桜木が経営再建を果たした龍山高校、しかし井野は教師の仕事に飽きて転職を考え、桜木が主宰するビジネス塾の講師にして転職代理人の海老沢を紹介される。
海老沢にスカウトされた井野は思い切って自分も海老沢のもとで働くことを決心し転職するが、海老沢は社内でも変人扱いされており、日本の転職者市場を牛耳ることで日本を陰で操る「日本支配計画」という野望を持っていた。
その計画の一部に巻き込まれた井野はまず転職代理人としての仕事を任され、手探りながらも求職者とのカウンセリングをして場数を踏んでいくこととなる。
海老沢から要所でアドバイスを受けながらもがく井野だが、海老沢からすればまだまだヒヨッ子。
商社OLの北川のカウンセリングでは早々に行き詰ってしまうが、海老沢の知恵を借りたベンチャー企業の社長秘書という突飛な提案が刺さり、海老沢を慕うベンチャー企業の社長・岡本の秘書に転職することとなった。
その後も成功と失敗を繰り返しながら順調に仕事をこなしていく井野。
井野自身も友人の結婚式を機に自分のこれからについて悩みを抱くようになり、桜木にアドバイスを求めて「100人転職させたら自分も転職する」という目標を持つこととなる。
次の求職者は東大卒のエリート商社マン・桂木。
切れ者で優秀な桂木なら転職は余裕かと思いきや、人を小ばかにしたような態度が反感を買ってか面接で不採用となってしまう。
海老沢が直々に採用を決める基準は「感情」ということを気づかせると、桂木はむしろ海老沢に強い興味を持つように。
時と場所を改め、動物園で面談することにした海老沢は井野と桂木に「2人ともサル山のサル」だと告げる。
果たしてその発言の意図は―。
6巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
桂木が海老沢と井野と同じ職場へ転職することに
井野と桂木がサル山のサル…。
海老沢がそう表現したのは、経済的な自由を得た海老沢と異なり2人ともまだお金という大きな檻にとらわれていたからだった。
海老沢は会社に属しながら外の世界を自由に動き回り、最終的に会社にも大きな利益をもたらしているため文句も言われず放任されている、いわば会社の中で独立した存在だという。
その言葉に不快感を覚えた井野は「金持ってりゃそんなに偉いのか、海老沢は独立ではなく孤立、私は仲間と一緒に仕事しているなら檻の中でも十分幸せです」と反発。
興奮から自分の中の感情が高まり、上司に失礼なことをいった後悔なども合わさって思わず涙がこぼれてしまう。
一方、その様子を見ていた桂木は井野がハッキリと上司に言いたいことを言い切ったことを羨ましく思い、海老沢と井野の職場への転職を希望するように。
そして1ヶ月後、桂木が海老沢と井野の同僚として転職してきた。
桂木も徹底した合理性と効率を求めていると思われたが、心の底では職場の温かい空気や心が和む職場という感情に飢えていたのであった。
新しいチームの仕事も自分で考えろ
チームが3人に増え、職場も拡張。
しかし海老沢は「何しようか。二人で適当に考えてよ。仕事何したらいいか」と仕事も自分たちで考えるように指示する。
自由と裁量を得た桂木がやる気を見せる一方、困った井野は再び桜木のもとを訪れ愚痴をこぼす。
桜木は「大人になるっていうのは与える側になること。仕事というのは社会に何かを与える行為。仕事を考え出して初めて大人になれるんだよ。人から与えてもらったものは仕事ではなく作業と言う」とアドバイス。
会社の決めたことには従うしかない、と反論する井野に対しては「会社のルールも社員は勝手に根拠があると思ってるが、適当でいい加減なものが多い。しかし日本の会社員は決まったことをただ鵜呑みにする。世の中のルールもそうだ。要するにルールを疑わないやつらはルールを作ったやつらに利用されてんだよ。」と持論を展開。
ルールそのものを疑えとアドバイスされた井野は、とりあえず会社の中の疑いたくなるルールについて考えてみるのであった。
日本を変えるのはサラリーマン?
桂木の東大時代の同級生である松平が衆議院選に出ることとなった。
松平は日本を変えるために官僚から政治家を目指している様子だが、海老沢は「議員になっても日本は変えられない」と考えていた。
今や政治家には力も信頼もなく、官僚も変える振りをしながらお茶を濁しているだけ、その結果今の日本は寿命を迎えていつ息を引き取ってもおかしくない死に体だ、と表現する。
国の制度は社会の変化に沿って変えていかなければならないが、国を潰さずに制度を変えられた為政者はいない。制度が腐れば国が滅ぶのら当然、国の制度はだいたい200年が使用期限。日本は戦後も明治政府が作った制度をほとんど引き継いでいる。
では誰なら日本を変えられるのか、その問いに対する海老沢の答えは「サラリーマン」というものだった。
世間の人たちのライフスタイルを変える影響力を持つサラリーマンなら制度を変える外圧を作れる。ライフスタイルを変えるアイディアは民間企業が金儲けのために必死に考え出したもので、突き詰めればグループのなかの個人のアイディア。
それが発端となってドミノ倒しのように世間は変わっていくのだと海老沢は主張する。
海老沢の日本支配計画も世の中を変える小さなドミノの1つであり、お金を儲けられる画期的なアイディアはお金になりそうもないところから生まれるものて、それが世の中を変えるという。
その言葉にヒントを得た桂木は井野のアイディアを活かして「日本の会社のルールを検証する」という仕事に取り組むことに。
新しいルールを作り出すためにまずは日本の会社のルールのいい面と悪い面を洗い出す。一社のルールが良くなって会社が変われば社会も変わる…。
海老沢もそれを承認し、3人の新たな仕事が始まるのであった。
人事異動の謎を解き明かせ
日本の会社の研究という調べものにあまり気乗りしない井野。
そんなとき同僚の中島から飲みに誘われ、愚痴に付き合うことに。
中島はリーダーとして企画を進めていた宣伝から希望してもいない営業に異動と言われたことに不満がある様子。
話を聞いた井野は、社員のモチベーションを下げるにも関わらず人事異動させることの意味について考えるようになる。
そもそも人事異動とは日本特有のもので、アメリカなど海外では資格を取って転職しない限りスペシャリストとして突っ走るしかない。
ではなぜ日本でだけ人事異動があるのか…。
話を聞いた海老沢は中島も含めて人事異動の謎を解き明かせば、社長にかけあって中島の異動を取り消しにしてあげると約束。
まず思い付く人事異動のメリットは、人事交流することで職場が活性化するというものだが、深く考えるためのヒントとして海老沢は「豆腐の消費量を今より増やすにはどうすればいいか」という宿題を与える。
果たしてこれと人事異動にどんな関係があるか、井野たちは考えることになるのだった。
人事異動の2つの狙いとアメリカとの違い
豆腐の市場調査などをして考える井野と中島だが、レシピを増やして消費量を増やすといったありきたりなアイディアしか浮かんでこない。
しかしふと買いすぎた豆腐が床に落ちてしまった際、井野は「食べること以外の新商品に豆腐を使う」という発想にたどり着いた。
具体的な商品ではなく思考法が合っていれば海老沢の宿題はクリア。
気をよくした中島はいつの間にか異動への不満もどこへやらという様子であり、海老沢は「新しい視野を手に入れる」という人事異動の狙いを体験させたのだった。
人事異動とは種の勾配であり、新しい価値を生み出していくことが狙い。
さらに深く考察することにした桂木と井野は、人よりも稼ぐタクシードライバーの秘訣が「知らない土地でも怖れずに運転する」ということにヒントをもらい、人事異動にも「社員を全く知らない土地に配属し刺激を与えることで成長させる」という狙いがあることに気づく。
人事異動の主な目的は化学反応と成長促進。
海老沢が期待していた答えもこれであり、人事異動の謎は解き明かされた。
発端となった中島も今や営業の仕事に喜び勇んでいる様子。
海老沢はさらに付け足しとして、外国の会社では部署が変わると給料も変わる、給料下がらないで会社内で異動できるのは日本の会社だけと告げる。
アメリカなどは仕事に対してお金が支払われる職務主義なのに対し、日本ではその人の能力に対してお金が支払われる能力主義であり、同じ仕事をしても経験が豊富な年長者の給料が高くなりやすい。
アメリカではそれぞれの社員にやるべき仕事と給料が明確に割り振られているため、勝手に人事異動で給料がコロコロ変わると生活が安定しなくなってしまうという側面もある。
そしてアメリカでは、結果がわかりにくい仕事だと直属の上司による評価が仕事の結果とイコールになるため、評価という絶対的な力を持つ上司にガンガンゴマをすることになる。
ゴマすりは日本人的なものではなく、すごくアメリカ的な文化なのであった。
外資系金融を退職した本田
就職の相談に本田のもとを訪れた水野だが、本田は外資系金融の会社を退職していた。
「当分なにもしないでいられる蓄えはあるから、少しの間充電する」とこぼす本田。
そのあとは自分で起業するつもりであることを明かすが、「日本の起業は女性に厳しく、外資系は女性を差別しないが人に厳しい」という実感から来ているようなのだった。
【6巻のまとめ】
海老沢に思い切り言いたいことを言える井野を見て、心の底では職場の温かい空気や心が和む職場という感情に飢えていた桂木も海老沢と井野のもとに転職することを決意し、仲間が1人増えることとなった。
新たなチームでの仕事も自分で考えることとなり、井野と桂木は「社会を変えるためにまず日本の会社のルールを検証する」という仕事に取り組むことに。
日本独自の文化である人事異動には職場での化学反応と社員の成長促進という2つの狙いがあることを解き明かし、アメリカ企業との比較が進む。
他方、金持ちになるという野望を持って外資系金融への就職を志す水野だが、憧れの本田(矢島の元家庭教師)は外資系金融を退職してしまったことを明かすのだった。
次巻へ続きます。
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