師事し、師の仇敵であるデミトリアスやその息子ルスカとの出会い、そして弱い17歳にしてローマ皇帝に即位したネロとその母アグリッピーナと、セスタスの周囲で物語が動き始める。

デミトリアスが先帝クラウディウス一派による皇帝暗殺計画を阻止したが、命を狙われたことにショックを受けるネロは、母アグリッピーナが先帝クラウディウスを謀殺したのではないかと疑心暗鬼になり、孤独に恐怖するようになる。

信頼できる味方としてセスタスを自分専属の奴隷にしようとするが、師や共に育った仲間たちのためにセスタスは皇帝のお願いを固辞した。

そんなある日、セスタスの所属するヴァレンス奴隷闘士養成所では虐げられてきた拳奴たちの不満が爆発し、ヴァレンスの娘でありルスカの婚約者でもあるヴァレリアを人質にとって奴隷の反乱が勃発した。

セスタスやザファルなど反乱に加担しなかった者を除いて奴隷たちは全員殺される一方、ヴァレリアもまた自暴自棄になった奴隷によって殺されてしまう。

婚約者を殺され錯乱するルスカは拳奴への憎しみを募らせ、セスタスとの間に芽生え始めていた友情も崩壊。

奴隷拳闘士養成所は解体され、新たな身請け先のドリスコ拳闘団でザファルや同年代のペドロ・エルナンド・ゲティや看板闘士のラドックらと共に巡業で帝都ローマを離れることとなった。

ザファルのもとで訓練を積みつつ、天性のバネと不屈の闘志を持つ黒人奴隷ゾラを新たに拳奴として迎え、セスタスたちは訪れた都市ポンペイで絶世の美女だが天邪鬼のサビーナと、サビーナから寵愛を受けることを夢見てひたむきに戦い続ける拳奴エムデンと出会った。

セスタスはエムデンとの死闘を制し、さらにエムデンがザファルと同じくデモクリトスに師事していたことも判明する。

他方、衛帝隊内で腕を上げるルスカだが、絶対的な父デミトリアスの呪縛から逃れられずにいた。

そうとは知らない皇后オクタヴィアがルスカに惹かれ始めるのに対し、妾の奴隷アクテと逢瀬を重ねるネロはアグリッピーナの支配から自立するため、オクタヴィアとの離縁をも宣言する。

アクテにかまけオクタヴィアと離縁を望むネロ、ルスカへの恋心を募らせるオクタヴィア、そしてネロとオクタヴィアの復縁と出産を望むアグリッピーナと、それぞれの思惑が交錯しようとしていた。

不穏な空気が宮廷を包む中、オクタヴィアとの関係を止めさせたいアグリッピーナはルスカを呼びつけ、「毒入りの酒を含む6つの盃から1つを選び、生き残ることができたら潔白を信じる」と強要する。

理不尽に試されることとなったルスカの運命は―。

14巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。

ルスカのプライド

アグリッピーナの理不尽な要求にも覚悟を決め、1つの盃を選んで飲み干して見せたルスカ。

毒をも恐れずにやり遂げたルスカの覚悟を見届け、アグリッピーナは留飲を下げる。

もともとどの盃にも毒は入っておらずルスカを試すための嘘であったが、ルスカの気高いプライドが打ち勝ったのであった。

ネロにとって初めての政治的危機

皇帝ネロはアルメニアからの外交使節団を宮殿に迎えるが、政治的混乱によりアルメニアの使節団は「親ローマ派」と「親パルティア派」という正反対の主張をする分裂二派で往訪し、ネロは外交に苦労することとなる。

初代ローマ皇帝のアウグストゥスは宿敵パルティアとの間の緩衝地帯としてアルメニア帝国を完成させたが、新パルティア帝王はネロの即位直後を好機とばかりにアルメニアに軍事侵攻をかけ、アルメニア王を追放して弟をアルメニアの新しい王位につけた。

慌てた親ローマ派の貴族が盟友であるローマに助けを求める一方、親パルティア派はローマによる内政干渉の阻止のために釘を刺しに来たかたち。

ネロからすれば元々のアルメニアへの侵攻が自分を若輩と侮られたがために起こったものであり、ここで権威を示すために適切な対処を求められることとなる。

親パルティア派は徒手に長ける「不死隊」を引き連れてきており、デミトリアスら衛帝隊が目を光らせてはいるものの、始めての政治的危機に頭を悩ませるのだった。

親パルティア派の工作活動

母アグリッピーナの干渉を遠ざけながらも、アルメニア事変になかなか解決策を見出せない苦悩が続く。

そんななか、ローマの市中では親パルティア派の大使が予め送り込んでいた密偵たちの隠れ家に集まり、情報を交換しながら工作活動に勤しんでいた。

ローマと戦争を起こすため、まずは皇帝の守護神である衛帝隊を実力でねじ伏せて恥をかかせることを大使は閃く。

しかし大使の怪しげな動きに気づいていた衛帝隊もまた、そのアジトの近くでアポロニウスとルスカが大使を監視しているのだった。

ブリタニクスに近づくアグリッピーナ

皇后の弟ブリタニクスが秘かに衛士カサンドーラに好意を寄せていることを見抜いたアグリッピーナは、カサンドーラを専属の従士にする代わりにある提案を持ち掛ける。

本来はアグリッピーナとブリタニクスは相いれない関係であるが、ネロに邪険にされているアグリッピーナはある策のためにブリタニクスと組むことを考えていた。

すべては自分の権力を守る為―。

アグリッピーナはなりふり構わず強硬手段を考えているのだった。

衛帝隊と不死隊の対抗試合が決まる

アルメニア事変の交渉は難航し、ついにネロはパルティアとの戦争は避けられないとの判断に達した。

すると親パルティア派の大使がここぞとばかりに、「衛帝隊と不死隊の対抗試合」を申し入れる。

喧嘩を売られたネロはローマの名誉にかけて勝つことをデミトリアスに厳命し、デミトリアスは全勝するためにメンバー選考に入る。

対する不死隊もまた、握力と組み技・肉体を鍛えぬいた猛者たち。

プライドをかけた両国最強の部隊同士の対決が始まるのだった。

衛帝隊vs不死隊

先鋒戦はカサンドーラvsアッシリアのロシュタム。

相手の敵意の流れを見透かすカサンドーラはまるで予知のようにロシュタムの動きを手玉に取り、見事な連携技で何もさせずに完封勝利を挙げる。

第2戦はアドニスvsバクトリアのシャルゴン。

アドニスは一見自由奔放だが常人の知覚速度を凌駕する拳速でパンチを繰り出し、半分の力も出さずに一方的な試合展開で圧勝。

そしてそのまま消化不良と言わんばかりに第3試合も連闘することを宣言し、ガウガメラのバニパルと対峙する。

これまでよりも大柄で攻撃力・耐久力に勝るバニパルを相手にしても一方的に圧倒するアドニス。

しかし余裕をかまし始めたところを狙われ、驚異的な握力を持つバニパルに左手首を掴まれてしまった。

ピンチを迎えたアドニスだったが、掴みが外れたところで神速の七連撃を繰り出して倒しきる。

油断から左手首を負傷してしまったものの、ここまでは衛帝隊が鮮やかな3連勝を飾ったのだった。

ハメられたルスカ

第4戦はルスカvsメディアのビスタネス。

ルスカは打撃を相手に意識させながら裏をかいた組み技で鮮やかに相手を失神させ、完璧な勝利を挙げる。

気分を良くしたネロは最終試合もルスカを続投させることを決めるが、ここでルスカの身体に異変が起き始めた。

最終試合の相手は不死隊の副隊長、バビロンのハンムラビ。

ルスカは試合前の水にしびれ薬を混入されており、指先から痺れがくる状態で猛者を相手にせざるを得なくなる。

ルスカの異変に気付いたカサンドーラはすぐさま水の給仕を務めた少年を問い詰め、その黒幕がアグリッピーナであるというスキャンダルを知った。

オクタヴィアと別れさせるため、あえてルスカに敗北という破滅を与えるのがアグリッピーナの狙い。

動きが鈍く思うように力が入らない状態で苦戦を強いられるルスカが取った唯一の攻撃手段は、頭突き。

マウントポジションから相手の顔面目掛けて何度も頭を振り下ろし、なりふり構わず勝利をもぎ取る。

アグリッピーナの策略を打ち破り、なんとか戦い抜いたのだった。

衛帝隊の別任務が始まる

毒を仕込んだ黒幕がアグリッピーナと気づいているのはカサンドーラとルスカ本人だけ。

あえて犯人の追及をしたがらない2人をみて事情を察したドライゼンがこの1件を預かり、他のメンバーには別の任務を言い渡す。

親パルティア派の大使たちが帰国の前に再び密偵たちと接触するところを一網打尽にする作戦だった。

大使は隠れ家ではローマとの戦争に備えて密偵たちに指示を飛ばし、暗号文を携えた伝書鳩を本国に飛ばす。

他方、全敗を喫した不死隊の5人は全員が服毒自殺で敗戦の責任を取り、死んだ部下の仇をとるため不死隊の隊長も自ら動き出した。

ここから衛帝隊との第2ラウンドが始まるのだった。

スパイの拘束、デミトリアスと不死隊隊長の激闘

衛帝隊のダイダロスとソルレオンがアジトに正面突破をかけ、近くの建物の屋上ではアポロニウスが釣竿を使って大使の放った伝書鳩を絡めとる。

あっという間にアジトを壊滅させ、1人で市内に紛れ込んで逃走を図る大使。

デミトリアスが逃げる大使を追うところに不死隊の隊長が立ちはだかり、決闘を仕掛けた。

デミトリアスと不死隊の隊長、互いに部隊の最強同士が激しい戦いを繰り広げることとなる。

他方、アポロニウスに補足され全身の関節を外された大使はその身柄を確保されるのだった。

【14巻のまとめ】

プライドにかけて毒をも恐れずにやり遂げたルスカの覚悟を見届け、アグリッピーナは留飲を下げる。

そんなある日、内紛の続くアルメニアから親ローマ派と親パルティア派の使節団が来訪し、ネロは初めての政治的危機を迎えることとなる。

パルティアとの戦争は避けられないとの判断に至ったとき、親パルティア派に喧嘩を売られるかたちで彼らの引き連れてきた不死隊とローマの衛帝隊が威信をかけて戦うことに。

アグリッピーナはルスカを陥れるために毒を盛るが、衛帝隊が全勝を飾った。

衛帝隊はさらにローマ帝都に入り込んだパルティアのスパイを一網打尽にすべく作戦を開始。

他方、デミトリアスは一矢報いたい不死隊の隊長と決闘を繰り広げるのだった。

次巻へ続きます。

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