試合はジャイロスライダーを解禁した瑛太と気迫の投球を見せる碓井の投げ合いとなる。
そして5回裏、富士ヶ丘シニアの連続ヒットでピンチの場面で再び河村に打席が回る。
敬遠などあり得ない状況で舞台が整い、瑛太と河村のガチンコ対決となるのだった。
21巻のあらすじを振り返ってみましょう。
瑛太の心を折る河村
河村はジャイロ・スライダー攻略に特化したフォームを携え、それ以外の球種は全てカットか見送りで凌ぐ構え。
一球一球が真剣勝負の状況に、はじめは野球のことをナメていた河村にも笑みが浮かぶ。
袴田のリードのもと、失投もなく、またこの日最速のストレートも投げて揺さぶる瑛太だが、それでも河村から空振りを奪うことができない。
12球もファウルで粘られ、ついに丁寧に組み立てたうえでいよいよジャイロ・スライダーを決め球に選ぶ静央バッテリー。
しかし対ジャイロ・スライダーに特化した河村はこれを見事に打ち返し、打球は無情にもスタンドイン。
連続安打記録を伸ばすどころか、瑛太の全てを打ち砕く値千金の逆転3ランとなるのだった。
瑛太の敗因と敵討ちに燃える文吾
ジャイロ・スライダーの最大の特徴はストレートに偽装することであり、強くて速いストレートがあってこそ武器となる球種。
河村からすれば瑛太のストレートの球速は十分ではなかったために攻略できたのである。
続く珠希も鋭い当たりを放つが、間瀬が好守で助け、静央シニアの攻撃へと移る。
しかしエースが打ち砕かれたショックは大きく、試合の流れは冨士ヶ丘シニアに大きく傾いていた。
ベンチに戻り、何とか気丈に振る舞いながらエースとしてチームを鼓舞する瑛太だが、身体の震えは止まらない。
文吾を超えるために様々な武器に磨きをかけてきたが、最後の最後で自分の欠点となったのは、天性ともいえるストレートの速度だった―。
その残酷な現実に打ちひしがれる瑛太。
瑛太の異変にいち早く気づいた文吾は、その震えが痙攣によるものだと思い込み、瑛太が交代させられないように庇いながら「絶対に河村にリベンジしないと」と真っすぐな表情で声をかける。
だが河村との勝負で心が折れてしまった瑛太は泣き崩れ、「河村を倒してくれ」と文吾に懇願。
瑛太が泣く様子を見た河村が「才能無い者の宿命だよ」と吐き捨てると、それを耳にした文吾は怒りに燃えるのだった。
チームを救えるか
6回表、反撃に出たい静央シニアだが、間瀬は河村の好守に阻まれ、野田は敬遠。
文吾は痛烈な打球を放つも、ダブルプレーに倒れた。
そして6回裏、瑛太はライトに回り、マウンドには文吾が。
静央シニアが初めて連投禁止のルールを捨てたことでスカウトたちにもどよめきが起こる。
ここから試合の流れを一変させチームを勝利に導くことができるとすれば、文吾しかいないのであった。
エースの投球
ウォームアップもない状態で怒りをぶちまけるように投げる文吾は、投球練習からまるでコントロールが定まらず、いきなり2者連続で四球を与えてしまう。
このまま文吾も打たれれば考えうる限り最悪の形で静央が敗けるかもしれない―。
誰もがそう感じていたが、文吾の球を受ける袴田だけは文吾が爆発的な成長を見せる可能性を感じ取っていた。
ここから少し落ち着きを取り戻した文吾は、2人連続でセンターフライに打ち取る。
強肩の間瀬は走者のタッチアップを許さないが、それはまるで文吾が間瀬のところにあえて打たせたかのような展開だった。
続く1番・皆浦は唸るようなど真ん中ストレート3つで空振り三振を奪い、流れを作って見せた文吾。
翔西と青森真田の強化試合で吉見が見せたような投球を、文吾が再現しているのであった。
最終回の反撃
2点リードを許して迎えた最終回の静央の攻撃。
少なくともここで同点に追いつかなければ静央は負けてしまう。
次の回も投げることしか頭にない文吾は投球練習でチームを鼓舞するなか、先頭打者の瑛太はセーフティバントからの気迫のヘッドスライディングで内野安打をもぎ取る。
そして1年生トリオによる下位打線。
7番の米村はしぶとくヒットで続き、8番の尾野は冷静に送りバントを決めた。
1アウト2・3塁、同点の大チャンスで迎えるは9番・小谷野。
内に秘めてきた野生を爆発させるときが来るのであった。
【21巻のまとめ】
瑛太が河村に痛恨の逆転3ランを打たれ、心が折れた瑛太の敵討ちに燃える文吾が2番手としてマウンドへ。
文吾が劣勢のチームに流れを呼び込むエースの投球を見せ、いよいよ最終回の静央シニアの攻撃。
2点を追うなか、1アウト2・3塁、同点の大チャンスで迎えるは9番・小谷野。
内に秘めてきた野生を爆発させるときが来るのであった。
【21巻の見どころ】
この巻の見どころは、エース瑛太の心を打ち砕く河村の逆転3ランと、そこから立ち上がる文吾の熱投です。
瑛太の渾身のジャイロ・スライダーを攻略した河村の一打は、技術と執念が結実した衝撃的な一発であり、瑛太を絶望の淵へと追い詰めます。
涙ながらに文吾へ託す姿は、エースとしての葛藤が胸を打ちます。
そしてその思いを受け継いだ文吾が、不安定な立ち上がりから試合の流れを引き戻す投球を見せる姿は圧巻です。

次巻へ続きます。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
-
参考野球素人の少年が愚直に日本一の投手を目指す!「真っすぐ」に惹かれる王道野球漫画『BUNGO』全41巻【ネタバレ注意】
続きを見る

