初夏、友達と下校中だった高校生・永井圭は、交通事故に遭い轢死するが、すぐに生き返った。
外見は人間だが決して死なない「亜人」だと判明した永井圭は、戸崎を始めとする政府機関に追われる身となり、逃走するなかで「帽子」と呼ばれる亜人のテロリスト佐藤の罠にハメられて政府に囚われてしまう。
囚われの身となった圭は非人道的な実験の対象とされ、佐藤はあえて仲間の田中と共に圭の救出と、その研究所にいる亜人研究の第一人者・オグラ博士の誘拐を狙って研究所を襲撃した。
亜人だけが出すことのできる黒い幽霊・IBMを使わずとも不死という特性をフルに活かし、圧倒的な戦闘力で侵攻する佐藤。
しかし解放された圭は佐藤の考えには抵抗を示し、敵対しながら研究所の屋上から川へ身を投げて逃げることに成功した。
襲撃を防げなかった戸崎は、意識不明で入院している婚約者の多額の治療費を負担するため、自分の地位を守ろうとオグラ博士の誘拐というなりふり構わない手段に出ていく。
他方、圭とオグラ博士を取り逃がした佐藤は亜人に対して政府や民間企業が行ってきた非人道的な研究を世間に暴露し、亜人への同情を呼びかけるためのデモを餌にして「大量虐殺して亜人の力を国民に認めさせる」という目的に向かう亜人の同志を見つける。
佐藤に反発した亜人の少年・中野 攻は、同じく佐藤を止めるために抵抗する消防士の亜人が佐藤達の追っ手を引き付ける間に脱出、戸崎たちの捜索の手からも逃れ、人里離れた村でうまく身を隠していた圭と出会うこととなった。
仲間を得た佐藤は国民に向けてテロを予告。
ターゲットとなったグラント製薬には戸崎指揮のもと厳戒態勢が敷かれるが、佐藤は飛行機をハイジャックしてそのままグラント製薬本社ビルに特攻。
多くの犠牲者を出しながら、亜人の特性を利用して再生するのだった。
5巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
日本最強の部隊SATが出動
グラント製薬で起きたテロの様子はすぐに報道され、攻や圭、戸崎とそれぞれが状況を注視する。
佐藤はドローンを操る奥山から武器を受け取り、さらなる侵攻を開始。
対する警察も精鋭が集まる警視庁特殊急襲部隊（SAT）50名を急行させ、豊富な実戦経験をもつ日本最強の部隊と佐藤が対峙することに。
佐藤の耳にかけた小型カメラから戦いの様子が実況中継され、日本中が見守るなか戦闘が始まるのだった。
佐藤一派vsSAT
麻酔銃の使用は違法で公衆の面前では使用できないため、指揮する戸崎は佐藤を「殺し続ける」という作戦を用意していた。
絶え間なく佐藤の頭を撃ち抜くことで反撃の機会を与えず、殺し続けながら護送車まで運び、拘束する作戦である。
しかし佐藤も決して単独行動ではない。
近くのビルの屋上に亜人の仲間であるゲンと高橋を配置し、ゲンが観測手、高橋がスナイパーとしてSAT隊員を狙撃する。
狙撃に気づいたSATも別のビルの屋上から高橋とゲンを狙撃、制圧を試みるが、田中がIBMを操ってSATのスナイパーに襲い掛かった。
田中がIBMを操りSATの包囲を破り、復活した高橋がSATへの狙撃を再開。
そして佐藤を護送車に移送しきる前に、佐藤を殺し続けるループが僅かな時間途切れてしまう。
その瞬間を見逃さなかった佐藤がIBMで反撃開始。
手が付けられなくなった佐藤はSAT部隊を壊滅させ、恐怖で動けない警察官らや一般人の間を悠々と歩いて去っていくのだった。
圭に向けられる疑惑の目
佐藤がSATに勝ったとう衝撃が世間に伝播し、テレビでは亜人の危険性に警鐘が鳴らされ始める。
その番組を廃棄トラックのなかに差し入れ垂れた小型テレビで見ていた攻が佐藤を止めるためまず脱出を目指す一方、圭の村でも亜人への危機感が募っていた。
連日のように報道される中で圭の顔写真も出回り、「あいつは山中さんの孫ではなくあの亜人ではないか」と怪しんだ村人たちが、圭に疑惑の目を向ける。
圭は口八丁でなんとか山中さんの孫を演じて正体を隠し切ろうとするが、北という老人が問答無用で猟銃で圭の背後から撃ち抜く。
再生していく身体を見られ、圭は逃走を決意。
世話をしてくれた山中さんに別れを告げ、急いで身支度をして出ていく。
すぐさま村人たちが圭を追って山中さんの家に押しかけるが、山中さんはどうやら圭が亜人であることに勘づきながら世話をしていたようだ。
「亜人＝危険」と世間に認識されては、平穏な生活は手に入らない。
こんな状況になったのはすべて佐藤のせい―。
圭は、「他にどうしようもなくなった」と廃棄されたトラックから攻を解放し、2人で協力して佐藤を止めるために行動することにするのだった。
圭と攻が動き出す
暗い森の中を移動する圭と攻。
すると圭が山中さんの金で新しく買ってもらった携帯が鳴る。
電話の主は圭を撃ちぬいた北だった。
北はどうやら圭の居場所を聞き出そうと山中さんに暴行しているようで、圭は面倒くさそうにしながらも1人で村に戻る。
北はグラント製薬の株に年金や貯蓄の大半を注ぎ込んでいたが、テロによって株が暴落したことで怒りの矛先を亜人に向けていた。
戻ってきた圭はあっけなく北を自殺に見せかけて殺害。
結果として山中さんを助け、攻と再び合流して捜査網を抜けることに。
移動の手段は圭が研究所から脱出したときと同様、海に飛び込んで潮に流されながらどこかへ行き着くというもの。
溺れても死なない亜人だからこそできる方法で、圭と攻が移動を開始するのだった。
佐藤に対抗するには仲間が必要だ
AJIN.comでは佐藤の第2ウェーブとして、亜人への人体実験・研究にかかわった11名の暗殺が予告されていた。
そこには亜人管理委員会の戸崎の名前もある。
直情型な性格の攻がすぐにでも佐藤の元へ向かおうとする一方、冷静で合理的な圭は世間の目もあるなか、2人だけでは人員・物資・経験すべてで上を行く佐藤を止められないと判断。
佐藤に対抗する仲間を探すべきとの決断に至り、まずは攻の心当たりを頼って佐藤が亜人の集会をした建物へと向かう。
目当てはあの亜人の消防士だったが、既にどこかへ場所を移された後だったのか、建物はもぬけの殻。
そのときタイミングよく圭の携帯に興信所からの情報が入る。
こっそりと亜人管理委員会のメンバーの身辺調査を依頼していた圭は、戸崎が意識不明の婚約者の医療費を負担し続けているという弱みを掴み、笑みを浮かべる。
「恋人という付け入る弱みがある。コイツと組むぞ」
そうと決まれば、あとは戸崎の婚約者のいる病院への移動手段を確保するかだけ。
どう車を盗み出すかを考え始める圭に対し、攻は近くの居酒屋に入り、持ち前のコミュ力で初対面のオジサンたちに取り入って車を借りることに成功。
圭にはできない方法で移動手段を確保するのだった。
圭・攻と戸崎がチームを組む
佐藤の第2ウェーブは着実に進み、殺害予告されていたリストの2人が暗殺された。
着実に勢力を拡大させていることに戸崎は危機感を募らせるが、上司でもある厚労大臣はまだ腰が重い様子。
そして対亜人会議のメンバーだった岸先生も暗殺され、自信もリストに載っている戸崎は自分の番が着実に近づいていることに焦り始める。
すると突然、戸崎の私用の携帯が鳴った。
電話の主は圭。
検問で発見された圭と攻は、警察とのカーチェイスの最中になりふり構わず戸崎に接触してきたのである。
報道ヘリで緊迫した様子が中継されるなか、圭は戸崎の婚約者が入院している病院に逃げ込んだ。
直情的でIBMも出せない攻をそっちのけで、圭は戸崎の婚約者を人質に交渉する作戦を考える。
そして間もなく戸崎たちも到着し、婚約者の病室で圭と対面を果たした。
一触即発の緊張感が病室を包むなか、「佐藤を倒すための駒になってやる」と告げる圭。
亜人としての平穏な暮らしを取り戻すため、不死身の兵士として戸崎に協力することを選んだ圭と攻。
戸崎は2人への包囲を解除させ、対佐藤のチームが誕生したのだった。
【5巻のまとめ】
日本最強の部隊・SATが出動するも、不死の力とIBMを操る佐藤一派を止めることはできなかった。
衝撃と共に「亜人＝危険」という認識が世間に広まっていき、圭も逃亡中の亜人として捜索の目が厳しくなる。
村にいられなくなった圭は已む無く攻と共にすべての元凶である佐藤を倒すことを決意。
仲間を求める圭と攻は亜人委員会の戸崎に目をつけ、入院中の婚約者を盾に取りながら共闘することを持ち掛け、対佐藤のチームが誕生するのだった。
次巻へ続きます。
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