夏休みの自然学校で出会った15人の少年少女たちはココペリと名乗る男と出会い、「巨大ロボットを操って敵から地球を守るゲーム」に参加することに。
子供たちはパイロットとして契約を済ませ、ゲームが始まる。
コエムシと名乗る口の悪いマスコットにサポートされながら、ココペリは実際に巨大ロボット「ジアース」を操り敵を撃破した。
しかし契約が済んだあとで「ジアースは1回戦闘するごとに操縦者の命を奪う」「相手は並行世界の地球」「負けるか48時間以内に決着がつかなければ地球は滅亡する」というルールが明かされ、子供たちは勝って自分たちの地球を守りながら死ぬか、負けて地球と共に死ぬかの運命を突きつけられる。
巨大ロボットによる戦闘を受けて国防軍も動き出すが、軍の火力ではまともなダメージを与えることができない。
戦闘以外での死亡などによりパイロットが不足するなか、軍からのサポート要員である関と田中が予備パイロットとして契約を済ませた。
既にほとんどの子供たちが命を落とすなか、残るはウシロとマチの2人だけ。
2人とも最初は契約をしていなかったが、ウシロは家族の愛を知りこの地球に生きている人たちのために契約を結ぶことを決意。
マチもまた別世界の地球の生き残りで契約していなかったが、兄であるコエムシの制止を振り切って自分もこの地球のために戦う覚悟を固めるのだった。
10巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
マチも契約を結ぶ
マチが最初の洞窟でジアースと契約できなかったのは、前の地球を賭けた戦いはまだ終了しておらずココペリの次のパイロットとしてマチが識別されていたため。
今ならこの地球のために契約することができる。
マチの推測通り、ジアースとの契約が結ばれ、マチが次のパイロットして選ばれた。
〈マチの決意 [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
この戦闘が終わったら、最終戦を戦うウシロはココペリのように次の地球でもチュートリアルをすることになる。
サポートとして誰かが次のコエムシ役に就くことになるだろう。
そして、戦いを勝ち抜いたからと言って絶対安泰なわけではない。
コエムシが聞かされた噂では、戦いは今後また回ってくる可能性があり、自分の地球に戦闘が回ってくる確率は次の地球を勝たせるほど低くなるらしい。
不確かな情報ではあるが、何れにせよ次の地球を勝たせるために最大限協力するしかない。
マチは兄に最大限のサポートを約束させながら、自分の闘いに臨んでいく。
〈最大限のサポートを [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
みんなの遺族を訪ねて
マチとウシロは、残された人のケジメとしてパイロットして死んだ犠牲者の遺族のもとを順番に回ることにした。
〈遺族を訪ねて [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
自らの足で出向き、これまでの真相や思い出を語り、遺族たちの心と向き合っていく2人。
ワクの両親は幼いころのワクのことを2人からのエピソードを大事そうに胸に刻む。
コダマの兄2人は死んだ父の会社とは離れ、地球を相手に新たな建築土木屋を目指している。
カコの家族は、カコの卑屈さを理解しながらもカコのことを偲んだ。
キリエの両親は息子の死に気落ちしていたが、キリエのおかげで従姉の和子は引きこもりから立ち直り、被災者支援のボランティアに加わった。
チズの父は被災者支援の非営利組織を立ち上げ、家族もまたチズが犯した殺人を受け止めながら支援という形で償っていく。
チズの姉はあの後すぐに畑飼とは別れ、畑飼はいま政治家を目指して議員秘書として走り回っているらしい。
マキの両親は勝手に全てを背負って戦う2人を叱りながらも、生まれた弟を大事に育てている。
ダイチのもとには行方知れずだった父親が戻ってきた。幼い妹たちは今度はダイチの帰りを信じて待ち続けている。
ナカマの母は娘を失って憔悴していたが、ウシロたちから話を聞いて涙ながらに娘の死を受け入れた。
モジの両親には、患者への情報伝達を避けるためにモジの心臓の話は伏せておいた。
移植を受けたナギは何も知らず元気にしているが、隣にいるツバサはモジが心臓を提供したことを悟っているようだ。
カンジの父は、沖天楼の欠陥建築問題の対応に追われているが、沖天楼は取り壊されることが決まった。
さらにウシロは軍人・ジャーナリストとして真相を既に知っているコモの父とアンコの父に相談を持ち掛け、チズの父が運営する非営利組織を支援することを決める。
コモのピアノの発表会の音源とムービーと、世界一有名な女の子となったアンコのありったけの写真を寄付し、販売収益を被災支援に回す考えだ。
最後は、仲間ではないが、カタリの遺族のもとにも足を運ぶ。
小学1年の弟を持つカタリは、不仲な両親の離婚を止めるためにより大きな問題を起こそうとジアースのパイロットとして名乗り出たのが真相のようだ。
マチを襲う悲劇
全ての遺族訪問を終え、公園に佇むウシロとマチ。
マチはウシロに率直な好意を告白する。
〈ウシロに告白するマチ [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
ウシロはマチのアタックに柄にもなく照れて慌てながら、自分の周り全てが無くなってしまうことへの恐怖をこぼす。
ウシロの返事は保留。
ところが、公園にいた子供によってマチが銃撃され重体となってしまう。
〈マチが撃たれる [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
動揺して頭が真っ白になるウシロ。
コエムシは銃撃した子供を転送して殺し、何としてでもマチを助けるために病院へ転送させる。
銃撃した犯人は子供に扮した40歳ぐらいの男で、旧共産国の銃を使う暗殺専門のスパイのようだった。
残されたウシロとコエムシ
マチは意識不明の重体となり、生死の境を彷徨っている。
このまま戦闘が始まれば敗北は必至。
コエムシは苦渋の決断で自らマチの命を絶つことを決意。
〈苦渋の決断 [ぼくらの 10巻](c)小学館/鬼頭莫宏〉
繰り上がったウシロが最後の通常戦に挑むこととなり、引継ぎのチュートリアルを戦うパイロットはコエムシが何とかすることとなった。
奇しくも同じ喪失感を共有するコエムシとウシロ。
その悲しみを和らげるためか、コエムシはある場所にウシロを連れ出した。
そこにいたのは、マチにそっくりな女の子。
もともとマチはこの地球の存在ではなく、奇跡的な確率で同一人物が並行世界の子の地球にもいたのだった。
【10巻のまとめ】
戦う覚悟を固めたマチもジアースと契約を結に、最後の闘いを前にウシロと二人で遺族のもとを訪ねて回る。
それぞれの家族や復興への道筋を感じながら、最終戦を待つマチ。
しかし謎のスパイによってマチは銃撃され、意識不明の重体となってしまう。
生死の境を彷徨う中、敗北を避けるためにコエムシは妹の命を絶つ苦渋の決断を下した。
これでウシロが最終戦を戦い、次の地球への引継ぎを兼ねたチュートリアル戦はコエムシが何とかすることとなるのだった。
次巻へ続きます。
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