神話やおとぎ話のモチーフとなり、かつて怪物や妖怪などと称され迫害されていた、「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間たちがいる世界。
現在では、亜人たちは世間に「個性」として認められて一般社会に自然に溶け込み、社会的な弱者である亜人に対する「生活保障」が整備され、差別意識も希薄となり、若者たちには亜人のことを「デミ」と可愛く呼称するまでになっていた。
新学期、大学時代から亜人に興味をもっていた高校の生物教師の高橋鉄男は、これまで一度も亜人に出会ったことがなかったが、おしゃべり好きでお調子者な「ヴァンパイア」の小鳥遊ひかり、頭と胴体が分離している「デュラハン」の町京子、暑さに弱い「雪女」の日下部雪といった1年生の生徒たちや、地味な服装にして異性を避けている「サキュバス」の新人教師佐藤早紀絵と、それぞれ「亜人としての悩み」を抱える彼女たちに囲まれながらの生活が始まった。
当初はただの興味の対象としか見なさなかった鉄男は、次第に教師として同僚として、彼女たちの話を聞きながら問題に向かい合っていく。
一方で、彼女たちは亜人である自分達に真摯に向き合おうとする鉄男のことを信頼し、町や早紀絵たちは次第に恋愛感情を持つように。
佐藤先生と昔からの知り合いである宇垣刑事と意気投合した鉄男と、鉄男に恋心を募らせ宇垣刑事から恋愛のアドバイスを受ける佐藤先生。
京子も鉄男に好かれようと努力するが、鈍感な鉄男は2人からの好意に全く気付いていない。
そしてデュラハンの見えない首について、親友で物理学を専攻している相馬にも相談しながら考察を重ねていく鉄男は、その謎が解ければ京子を普通の人間に戻すことができるかもしれないことを知る。
他方、ひかりや雪らのケアをする鉄男は「亜人以外の生徒にも目を配るべき」と教頭先生に諫められ落ち込むが、ひかりたちがサプライズで鉄男への日頃の感謝を伝えたことで立ち直り、また教頭先生も考えを改めて鉄男の背中を押すのであった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
意図的に冷気を操りたい雪
夏が近づき、雪は自分の意思である程度冷気を出せるようになれないかと鉄男に相談。
雪女の性質はネガティブな感情に起因していることをヒントに、鉄男は悲しい演技を試すように雪に指示する。
しかし人前で演技をするのに慣れていない雪にとっては恥ずかしい状況が続くことに。
結果的にその恥ずかしさというネガティブな感情によって足裏から氷の冷や汗をかくことに成功するのであった。
納涼には怪談話よりも…?
本格的な夏が始まり、暑さに悩むひかりと雪は冷房完備の理科準備室に入り浸る。
京子も交えて涼む方法を考えることになると、京子は怪談話を提案。
京子の怪談はそれほど怖いものではなく涼むことはできなかったが、ふとひかりは京子が夏でもベストを着こんでいることに気付いた。
その理由を聞いてみると、京子は「汗をかくとシャツが透けて下着が見えちゃうから」と恥ずかしそうにこぼし、実際にふくよかな胸につけた下着が透けていることを明かす。
貧乳のひかりと雪は差を見せつけられて意気消沈し、部屋の空気が冷え切るのであった。
学校のプールを貸し切り
鉄男の提案で休日に校内プールを開放し、水着で楽しむひかり・京子・雪、そして佐藤先生。
もともとはひかりがプールを使いたいと言い出したのが始まりだが、鉄男にとってはサキュバスである佐藤先生に羽を伸ばしてほしいという思いから、女性だけで貸し切って自分は頃合いを見ていなくなろうと考えていた。
佐藤先生は今こそチャンスと多少強引にでも鉄男にアピールすることに。
しかし催淫はできても鈍感な鉄男は京子や佐藤先生からの好意には全く気付いておらず、気付く様子もないのであった。
水が苦手なデュラハンの伝承について考える
京子は身体だけプールの中に入り、頭部はプールサイドで待機。
そんな京子に鉄男は話しかけ、話題はデュラハンの伝承についての考察になる。
デュラハンの性質は「頭と胴体が分離している」というだけだが、なぜか馬に乗って戦う騎士としてのイメージが強いのはなぜか。
京子は過去に騎士として大活躍したデュラハンのイメージが伝承として色濃く残ったのではないかと推理。
デュラハンを見た者に訪れる死や残虐な言い伝えは、デュラハンに殺された者が大多数だったという敵側からの恐怖を反映したもの、そして「水が流れる川を渡すことができない」というのは頭を川に落として流されたらどうしようもなくなる、というリスクを踏まえての行動だったのでは―。
そんな考察に花を咲かせていると、話を聞きつけたひかりが京子にも潜って見える景色を見せてあげたらと提案する。
鉄男が責任者として京子の親に電話で了解を取り、鉄男に支えられながら京子は初めて水の中に潜る。
皆から愛されている京子を見ていると、死神のように恐れられるきっかけとなったデュラハンにも愛すべき家族や仲間がいたのではないかと考えさせられるのであった。
ひかりの家族関係を羨ましむ雪
借りた日焼け止めを返すためにひかりの家を訪ねた雪は、真っ赤に日焼けしたひかりと遭遇する。
日の光に弱いひかりは一日中外で遊んでいるだけで全身が真っ赤になってしまうことを知り、ひかりの大変さを想って涙がこぼれる雪。
しかし本人やひかりの家族にとっては慣れっこであり、両親やひまりとも会った雪はその家族関係を羨ましいと感じるようになるのであった。
姪の陽子は座敷童子と同居することに
東京の外れのほうで1人暮らしをする大学生の高橋陽子の家には、東北地方に伝わる精霊のような存在である座敷童子が住み着いていた。
ざしこと名付けて家族のように暮らしているが、ざしこはその部屋から出ることはできず、またざしこの姿や声も陽子にしか認識できないようである。
座敷童子は幸せをもたらすという伝承があるものの、食事や世話などのまるで育児のような負担ばかりかかる生活に嫌気がさし、ある日陽子は「もし別の家に越したりできるんなら、もっと寛容で余裕ある大人のところへ行った方がいいんじゃない?」という言葉をかけてしまう。
陽子に拒絶されたざしこは大泣きして閉じこもってしまい、陽子は自身の通う武蔵野理科大で友人とランチ。
その際に友人から「自炊や部屋の掃除が行き届いており、自制できてることがすごい、幸せそう」という言葉をかけられ、これがざしこがもたらした影響によるものかと知る。
考えを改めた陽子はざしこを育てながら一緒に生きていく決意を固め、帰宅後にざしこと仲直りするのであった。
【5巻のまとめ】
本格的な夏を迎え、学校のプールを貸し切って亜人たちだけで楽しむ場を設けた鉄男。
佐藤先生はここぞとばかりに鉄男を催淫しようとするがまだ好意に気付くには至らず。
一方、鉄男の姪の陽子の家には、陽子にしか認識できない座敷童子のざしこが住み着き、まるで親と子のように面倒を見ることになるのであった。
次巻へ続きます。
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