函館の地でプロデビューを果たした麟太郎は、初日のレースを全力で戦った結果相手を落車させてしまい失格に。
意気消沈する麟太郎にミホが手を差し伸べ、麟太郎はその好意に甘えつつ恋愛したい欲を必死に自制する。
伊東での第2戦、麟太郎のお人好しな性格を利用しようとする先輩らがいるなかでも麟太郎は実力の差を見せつけ、3日間のレースを全て1位で完全優勝した。
3場所連続での完全優勝を賭けたレースでは、和尚やイワ、ベテランの七味も出場するなか、決勝で和尚との同着1位で特別昇班を決めた麟太郎。
秋谷の取り計らいでS級トップ選手である小鳩との練習で良い刺激を受け、次は最強のルーキーとして連勝街道をひた走るシーサーも出場する東久留米でのレースへ。
決勝ではシーサーに敗れ完全優勝を逃した麟太郎だが、レース後にシーサーからトラック競技で一緒にオリンピックを目指さないかと誘われる。
一方、伯父である恩次と一緒のレースで走る可能性を模索して悩む寒川に対し、S級への昇級とトラック競技で上り詰めて賞金もレベルも最高のG1レースのひとつである寛仁親王牌に一緒に出場することを目指すように提案。
麟太郎・寒川は会心の走りを見せてもともと内定していた鈴本と一緒にチームスプリントの東京代表となり、地区プロ大会優勝を果たす。
しかし競技用ピストに乗ったことで従来の競輪用ピストを上手く乗りこなせずスランプに陥ってしまい、自分に合った特注のピストをオーダーメイドすることに。
ミホとの愛を深めた麟太郎のもとには新しいピストも届き、気持ちを新たに小田原でのレースへと臨むのであった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。
新しいフレームでの初戦
新しいフレームに乗り換えてからの麟太郎の初戦。
どこまでできるのか知るべく、最終コーナーを抜けてからの加速にトライすることにした麟太郎。
その作戦はまるで伝説の先行と呼ばれた鷹取(秋谷の師匠)のような走りだった。
その作戦通り、麟太郎は背中に大きな翼が生えたかのような圧倒的な走りで後ろをぶっちぎり、1着でゴール。
しかし身体の相性が良すぎた代償として、脚の力を100%出し切ってしまったかのようにレース後はフラフラになってしまうのであった。
全力を出した代償、カギを握るのは麟太郎の回復力
翌日の準決勝は、体力をできるだけ温存するためにガリビエカマシを仕掛けることにする。
脚が重いものの新しいフレームなら脚をハイスピードで回せてしまい、最後の直線勝負でエネルギーが枯渇していても力を振り絞って加速。
無事に準決勝を突破するが、レース後にはもはや全身の力を使い切ったかのように満身創痍の状態となってしまった。
最終日の決勝はミホの両親も応援に来る大事な日。
今の麟太郎では2日間のレースが体力の限界であり、先輩たちに手伝ってもらいながら体力の回復に努めることとなる。
元ロードレーサーの麟太郎の身体には回復に必要なミトコンドリアが多く、その回復能力がカギを握っているのであった。
ミホの両親の前で辛くも優勝
決勝レースの日、麟太郎はある程度回復したものの途中でエネルギー切れを起こす可能性が濃厚。
そこで麟太郎はある賭けに出ることに。
ミホの両親もシゲや杏里らと一緒に観戦するなか、麟太郎はギアを重くしてイチかバチかの一発勝負へ。
麟太郎がガリビエカマシで先頭に立つが、そのスピードがやや鈍ると後ろでは目まぐるしい攻防が繰り広げられる。
最後の直線では横一線の勝負となり、麟太郎は身体中の全エネルギーを絞り出してペダルに集中。
ミホの母は麟太郎にへそくり全額を賭けており、1着を逃せば嫌われてしまう可能性があるなか、写真判定の結果麟太郎は僅差で1着。
今回の優勝は麟太郎にとって大きなものとなるのであった。
天辺を目指す覚悟を固める
レース後、麟太郎はミホの両親に軽く挨拶を済ませ、すぐに秋谷のもとへあることを伝えに行く。
麟太郎がどうしても秋谷に伝えたかったのは、今後一切ロードバイクに乗らないという覚悟。
今回のレースで自分には競輪選手として天辺を目指すには圧倒的に筋肉が足りないことを自覚し、そのためにロードレースへの未練を捨てて肉体改造に取り掛かることにしたのである。
家族の死からずっと電気をつけっぱなしだった麟太郎の家も、ミホというパートナーができたおかげで電気が消え、少しずつ前を向いて生きることができるようになった麟太郎。
小田原でイワと桃子とのWデートも済ませ、いよいよ年末のグランプリA級戦に向けて気合が入る。
グランプリのS級戦では秋谷も出場予定であり、麟太郎の覚悟を聞いた秋谷もある決意を固めるのであった。
【10巻のまとめ】
新しいフレームは麟太郎の全力を引き出す性能を持っていたものの、それには身体中の力を使い果たしてしまうという代償があった。
小田原での初戦と準決勝の2レースで満身創痍となってしまった麟太郎は、ミホの両親も観戦に来るなか、身体中の全エネルギーを絞り出してペダルに集中し、何とか1着で完全優勝。
ミホの両親への挨拶を済ませた麟太郎は、レース後に競輪選手として天辺を目指すためにロードレースへの未練を捨てて肉体改造に取り掛かることを決意するのであった。
次巻へ続きます。
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