ある日、丘陵セントラルに運び込まれた男性は成増の過去に大きく関わりのある人物で謎めいた成増の過去が暴かれる。
作業療法士として仲間入りした今市は、さっそくリハビリで独特の持ち味を発揮した。
14巻のあらすじを振り返ってみましょう。
エイリアンハンド
ある日、デパートでネックレスを盗もうとして捕まる女性を目撃した川内。
無実を訴える女性は、弁護士の中保に連れられて三瓶の診察にやってきた。
女性の言い分である「勝手に左手が動く」という現象は医学的に説明できるのか。
三瓶はMRIを撮って、右前頭葉の内側に海綿状血管腫を発見する。
何度か出血した形跡があり、周囲の脳が圧迫されていたため「エイリアンハンド」という症状が出ていていると三瓶は説明する。
中保に頼まれ、「エイリアンハンド」の女性・小暮の裁判で証人として証言台に立つ三瓶は、裁判独特の雰囲気の中で、脳の障害について説
明するのに一苦労するのだった。
エイリアンハンドの証明
裁判の行方は小暮にとっては有利とは言えず、中保は弁護の糸口を掴もうと小暮に面会するが、「なぜ盗んだのがネックレスだったのか」という質問になると口を閉ざしてしまう。
そして面会中に突然倒れてしまった小暮は、丘陵セントラルに運び込まれ緊急手術を行うことに。
三瓶は海綿状血管腫の摘出時、既に増大した血管腫により補足運動野が損傷していることを認め、これによりエイリアンハンドは証明された。
血管腫は無事摘出されたが、今回の出血でエイリアンハンドの症状は悪化することが予測される。
認知バイアス
エイリアンハンドは証明されたものの、小暮が盗みを働く前に高価なネックレスの前に長時間立っていたことの理由が説明できず頭を抱える中保は、小暮の身辺調査に乗り出した。
三瓶も特定の対象に興味を示すときには必ず何か理由があるはずだと考える。
一方、小暮は左手をコントロールするリハビリを始めたが、病院内での行動が不信だと話す五十嵐に対し、川内から見た小暮の印象は全く違
うもので、三瓶は認知バイアスが働いていることを指摘する。
さらに、周囲の偏った認知にさらされ続けた小暮は、周囲の言動に対してかなり敏感になっているようだった。
真珠のネックレス
小暮について調べを進めるうちに、小暮が児童養護施設で育ったことを知った中保は、施設で母親代わりだった女性から話を聞く。
そこで施設に来た日の母親に対するトラウマに、真珠のネックレスが関係することを知った。
虐待を受けていた小暮はなかなか心を開かなかったが、時間をかけて信頼関係を築き本当の親子のような関係になっていった。
しかし、高校3年生になるころ小暮は再び心を閉ざしてしまう。
母親のように振る舞うことで、本当の母親への気持ちに蓋をしてしまったのではないかと心配する女性に、小暮は母親代わりではなく本当のお母さんだと思っていると話した。
小暮はずっとその女性に真珠のネックレスをプレゼントしたいと願っていたのだった。
パティシエの右腕
若くしてコンクール準優勝の腕を持ち、行列のできる店を構えるパティシエの森川は、ある日厨房の機械事故により右腕をなくしてしまう。
命が助かったとはいえ、パティシエとして命と同じくらい大事な右腕をなくしたことに落ち込む森川。
その様子を見た相部屋の堀井は辛気臭いと、強い口調で檄を飛ばす。
元通りの動きを求めて森川は筋電義手を希望するが、日本の制度では高額な義手を保険でカバーできず普及率は海外に比べてかなり低かった。
そのうち幻肢痛に苦しむようになった森川はリハビリで改善を図るが、なかなか効果が出ず痛みが続きさらに落ち込む。
リハビリを休むと、またもや堀井が嫌味を言い、たまらず掴みかかる森川を津幡師長が止めに入った。
ムッタのメッセージ
アメリカから筋電義手を取り寄せた三瓶は、森川に脳と筋電義手の仕組みを解説し、さっそく本当の手と同じように使えることを目指しリハビリを開始した。
アメリカから送られてきた義手と一緒に入っていた「ムッタ」からのメッセージ。
度々送られる「ムッタ」からのメッセージには、いつも「ミヤビ」の文字があり、誰なのか疑問に感じていた川内は、思い切って三瓶に尋ねる。
すると、二人の婚約の証人であると判明するが、川内は婚約が見せかけのものだったと分かって以来、三瓶の誠実さに対してうしろめたさを感じてしまうようだった。
森川の目標
上手くいかないリハビリや痛みとの闘いに、度々心が折れてしまう森川を、堀井は堀井なりに励ましていた。
義手でスイーツを作るんだと気合が入る森川に、堀井はデパートで母親と食べたショートケーキが堀井にとっての思い出のスイーツだと語る。
義手でのスイーツ作りが失敗に終わり、再び落ち込んでしまった森川。
パティシエ復帰に壁が立ちはだかる度にひどく落ち込む森川に、三瓶はなんとかポジティブな目標ができないかと考えていた。
その夜、堀井が急変し個室へ移動してしまう。
ショートケーキ
いつも辛い顔など見せずに憎まれ口ばかり叩いていた堀井は、骨肉腫が肺にまで転移し、想像もつかない全身の痛みに耐え続けていた。
それを知った森川は、堀井に自分が作ったケーキを食べさせるという目標を持ち、毎日ケーキ作りの練習に励む。
義手で一生懸命に作った少し不格好なショートケーキは、堀井が最期に口にしたものになった。
そして、パティシエとして復帰を果たした森川は、新しい看板商品としてシンプルでどこか懐かしい「イチゴショート」を生み出したのだった。
【14巻のまとめ】
認知バイアスに、人間のモジュール、脳の病気や障害だけではなく様々な観点から患者を支える三瓶は、それぞれの悩みを持つ患者に寄り添う。
川内は三瓶との婚約が、三瓶の負担になっていないかと不安がぬぐえない。
しかし、三瓶が川内を大切に思う理由は、川内の記憶にない二人の思い出にあるようだった。
【14巻の見どころ】
この巻の見どころは、「エイリアンハンド」と「パティシエの右腕」の二つのエピソードで、人間の心と身体の関係性を深く掘り下げている点です。
「エイリアンハンド」のエピソードでは、無実を訴える女性・小暮の裁判が見どころです。
医学的に証明しづらい脳の障害を、三瓶がどのように証言し、小暮の過去と絡めて真相に迫るのかが緊張感を生みます。
特に、盗んだネックレスと彼女のトラウマの関連が明らかになる場面は感動的です。
一方、「パティシエの右腕」では、右腕を失った森川が義手を使って再びスイーツ作りに挑戦する姿が胸を打ちます。
堀井との関係や、最期に作ったショートケーキのシーンは涙なしには読めません。

次巻へ続きます。
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