高校生の伊江とカズが拉致された先は「ゆりかご」という謎の施設。
そこでは冷凍された人間や、薬液で自我をなくされ超肥満体形にされた人間、そして薬で発情し続けさせられる”生殖種”の人間たちがいた。
伊江とカズは施設で山引とナツネという2人の青年と出会い、脱出を試みる。
巨大生物に見つかりそうになったところを小倉に助けられた伊江たち。
小倉は元ルポライターで施設に潜入しており、脱出できずに情報収集しながらひっそりと生き延びていた。
小倉から「玉座の間」の存在を聞くと、巨大生物に激しい敵意を抱くナツネが詰め寄る。
ナツネは施設から逃げた母から産まれた子で、驚異的な再生力と成長力を持つ完全な増殖種だった。
運悪く遭遇した巨大生物によってナツネは喰われるが、腹の中を割いて復活し、返り討ちにしてみせる。
ナツネが巨大生物を殺したことにより、罰として施設職員の中から17人が生贄に捧げられた。
所長の和泉は6年前の脱走事件による大粛清を思い起こし、ナツネたちの追手として人造人間たち「夕凪の会」を放つ。
脱出を図る伊江・カズ・小倉が夕凪の会に捕まってしまうが、助けに現れたナツネと山引。
山引は夕凪の会のリーダーである桐生の元教え子で、義理の息子でもあった。
天才でありながらも倫理観が欠如したサイコパス山引を桐生は危険視し、過去に放射線で殺そうとしたが、山引は様々な生物のDNAを摂取することで生き延び、特殊能力をも得ている。
山引への劣等感が爆発し、桐生は持っていたアイスピックで山引の胸を刺してしまうのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
改造人間たちの反乱
桐生に心臓を刺されたにもかかわらず、山引は涼しい顔。
他の生物の遺伝子を組み込んだ結果、内臓の位置や構造も変わっていたのである。

〈身体構造も変わっていた山引 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
山引を殺せないことがわかり、自暴自棄になる桐生は周りの改造人間たちに八つ当たり。
改造人間たちの抱く恨みが爆発し、桐生は無残に殺されていった。

〈桐生の最期 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
恨みを晴らした改造人間たちは、そのまま伊江たちを無視して施設を出ていった。
和泉の作戦
そして突然の停電。

〈突然の停電 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
桐生が死ぬ様子をカメラ越しに見ていた和泉がアナウンスで従業員に避難するよう誘導する。
続けて山崎さおり(ナツネの母親)の名前に心当たりがある人は至急管理棟の所長室に来るようにと告げた。
和泉が何かを企んでいるのは明らかだった。
ナツネが所長室に入ると、待ち構えていた和泉は散弾銃で発砲し、トドメとしてナツネの首を刎ねる。

〈ナツネの首を撥ねる和泉 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
さきほどの停電も和泉が電磁パルスを起動させたことによるもので、施設の電気機器のほとんどを使用不能とすることで巨大生物の根絶を狙っていた。
和泉は巨大生物を裏切り、完全増殖種のナツネを殺すことで巨大生物の餌となる可能性を排除し、餓死させる作戦である。

〈和泉の作戦 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
和泉の過去と大粛清
和泉が巨大生物に恨みを持っていたのは、その過去に理由があった。
父親と一緒に初めてゆりかごに来たのは6歳の頃。
エリートサラリーマンだった父の和泉純一が失職、離婚をし、父に連れられて放浪の末、ゆりかごへ連れてこられたのである。
そこで父は所長にまで上り詰めるが、和泉はまだその施設の恐ろしさを知らなかった。
マネキンを作る工場だと信じ込まされるも、大きくなるとそれが嘘だとわかるようになった。
外出はできず、女性も見たことがない。
壁の向こうのことが気になりだしたそんなある夜、事件が起こる。
深夜に父に起こされ、「停電の間に非常口から逃げろ。ここを脱出するんだ」と突然言われたのである。

〈父から突然の指示 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
生活費と逃走ルートを記したメモを渡されるも、何が何だか理解できない和泉。
言われるがまま脱走を決行した和泉は好奇心から製造棟も覗いてしまい、施設の真実を知ることとなる。
そこで山崎さおりとも出会い、誘惑された和泉は逃走の手助けをしてしまい、自らの脱出のチャンスを逸してしまった。

〈山崎さおりにそそのかされてしまう [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
それが悲劇の大粛清の始まりだった。
部屋に戻り父に全てを打ち明けるが、すぐさま館内アナウンスで全職員が集められる。
完全増殖種を胎内に宿した被験者を失った責任は大きく、職員から幼生体の生き餌として全職員の半分にもなる300人が犠牲になることが告げられた。

〈生贄の数は300人 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
状況が飲み込めていない和泉だが、無情にも番号が呼ばれてしまう。
結果的に父が自分の番号札とすりかえ身代りとなってくれたおかげで和泉は生き延びることができたが、地獄絵図のような光景を目の当たりにしていつか巨大生物を絶滅させることを決意するのだった。

〈和泉が決意した瞬間 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
その後、施設で正式に働き始めた和泉は大粛清を招いた容疑で凄絶な嫌がらせを受けるが、全てを正面から受けて耐えぬいた。
やがて徐々に風向きが変わって仲間が現れ始め、順調に出世を重ねて所長となったのである。
花島の裏切り
完全に閉じ込められた中で巨大生物たちの共食いが始まる。

〈共食いが始まる [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
クイーンがパネルを作動させようとするが、それも電磁波攻撃で作動しない。
あのパネルは一体何なのか、という山引の問いに、和泉が巨大生物の正体をもって答える。
この巨大生物は無数の宇宙船で地球に飛来し、そのまま深海まで潜って世界中で地中のメタンハイドレートを掘り始めた。
そして大量のメタンガスを大気中に放出され、ここ数年の異常な温暖化を引き起こしていた。
水圧に阻まれて接触できないのをいいことに巨大生物は人類に「食糧を出さなければ地球を住めない環境にする」と脅し、今日に至っていたのである。
女王蜂的な存在であるクイーンも共食いによって倒れ、涙ながらに悲願の達成を喜ぶ和泉。
しかし次の瞬間、副所長の花島が和泉のことをナイフで刺すのだった。

〈和泉を刺す花島 [食糧人類 5巻](c)講談社/イナベカズ〉
【5巻のまとめ】
人造人間たちの反乱によって桐生が死に、伊江たちは生き残った。
所長の和泉も巨大生物たちに反旗を翻し、停電を起こして巨大生物たちを地下に閉じ込める。
過去に山崎さおりを逃がしてしまったことで大粛清の原因を作ってしまった和泉。
その際に父を亡くし、長年練り続けてきた計画を実行に移したのである。
無事作戦は成功かと思われた矢先、副所長の花島が和泉をナイフで刺すのだった。
次巻へ続きます。
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