年末の都内ターミナル駅で発生した史上最悪のテロが発生した。
実行犯はその場で死亡したが、その正体は希堂琴音という25歳の若手人気女優。
事件の直前に琴音とばったり再会していた主人公の神崎一は、犯人は本当に琴音なのか、なぜ琴音が凶行に走ったのか、止める手段はなかったのか等、様々な謎を解き明かすために奔走する。
しかしその裏には幼い頃の事件や様々な人物の思惑が交錯していた―。
さっそく、1巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
幼馴染の琴音と再会
ある年の12月27日の朝、葬儀屋を経営する神崎一(ハジメ)は幼馴染で妹のような存在の若手人気女優・希堂琴音と駅のホームでばったり再会する。
ハジメは両親を交通事故で亡くし、また琴音も両親を事件で亡くしてから2人は兄妹のように支え合いながら生きてきた。
ハジメにとって琴音は人気女優と言う周りに自慢したい存在でもあり、会えば辛い過去を思い出してしまうような存在でもある。
そんな琴音はハジメを食事に誘って久々の2人きりの時間を楽しむと、駅で別れ際に「私を止められたのはお兄ぃ…あなただけだったのに」と意味深な言葉を残し、自分が付けていたイヤリングの片方を渡しながら電車に乗ったハジメを見送った。
何のことかさっぱりわからないハジメだったが、その後に駅では死傷者666人と日本犯罪史上最悪の毒ガステロが発生してしまう。
その事件の犯人は琴音、そしてハジメはこのときまだ琴音が事件を起こしたことも、その動機も何もかも知らないのであった。
史上最悪のテロ事件の犯人は琴音?
事件が起きた日の深夜、ハジメは自宅を訪れた刑事2人(柳と南田)に重要参考人として警察署まで同行することとなる。
琴音が事件の犯人だということを信じることができないハジメだったが、テロ事件の被害者が偶然撮影していたカメラの映像にはガスマスクをつけたうえ、最後はカメラを覗き込むようにして自らも命を落とす琴音の姿が映っていた。
警察のプライドにかけても「被疑者死亡・動機不明」では終わらせられないため、ハジメは琴音のことをよく知る人物・あわよくば共犯者の可能性もあるとして取り調べを受けることに。
事件を聞きつけたマスコミも警察署に殺到し、ハジメは犯人と直前まで一緒にいた幼馴染というだけで激しいバッシングに晒されてしまう。
あまりにも急な展開に困惑を隠せないハジメは、ふと自分の上着のポケットに琴音が別れ際に渡してきたイヤリングがあることに気付いた。
しかし警察で見せられた映像の琴音は、確かに両耳に同じイヤリングをつけていた―。
これが何を意味しているのかはわからないが、それでもハジメはこの微かな矛盾を心の支えにするのであった。
無実を信じて立ち上がった仲間たち
それから毎日のように取り調べを受け続け疲弊していくハジメ。
世間では「ハジメの葬儀社に仕事を回すためにテロを起こした」といったデマや過激な報道が過熱し、ハジメも仕事どころではなくなってしまう。
そんなある日、警察署でハジメはある女性に無理やりメモを渡され、藁にも縋るような思いでそのメモに書かれていた電話番号に電話をかけてみた。
するとその晩、ある貸し切りのバーに呼び出される。
バーには琴音が芸能界で仲の良かった面々が勢ぞろいしていた。
バーにいたのは大物俳優の久保田 玄奘、元男性アイドルグループの一員であるジュンペイ、琴音の後輩の女優・宮ノ森 真由、女性の若手お笑いコンビ「コンビニマシンガンズ」の2人(土屋と水野)、そしてハジメにメモを渡してきた張本人である琴音のマネージャー・塩見の6人。
彼らもまた琴音が起こした事件の影響を被っており、さらに琴音がテロリストではないと信じている同志たちだった。
味方を得たハジメはようやく、イヤリングの矛盾について話し、琴音の無実を晴らすために動き出すのであった。
何者かからの警告
塩見は既にここ数か月の琴音の行動を調べ、①ある病院の廃墟、②ある山の樹海、③東京湾から1時間ほど離れた無人島の3か所によく足を運んでいたことを突き止めていた。
玄奘たちは手分けしてその3か所を調べてみることを決め、ハジメは塩見と共に樹海へと向かう。
しかし道中では反対車線から明らかにこっちに狙いをつけて車が突っ込んできた。
危うく事故になるところを躱して事なきを得たものの、③の無人島へと向かおうとした玄奘・ジュンペイ・真由は、何者かがボートの燃料を漏らしており危うく爆発するところだったという。
さらに①の病院へと向かったコンビニマシンガンズの2人とは連絡が取れない。
するとそこに塩見のもとにあるビデオファイル付きのメッセージが届いた。
そこにはコンビニマシンガンズの2人の首や指が切断された凄惨な映像と共に「これ以上踏み込むな。警察にも知らせるな」という警告がついているのであった。
ハジメも殺されてしまうが…
団結ムードに水を差す何者かからの脅迫。
それでも真由は恐怖に耐えながらハジメに接触し、2人は互いに琴音のために諦めないことを決心する。
玄奘は犯人の要求通り、警察には届け出ず一切の手を引くととするが、ハジメと真由は共同生活をしながら協力して捜査を継続することに。
一緒に生活するうちに真由はハジメはまるでこの世界に何も執着せず、他人にも興味を示さず、いつ死んでもいいかのように振る舞っていることを見抜く。
しかし突如としてその2人の家も襲われることとなってしまう。
宅配便を装った黒ギャルの女に真由が銃で撃たれ、さらにハジメも抵抗する暇なく頭を撃たれた。
何一つわからないまま遠のいていく意識。
死んでも死にきれない想いを抱えながらハジメが手の中で琴音からもらったイヤリングを握りしめた時、ハジメに急展開が訪れるのであった。
初めてのタイムリープ
死んだと思ったハジメだが、ふと気付くと電車の中にいた。
記憶は全て残ったまま、日付は12月27日、それも電車に乗り込んで琴音で別れた直後ににタイムリープしていたのである。
夢かどうかもわからないまま、ハジメはすぐさま電車で折り返して琴音のもとへと急ぎ、琴音が本当に犯人なのか自分の目で確かめようとする。
そしてハジメは毒ガスを吸い込んで血を吐きながら、確かに琴音がガスマスクをつけた犯人であることを目の当たりにした。
琴音はハジメが戻ってきたことに驚きつつも、「ミヤコのためにはこうするしか…ゴメンね」と言葉を残し、自分もガスマスクを外して倒れる。
わかったのは琴音が自らの意志でこのテロを引き起こしたこと、そして「ミヤコ」という存在が関係していることだけ。
ハジメは琴音がここまで追い詰められた経緯を突き止め、そうなる前に手を差し伸べるために再びイヤリングを握りしめ、絶対に琴音が凶行に走るのを止めるという決意を胸に過去にタイムリープすることを念じるのであった。
【1巻のまとめ】
20XX年12月27日。ハジメは、6歳年下の幼馴染である人気若手女優の希堂琴音に偶然再会するが、琴音は別れ際に「私を止められたのは、あなただけだったのに」という謎の言葉を残して去っていく。
その翌日、ハジメは二人の刑事から琴音が駅で大量の死傷者を出す毒ガステロを起こし、さらに自分もガスマスクを外して亡くなったことを聞かされた。
それ以来、事件直前に琴音と会っていたハジメは、執拗に警察の取り調べを受け、マスコミにも追いかけ回されることとなる。
ハジメ琴音のマネージャーの塩見から接触を受け、琴音の無実を信じる芸能関係者たち(大物俳優・久保田玄奘、元アイドルグループのジュンペイ、琴音と同事務所の宮ノ森真由、若手お笑いコンビ"コンビニマシンガンズ")らと独自に事件を調査し始めた。
しかし"コンビニマシンガンズ"のナナコの指と生首の動画と共に何者かから「これ以上、琴音の事件に踏み込むな」「警察には知らせるな」という警告があり、まとめ役の玄奘は要求通り事件を手を引くことを決めてしまう。
諦めることのできなかったハジメは真由と共同生活しながら調査を継続するが、ある夜家に押し入ってきた黒ギャルによって2人は撃ち殺されてしまった。
薄れゆく意識のなか、ハジメが「琴音と別れたあの時に戻りたい」と強く願うと、いつの間にか12月27日のテロ事件発生直前にタイムリープしていた。
ハジメは急いでテロ事件現場に駆けつけ、琴音を見つけると、琴音はテロ事件を起こしながらも「ミヤコのためにはこうするしか」という言葉を残して息絶えていった。
二度目の死を迎えたハジメは、そのヒントを胸に再びタイムリープ。
事件の半年前に目覚め、今度こそ琴音を止めるために行動を開始するのだった。
次巻へ続きます。
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