前作で「人喰い沼」攻略の協力者となった坂崎の家で居候していたカイジは、その自堕落的な生活によって勘当され家を追い出されてしまう。
ちょうど時を同じくして地下の強制労働場で苦楽を共にした三好と前田と再会を果たし、カイジは一攫千金を狙うことに。
裏カジノの社長がいつも行うギャンブルのイカサマを逆手に取り、3人で社長をハメるという必勝の作戦。
社長が考案した変則麻雀「17歩」は互いに手牌を揃えたうえで交互に捨て牌を切っていき、相手にロンされたら負けという対等な勝負、始めから基本レート100万円である。
そして社長が使うイカサマは絶妙な角度に配置した部下の前田がカイジの手を盗み見て社長にサインを送るという単純なもの。
途中で金持ちと思われる和也という謎の若者が現れるなか、カイジは社長をうまく誘導して1000万円という高額レートでの勝負にありつけた。
三好のミスと不運で痛恨の2連敗を喫したカイジだが、和也が足りない金を気前よく貸してくれることとなり、再び社長と4000万円レートの勝負に挑むこととなる。
負けられないカイジだが、理想的な手牌を揃えて気が緩んだのか、誤って牌を床にぶちまけてしまい慌てふためくことに。
あわや時間切れで敗北という大ピンチを切り抜け持ち直したカイジに対し、カイジのドタバタで前田が手牌を確認できなかったことで社長もこの勝負はノーヒントで臨まざるを得ず、苦々しい表情。
社長をハメるためにあえて前田に自分の手牌を見せて偽のサインを送らせることを考えるカイジだが、ふとある可能性が頭をよぎった。
三好と前田は実は自分を裏切っているのではないか―。
苦楽を共にした仲間を信じたいが、ハメられていると考えればこの連敗も合点がいく。
カイジは混迷するのだった。
7巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
真実を確かめたいカイジ
疑念が生じた以上、三好と前田のことを100%信じ切ることができないカイジ。
真実を確かめるため、カイジはある策を思いつく。
〈カイジも動く [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
思い立ったように手牌を揃えて伏せ、「トイレに行く」といって席を立つ。
離席した絶好のタイミングで社長が自分の手牌を確認することは承知の上。
〈手牌を見られるのは承知の上 [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
この勝負で自分が勝つ可能性を捨ててでも席を立ったカイジの真意は―。
トイレの貼り紙
トイレである程度の時間を潰し、部屋に戻ろうとするカイジ。
トイレには社長（村岡 隆）が書いた「見えざるものを見よ。これぞ博打の真骨頂っ…！」の貼り紙。
〈トイレの貼り紙 [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
このときはあまり気にも留めなかったカイジだが、この張り紙がのちのちカイジの運命を変えることとなるのだった。
2人の裏切りを確信
部屋に戻り席に着くカイジは、三好・前田が裏切ったことを確信する。
〈2人の裏切りを確信 [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
怒りに震えながら顔には出すまいと押し殺すカイジ。
トイレに出る前に自分の手牌を揃えたが、よく見ればわかる程度に開けておいた隙間が閉じ切っていた。
つまりトイレに立っている間に社長たちが自分の手牌を開けて確認したのは明らか。
問題なのは、それを間近で見ていた三好と前田が自分にその異変を知らせようとする気配が全くないこと。
〈味方なら危機を伝えるはず… [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
何事もなかったかのように進められようとしていることこそ、2人がカイジを裏切っている証拠。
冷静に考え直せば、社長がこのギャンブルでいつも大金を巻き上げているということは、自分以外にもこの偽のイカサマを吹き込んでハメていたのではないか―。
勝つ仕組みがあると信じたものがハメられる2重のトラップこそ、この「17歩」の正体だった。
〈17歩の正体 [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
孤立無援から逆転の活路を探す
あの人喰い沼を攻略して総額7億もの大金を手に入れたカイジが、まさか半年で手持ちゼロになっているわけがない―。
そう信じ込まされた三好と前田は、社長に協力してカイジをハメる代わりに500万円のボーナスをもらう約束だった。
〈カイジは大金を隠し持っている？ [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
金利やらなんやかんやで手元にはほとんど残らなかったというカイジの説明を疑い、隠し持っているであろう大金から分け前代わりに幾分か放出させようという魂胆。
さらに無一文と言っていたはずのカイジがどこからともなく300万円を用意してみせたのも2人の誤解を確信に変えていた。
蓋を開けてみれば孤立無援でこのギャンブルに臨んでいたカイジ。
しかしまだ、カイジが全てを悟ったことを社長・三好・前田には気づかれていない。
〈騙されているフリを続ける [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
騙されているフリをしながら、カイジは逆転の手を考えるのだった。
この勝負を凌ぎ切れるか
手牌を見られ自分の勝つ可能性がなくなった以上、カイジが目指すのは流局。
〈流局まであと8巡 [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
問題はあと8巡をどう凌ぐかであり、三好が出すサインの裏を読んで社長のロン牌を推理するカイジ。
疑心暗鬼に陥りながら切った牌は果たして通るのか―。
〈自分を信じるしかない [賭博堕天録カイジ 7巻](c)ﾌｸﾓﾄﾌﾟﾛ／福本伸行〉
【7巻のまとめ】
真実を確かめるため、あえて離席して手牌を盗み見るチャンスを与えたカイジ。
案の定社長はカイジの手牌を確かめたが、それを知らせようとしない三好と前田の様子からカイジは2人の裏切りを確信する。
怒りを押し殺しながら、騙されているフリを続け逆転の策を考えるカイジ。
しかしまずは目前の勝負を凌ぎ切らなければならないのだった―。
次巻へ続きます。
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