高校生の伊江とカズが拉致された先は「ゆりかご」という謎の施設。
そこでは冷凍された人間や、薬液で自我をなくされ超肥満体形にされた人間、そして薬で発情し続けさせられる”生殖種”の人間たちがいた。
伊江とカズは施設で山引とナツネという2人の青年と出会い、脱出を試みる。
しかし施設では巨大生物の産卵場で事故が発生し、職員の人間がさっそく喰われていった。
巨大生物に見つかりそうになったところを小倉に助けられた伊江たち。
小倉は元ルポライターで施設に潜入しており、脱出できずに情報収集しながらひっそりと生き延びていた。
小倉から「玉座の間」の存在を聞くと、巨大生物に激しい敵意を抱くナツネが詰め寄る。
ナツネは施設から逃げた母から産まれた子で、驚異的な再生力と成長力を持つ完全な増殖種だった。
運悪く遭遇した巨大生物によってナツネは喰われるが、腹の中を割いて復活し、返り討ちにしてみせる。
その頃、玉座のまでは巨大生物が殺されたことで人間が謝罪させられている。
巨大生物から課せられた「17人」の意味とは…?
3巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
「17人」は生贄の数
ゆりかごの副所長・花島は所長の和泉新太郎に17人という数字を泣き崩れながら報告する。
その後、臨時総会として体育館のような場所に職員たちが集められ、番号札が配られていく。
「あの方」たちのひとりが誰かに殺害され、施設内の安全確保を徹底できなかった罰として、職員の中から17人を幼生体の生き餌とすることが告げられる。
〈17人は生贄の数 [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
番号が読み上げられ、卒倒する者、失禁する者、泣き叫ぶ者、激しく抵抗する者など、阿鼻叫喚の様相を呈する体育館。
最後は生き残った従業員全員が花道を作り、これから食べられてしまう仲間たちに泣きながら声をかけるのだった。
脳裏に浮かぶ6年前の大粛清
和泉は怒りを忘れないため、従業員が幼生体の生き餌になっている動画を繰り返し見ている。
施設内の防犯カメラの映像から、犯行にかかわった伊江たち4人を特定し、その中でもナツネが完全な増殖種であることに気づいた。
〈ナツネの正体に気づく [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
医療部からは成功の報告を受けてはおらず、6年前の脱走事件が頭をよぎる。
6年前、妊娠中の被験者(ナツネの母親)が脱走し、前代未聞の大事件の責任を取る形で大粛清が行われた。
当時所長を務めていた和泉の父親もそのときに犠牲となっている。
脱走した被験者は逃亡先のアパートで不適合症を発症して死亡したが、同居していた実子らしい少年は逃亡し行方不明のままだった。
追手に選ばれた「夕凪の会」
巨大生物への生き餌の被害を最小限に抑えるため、いま現れた増殖種をなんとしても捕らえることを目指す和泉と花島。
夕凪の会という集団が呼ばれ、リーダーの男と共に醜悪な容貌をしている改造人間たちが現れた。
〈召集された夕凪の会 [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
人体改造により、嗅覚、視力、聴覚を人間を遥かに凌駕するレベルまで高めることに成功した改造人間たちを披露する夕凪の会のリーダー。
夕凪の会は大粛清の際に和泉の父を殺した張本人たちであり、施設から逃亡を図った者を捕らえて人体実験をしている。
花島は夕凪の会への不信感を露にするが、夕凪の会は銃火器の携帯も使用も禁止されている肉体強化しか施設内の安全と秩序を守る方法がないと言う。
リーダーの男は夕凪の会がいかに真剣で身を捧げる覚悟があるかを示すために、改造人間に自殺や同士討ちを命令。
命令通りに命を投げ打つ改造人間たちを見て呆然とする花島をよそに、和泉は夕凪の会の手を借りることを決めていた。
別れの挨拶
小倉から施設の全容が明かされる。
地上の建物は主に人間の搬入・冷凍・解体をする作業場と作業員の住居、地下1階は人間の養殖や増殖種の研究所、地下2階は一番広く孵化場や羽化場もある場所、そして地下3階に玉座がある。
最深部から1階には作業用エレベーターが通っており、電源シャフトやダクトも繋がっている。
ナツネと山引は施設に残り、伊江・小倉・カズは施設を脱出することにする。
伊江は別れ際、ナツネに「じゃあ、またね」という別れの挨拶を教え、山引から捕まった時に使う即効性の毒を貰う。
〈別れの挨拶 [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
天井づたいに移動しながら逃げようとするが、捕まった男たちに見つかり騒がれそうになったため、仕方なく3人を助けた。
〈仕方なく3人を助けることに [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
その3人は元職員だが、捕まった人間の中に人気AV女優がおり輪姦したことがバレて捕まっていた。
夕凪の会の手が迫る
と、カズが何もないはずの空間に浮かぶ目に気づく。
夕凪会の透明化できる改造人間がさきほど助けた3人組の1人を襲う。
さらに蜘蛛のように手足の長い改造人間も襲ってきた。
〈夕凪の会の追手 [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
蜘蛛の改造人間は小倉の仕掛けたトラップにかかって落下。
透明化できる改造人間が伊江たちを襲い、助けた3人組が全滅するが、水道管とケーブルの位置を覚えていた伊江が改造人間を感電させて仕留めた。
しかしまだ残りの改造人間たちが次々と襲い掛かり、ついに伊江・小倉・カズは捕まってしまう。
〈夕凪の会に捕まる3人 [食糧人類 3巻](c)講談社/イナベカズ〉
伊江たちが目を覚ますと拘束されていた。
夕凪会のリーダーである男が桐生と名乗り、残りの仲間達の居場所を尋問する。
知らないと答えた3人は拷問を心配するが、桐生は3人に肉体改造手術をして夕凪会の会員とすることを告げるのだった。
番外編1:ゆりかご職員の日常
食堂で飯を食う施設職員の上原と山崎。
溜め息をつきながら仕事の不満を漏らす若手の山崎に対し、元は売れない漫画家だった上原はルールさえ守れば生きるのには困らない現状に諦めとも納得ともとれる胸中だった。
不満を漏らした奴は姿を消される。
山崎の想定通り、社食での不満を上司に聞かれていた山崎は化物に食われて消えるのだった。
【3巻のまとめ】
ナツネが巨大生物を殺したことにより、罰として施設職員の中から17人が生贄に捧げられた。
所長の和泉は6年前の脱走事件による大粛清を思い起こし、ナツネたちの追手として人造人間たち「夕凪の会」を放つ。
施設に残り巨大生物の殲滅を狙う山引・ナツネと別れて脱出を図る伊江・カズ・小倉を夕凪の会が襲い、3人は捕まってしまった。
3人の運命やいかに。
次巻へ続きます。
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