職場でも家庭内でも立場がない冴えないサラリーマンの犬屋敷壱郎は、ある日犬の散歩中に高校生・獅子神皓と共に宇宙人の事故に巻き込まれ、機械の身体となって蘇った。
記憶と意識はそのままに、身体のなかが勝手に機械に置き換わったことで超次元の能力を手に入れた犬屋敷だが、自分が自分ではなくなったような感覚に襲われ、自分の存在意義について悩みを持つ。
同じく機械の身体となった獅子神はイジメられて不登校になった親友の安堂を気遣いながらも、連続民家襲撃事件を起こすなど他人を殺すことで生を実感するように。
一方の犬屋敷は「一人でも多くの人を救う」という行為に自分の生きる意味を見出し、さらに自分に治癒能力が備わっていることに気づくと、重い病に苦しむ人を救うために病院へ足を運び治癒の輪を広げていく。
そして獅子神の暴走に恐怖を感じた安堂は獅子神を止めるために犬屋敷に接触し、自ら協力者となることを申し出て、行動を共にするようになった。
その頃、獅子神は独り身の母を支えるために大金をせしめ、裕福な暮らしを手に入れるが、その幸せは長くは続かない。
連続民家襲撃事件の犯人として特定され警察が自宅に押し入り、獅子神は何とか逃走するも指名手配されてしまう。
そして焦りと悲しみを背負い行くあてを失った獅子神を、獅子神に片思いするクラスメイトの渡辺しおんが見つけるのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
しおんに匿われる獅子神、そして母の自殺
獅子神が指名手配され、学校でも動揺が広がっていく。
一方の獅子神は祖母と二人で暮らしているしおんの家に身を寄せていた。
〈匿われた獅子神 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
獅子神は手配されていると知りながら犯人とは信じず、穏やかに迎えてくれた祖母としおんを殺すのは思いとどまった。
しかしネットでは獅子神の個人情報が特定され、そのルックスに惹かれた女性ファンも現れ始める一方で母親に過剰なバッシングが行われる。
〈バッシングが母に向く [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
押し寄せた取材陣に号泣しながら謝る母の姿を見て、獅子神も涙が溢れてくる。
そして自責の念に押しつぶされた母が姿をくらまし、自殺。
愛する母が命を絶ったことをニュース速報で知った獅子神は、たまらずしおんの家を飛び出し、飛行しながら大声で泣くのだった。
〈母の死に号泣 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
復讐で殺戮を始める獅子神
母を死に追いやったことの恨みが溜まっていく。
今度は父の実家に取材陣が押し寄せるようになると、そこに獅子神が現れ取材陣を次々と殺害。
〈報道陣を殺害 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
父は助け、次に狙うのはネット上で母にバッシングをしていた一般人たち。
獅子神は人間を越えた技術でネットユーザーのPCをハッキング。
獅子神の殴り込みを受けても高笑いしているユーザーたちに対し画面越しに銃撃を食らわせ、殺戮と復讐を重ねていくのだった。
〈ネットユーザーに復讐 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
しおんが獅子神を改心させる
どんなに復讐を重ねても獅子神の心は晴れない。
荒んでいく獅子神は、ついにしおんに自分の身体のことを打ち明け、自分が大量虐殺の犯人であることを告白する。
〈獅子神が自白 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
「他人の命が消える瞬間にしか自分の生を実感できない」と言い、全世界を敵にこれからも殺し続ける考えを口にする獅子神。
それでもしおんは獅子神と「一緒に居てほしい」と泣きながら返す。
これを機に獅子神はしおんを自分の中で大切な人と認識するようになり、しおんとずっと一緒に居るため、今までに殺した人の数だけ人を救うことで少しでも罪を償うことにするのだった。
〈獅子神が考えを改める [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
再び悲劇が襲う
匿名のtwitterで治療を求める人を募り、その口コミで徐々に治療の輪を広げていく獅子神。
〈償い始める [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
未だ指名手配中のみだが、大量殺人の報道は止まり、世間の獅子神に対する敵意は薄れ始めていた。
獅子神としおんにも次第に笑顔が戻っていく。
しかし、その幸せをぶち壊すかのように特殊部隊が獅子神の居所を特定し、寝静まった夜中にしおんの家に突入するのだった。
〈迫る特殊部隊 [いぬやしき 5巻](c)講談社/奥浩哉〉
【5巻のまとめ】
しおんに匿われた獅子神は、世間からの猛バッシングを受け自殺してしまった母への弔いで復讐を始めていく。
虐殺を繰り返しても心が晴れない獅子神だが、それでも見捨てずに傍にいることを願うしおんによって、獅子神は「今まで殺した人の数だけ人を救う」という償いで考えを改めた。
しかし大量殺人は止まり平和が戻ったかに見えたのも束の間、その幸せを壊すかのように獅子神の居場所を特定した特殊部隊がしおんの家に突入するのだった。
次巻へ続きます。
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