ただ、その代償に堀田の命が失われてしまう。
玲子が絶望に打ちひしがれる中、小野寺は正式に六郎たちと行動を共にすることを決意する。
3万人の移動が行われる途中、地殻変動に多くの人が巻き込まれてしまう。
助けなど来ない絶望的な状況でたった2人の子供は生き残った者の意識を変え、互いに助け合うことでさらなる被害から逃げることに成功した。
小野寺は自分も変えられるかもしれないと、自分の記憶に向き合うことを決意する。
そんな中、ついにケルマディック2号を搭載したヘリが小野寺のもとに届けられた。
13巻のあらすじを振り返ってみましょう。
過酷な条件
日本列島に巨大な台風がおおいかぶさり、雨は一向に止む気配がない。
そんな中、ニューヨークの国連総本部では、日本救済特別委員会が開催されていた。
外務省特別顧問の野崎はここで頭を垂れて各国に救済を懇願するものの、決して良い反応は得られずにいた。
数千万に上る難民の数は人類にとっても未曽有の事態である上、他者への不寛容という点においてこれほどまでに憎しみの連鎖が絶えない時代において、難民を手放しで歓迎する国は皆無に等しい。
しかし、ある条件を飲むのであればという前提で、すでに各国は受け入れに合意の意志を示していた。
喜びを見せる野崎だったが、その条件は提案する側でさえも提示することを躊躇するほどの過酷なものだった。
よみがえる過去
国連側は民間D計画の代表として、六郎に条件を受け入れるかどうかの決断を求めてきた。
中田がその条件を聞かせようとするが、あえて六郎は何も聞かずにアメリカへ向かうことを決断する。
そんな中、小野寺はどうしても確かめておきたいことがあった。
それは自分の過去と向き合うことであり、結果的にマコが遠ざかってしまうものになるのかもしれない。
しかし、自分の求めるものが現実の先にあることを予感する小野寺は、六郎にかつて呼びかけた名前を問いかける。
「郷さん、ロクちゃんか?」
小野寺の心は、中学までの小野寺を思い出すことを許した。
しかしまだ完全には、記憶が戻り切っていない。
目の前で必死に現実を受け入れる小野寺を前に、玲子は自分のことにたどり着くまではまだ時間がかかることを悟った。
かつて小野寺にかけられた言葉で小野寺を励ました六郎は、ヘリに乗ってその場を去った。
すべてを賭けて
アメリカに到着した六郎は、委員会でその過酷な救済条件を突きつけられる。
財産の提出、言語・姓名の没収、居住・移動の制限――もはや基本的人権さえも差し出す、奴隷にでもなれというような内容だ。
この様子は世界中に中継されており、当然日本では激しい反発の感情が渦巻いていた。
さすがに国連側も答えを急かさず、冷静に考えるよう促すが、六郎は驚くほどあっさり回答を出す。
すべての条件を飲み、各国の受け入れを要請してしまったのだ。
すでに今の日本に選択肢は無く、条件が飲めなければ日本列島と共に沈むだけなのだから。
これには国連側も驚きを隠せなかったが、委員長は各国に釘を刺す。
これほどまでの過酷な、法治国家への蹂躙ともいえる条件を飲ませた以上、一刻たりとも目をそらすことは許されない。
受け入れる側にも相応の覚悟が求められるのだ。
もはや国家や体制の違いは意味をなさず、地球上の全人類が当事者として関わることとなっていく。
国家という形から一歩踏み出した世界、それは世界海洋財団が先に見据える世界でもあった。
生きる覚悟
日本中で聞こえるはずのない、六郎に向けられた非難の声が上がる。
しかし六郎はそれを聞くことなく、突如現れた田所と共に姿を消した。
すでに田所の直感は、日本のみならず、世界全土の沈没を予測している。
現代科学に基づく「物質文明」は、すでに次の段階へと踏み出そうとしていた。
小野寺は堀田や六郎の声を思い出し、自ら民間D計画の指揮を買って出る。
元の人格を無意識に押さえつけて余計なことをしないようにしていた小野寺は、確実にその余力を持て余していたのだ。
すでに容赦なくことは進み、終わりへと向かう中、小野寺は目の前の現実と向き合う覚悟を決めていた。
やむことなく襲いかかる災害から逃げ延びた先には、諸外国行きの船が待っている。
今その瞬間、災害によって死にたくなければ、その船に乗るしかない。
日本人は今まさに、すべてを投げうってでも生きるという覚悟を求められていた。
【13巻のまとめ】
世界は日本人を受け入れるための代償として、日本という国家のあらゆるものを差し出すよう迫っていました。
政府が返答に困る中、国連は六郎を民間人の代表として結論を出すよう求めます。
六郎はこれをあっさりと受け入れてしまうと、そのまま田所と姿を消しました。
日本中が理不尽な条件に怒り叫ぶ中、小野寺は六郎不在の民間D計画を指揮することを決断します。
徐々に戻りつつある記憶は、小野寺に現実を受け入れる覚悟を決めさせていました。
【13巻の見どころ】
この巻の見どころは、極限状況の中で示される六郎と小野寺の覚悟と決断です。
ニューヨークの国連総本部で提示される過酷な救済条件――財産、言語、姓名、居住の自由、すべてを差し出せという内容に、六郎がすべてを受け入れる場面は、国家の存亡をかけた冷徹で大胆な判断として描かれています。
即答で受け入れる六郎の姿は、もはや選択肢など無いという現実を突きつけます。
日本中から非難の声が上がることを知りながらも、生き延びるために必要な決断――その重さが、読者の心に深く刻まれます。
一方で、小野寺は失われた記憶を少しずつ取り戻しつつ、民間D計画を率いる覚悟を決める様子が描かれ、個人の成長と責任感が際立っています。
六郎の名前を思い出す場面――記憶が戻り始めた小野寺の心の動きは、希望と不安が入り混じった複雑な感情を伝えます。
世界中が関与する日本救済の局面で、国家や体制を超えた人類全体の当事者意識が描かれ、現実の厳しさと希望の光が交錯する緊迫感に引き込まれます。
受け入れる側にも覚悟が必要――委員長の言葉は、この問題が日本だけのものではないことを示しています。

次巻へ続きます。
この漫画をもう一度読みたい方はこちら
全巻まとめに戻る
-
-
参考いつか起きるかも?日本を襲う大厄災で奔走し続けた救急隊員たちを描くパニックSF物語『日本沈没』全15巻【ネタバレ注意】
続きを見る

