20XX年の日本、増加する凶悪犯と、それに反比例するかのように強まる国際社会での死刑廃止論を鑑み、政府は試験的に流刑制度を復活させた。
それは、死刑に相当する凶悪犯たちを、凶悪犯罪者隔離目的自治区、通称「無法島」と呼ばれる無人島に送り込み、放置するというものだった。
送り込まれた62人の凶悪犯たちは、島の港に着いて間もなく、限られた食料や女をめぐって激しく争い始める。
一方で、無実の罪を着せられて島に送り込まれた青年のカイトは、凶悪犯がひしめくこの島で生き残ることができるのか―。
前作「自殺島」は日本近海の孤島を舞台に、政府によりこの島に送りこまれた自殺未遂常習者達が、命の意味と向き合いながら生きていく物語。
本作はその前日譚に相当します。
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登場人物紹介
カイト
若い男性。両親と妹を何者かに惨殺された上に、その事件の犯人と誤認されたことで島に送り込まれた。
島に送られた凶悪犯の中では唯一、何の犯罪も行っていない人物。
常識的な感覚の持ち主であり、他人に暴力を振るうことに強い抵抗感を覚えている。
かつては野球選手で、ピッチャーを務めていたが腕の故障でリタイアし、そのフラストレーションを爆発させて家出した際に家族が殺される事件が起きてしまった。
美空 (ミソラ)
若い女性。高校生の頃、知人の大学生グループから輪姦され、さらにそのことがきっかけで両親が自殺。
復讐のため、自分を犯した男5名を殺害したことで島に送り込まれた。
古流剣術の経験者で、かなりの実力を持つ。
犯行時にも真剣を使用しており、ネットやマスコミからは「白刃の魔女」という異名をつけられている。
その自分を襲おうとする男性に殺意と恐怖心を抱いており、相手が戦意を失っていてもためらいなく殺害しようとするような危険な一面を持つ。
オジサン
前作では先住の男として登場。争いを好まず、カイトたちと協力しながら生活する。漁などサバイバルをするうえでの生活力に長ける。殺人を犯したものの、事情や本名は不明。
チャラ
若い男性。カイトたちと共に生活する。次第にエミを愛するようになり、この島で共に生きたいと願うようになる。
エミ
若いギャル。人を殺すのに躊躇いはない一方で、ミソラとカイトの仲を陰で取り持つなど仲間想いで理性的な一面もある。
父親はおらず母親も再婚を繰り返し、3番目の義父が自分の初体験の相手という不遇の環境で、援助交際、窃盗、強盗、傷害、殺人と様々な犯罪に手に染めた。
ジンボ
顔にタトゥーのある男性。島に送り込まれる以前は、北関東一帯の不良たちを束ねてあらゆる犯罪に手を染めていたと噂される、半グレ集団のリーダー。
七つの殺人事件で起訴され、いずれにも有罪判決が下ったとされる凶悪犯。
港に着いてから間もなく凶悪犯たちの争いを制し、食料と女を管理し始める。
ジン
ジンボのグループで襲撃犯のリーダーを務めた男性。ヤクザ殺しで名が知れている。
ジンボへの忠誠心は薄く、仕方なく言うことを聞いているだけの状態。
ダイ
川崎ストーカー一家惨殺事件の犯人。
自分をフッた女性を愛するがあまり、ストーカーして自宅に押し入ったうえ、拒絶されたことに腹をたて、騒がれたために両親もろとも手にかけた凶悪犯。
他にも衝動的に一家惨殺事件をいくつか起こしており、カイトの一家を殺した真犯人でもある。
キネ
小柄な性犯罪者。性的いたずら目的のために10代~30代の女性を誘拐、監禁したうえで殺害。
清楚で気の強い女性が屈服させられ命乞いをする姿に興奮する歪んだ性癖の持ち主。屍姦も好き。