17年前のアフリカの戦場で死ぬことがない新生物「亜人」が確認された。世界は大きな騒ぎに包まれたが、死なないことを除けば人間と変わらないことが明らかになると、いつしか話題にもならなくなった。
初夏、友達と下校中だった高校生・永井圭は、交通事故に遭い轢死するが、すぐに生き返った。亜人だと判明した永井圭は、政府に追われる身となり、疎遠になっていた幼馴染の海斗を頼ってバイクで逃走を図る。戸崎を始めとする政府機関の集団と、「帽子」と呼ばれる謎の男である佐藤が、亜人の田中と共に圭に近付こうと試みる。やがて圭は、海斗と別れて佐藤に近付く。
圭は「静かな生活を送ろう」という佐藤に心を許しかけるが、佐藤の手によって戸崎の所属する厚生労働省に差し出されてしまう。そして厚労省の暗部で行われていたのは、亜人へのむごい虐待実験だった。圭はそこで、幾たび殺されても死ねないことによる地獄を見る。10日後、佐藤たちが亜人研究所に乗り込み、圭を救う。しかしその過程で圭の非情な、そして佐藤の残忍な本性が露わになり、圭は佐藤との戦いの末に別れて研究所から逃れた。
佐藤は独自の方法で政府未確認の亜人達と合流。そこで佐藤は人の大量虐殺を行うと宣言。これを拒んだ亜人達はことごとく佐藤に囚われたが、中野攻のみ佐藤から逃げ延びる。中野は佐藤を止めるべく、田舎で穏やかさを取り戻した圭と出会い助けを求めるが、圭にその心はなく逆に穏やかさを妨げる者として中野は囚われてしまう。その間に佐藤は、亜人実験に加わったグラント製薬の建物を襲うことを予告。ビルに向けて飛行機を墜落させるという大規模テロを決行し、さらには佐藤捕獲に動いたSAT50人をショットガンで全滅させ、世間を震撼させる。
佐藤の凶行で亜人の立場も危うくなり、田舎の人達にも亜人であることが知られてしまった圭は、渋々ながら佐藤を止めることを決め、中野と共に戸崎を脅迫して指揮下に入ることになる。そして、戸崎をリーダーとした佐藤対策班は、佐藤が暗殺すると予告した人物の企業に身を寄せ、佐藤による襲撃に備える―。
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登場人物紹介
<主人公たち>
永井 圭(ながい けい)
本作の主人公。亜人。全国模試で1桁の順位を取ることができる頭脳の持ち主だが、妹から「クズ」と称されるほど利己的かつ合理的な性格。
海斗(かいと)
名字不明。圭の幼少時からの友人。一時疎遠になった後も圭のことを友人と思っており、圭が亜人であるということが発覚した時も変わらず接した唯一の人物。
中野 攻(なかの こう)
亜人。策謀を巡らし知識を動員して戦う永井とは対極的な直情型であり、後先考えずに突っ走る言動が多い。熱血漢で明るく素直な性格をしており、愛嬌のあるムードメーカー的存在。
<亜人管理委員会>
戸崎 優(とさき ゆう)
厚生労働省から派遣された亜人担当の職員。意識不明で入院中の婚約者の愛がいる。佐藤の暗躍を止めるべくさまざまな策を講じ、亜人への残虐な虐待を見ても顔色ひとつ変えない残忍な性格。
下村 泉(しもむら いずみ)/ 田井中 陽子(たいなか ようこ)
厚生労働省で戸崎の部下として動いている女性。正体は「亜人」であるが、戸崎の活動に協力することにより、その庇護を受け世間に正体を公表されることなく過ごせている。
曽我部(そかべ)
戸崎の後輩として厚生労働省で働いている男性。戸崎の後任候補として厚生労働省大臣から任命されている。そのため戸崎を今のポストから引きずり下ろそうと考えている。
コウマ陸佐
防衛省の人間だが、亜人管理委員会のメンバーの一人。
岸 祐二
亜人管理委員会のメンバーである「三人の研究員」の一人で篠崎生命科学研究センターに所属する初老の男性。
若井 浩明
亜人管理委員会のメンバーである「三人の研究員」の一人でロン毛が特徴の比較的若い男性。
太居教授
亜人管理委員会のメンバーである「三人の研究員」の一人で丸眼鏡にひげ面が特徴の恰幅の良い男性。
<亜人テログループ>
佐藤(さとう)/サミュエル・T・オーウェン
亜人でテロリスト。亜人であることを最大限に生かした戦闘を行い、黒い幽霊を使わずとも非常に高い戦闘能力(戦闘機を操縦する技能も)を有している。ま様々な手段を用いて亜人の仲間を集め、ゲーム感覚で一般の人間社会に対して過激な行動を取ろうとする。
田中 功次(たなか こうじ)
日本国内で2例目に確認された亜人。亜人だと発覚した際にマスコミにより大々的に報道され、国から10年にもおよぶ非人道的な虐待実験を受けていたところを佐藤に助けられ、以後行動を共にする。
奥山 真澄(おくやま ますみ)
佐藤の呼びかけに応じ仲間になった亜人。生まれつき右足が不自由。永井圭のような合理的な性格で機械に強く、ドローンやハッキングを使って佐藤たちをサポートしている。
高橋(たかはし)
佐藤の部下の亜人。ゲンの兄。アロハシャツに短パン姿の男性。一般教養がない。だが、狙撃が得意で銃の扱いに慣れている。
ゲン
高橋の弟。細身のポニーテールの男性。高橋と違って黒い幽霊を出すことはできない。
<その他の亜人>
秋山 礼二(あきやま れいじ)
高知市の消防局に勤務している亜人。佐藤の企画した集会に参加し佐藤の計画に反発するが、それにより佐藤に監禁される。
中村 慎也(なかむら しんや)
大学生。複数の黒い幽霊を発現させる「フラッド」という現象で対亜人の戦い方を一変させるきっかけとなった「中村慎也事件」と呼ばれる事件の主人公。
琴吹 武(ことぶき たけし)
海斗と同じ少年院にいた亜人。少年院の中でいざこざに巻き込まれた自分を身を挺して守ってくれた海斗に対してだけ心を開き、必要時には自分の黒い幽霊を使って一度だけ海斗の助けになると約束をしている。黒い幽霊は亜人の中でも比較的珍しい、翼を持つタイプ。
スズキ・ジュン
(公式には)国内最初の亜人。眼鏡をかけた女性で、詳細は不明だが、最初は通り魔に遭って死亡。アメリカのメリーランド州にある研究施設で収監された状態で暮らし、働いている。
スミス博士
ジュンと同じく研究施設で働く研究員であり、亜人でもある黒人の男性。フラッドと亜人の誕生に何らかの関係があると考え、祐介の遺体を日本から取り寄せた。
ジム
ジュンとスミスと同じ研究施設で暮らす亜人。
「神の兵」
1990年代にアフリカで発見された世界最初の亜人。米軍によって捕獲される。
<永井家>
永井 律(ながい りつ)
圭と慧理子の母親。冷酷ではないが、医者になることを表明した圭に悪影響を与えるという理由から犯罪者の息子である海斗から遠ざけるなど、冷静かつ合理的な性格。
永井 慧理子(ながい えりこ)
圭の妹。病弱で、病院で療養中。圭の黒い幽霊を初めて認識した人間。亜人そのものは嫌っておらず、理解のある方である。
永井 父
情動的な性格で、律曰く「慧理子は彼に似ている」。元々医者だったが、患者を救いたいがため臓器売買に手を出し、それが元で家族を失う。
<佐藤対策班>
オグラ・イクヤ
生物物理学者。豪胆かつ厭世的な性格の持ち主であり、我が身を省みない大胆さを以って亜人についてかなりの研究を進めている亜人研究の第一人者。
平沢(ひらさわ)
戸崎に雇われている黒服の1人。永井の心情を機敏に読み取り、時に助言者となって精神的に支える理解者。
真鍋(まなべ)
戸崎に雇われている黒服の1人。
黒木(くろき)
戸崎に雇われている黒服の1人。非常に無口な男。
鈴村(すずむら)
戸崎に雇われている黒服の1人。
<その他の登場人物>
甲斐 敬一(かい けいいち)
フォージ安全社社長。戸崎とは大学時代の同期で、「攻撃してくる相手は徹底的にねじ伏せる」信用できない人間と見られている。亜人である田中攻次を防弾ベストの実験台にしたため、佐藤の暗殺リストに掲載される。
李 奈緒美(り なおみ)
フォージ安全社長秘書。本来なら佐藤から狙われることのないポストだが、甲斐に田中を実験台にした防弾ベストの人体実験に無理矢理加担させられ、そのことがきっかけで佐藤の暗殺リストに掲載されてしまう
渡辺(わたなべ)
圭のクラスメイト。亜人に対しては世間同様、差別的な思想を持っている。
中島 啓介(なかじま けいすけ)
圭のクラスメイト。「亜人」であった圭に同情的な態度を示すが、そのことがきっかけで交際相手に別れを告げられる。またその際の行動により「亜人擁護思想の人間」として政府に認定されてしまう。
裕介(ゆうすけ)
慎也の幼少のころからの親友。捕獲されそうになった慎也を庇い死亡した。
猫沢 (ねこざわ)
佐藤ら亜人テログループに武器を供給するヤクザ。報酬として人間の臓器を佐藤らから貰っている。
山中(やまなか)
田舎で一人暮らしをする老女。圭と同い年くらいの不良の孫がいる。研究所から逃亡して来た圭を、追われている亜人と知りながら自分の孫ということにしてかくまう。
北(きた)
山中と同じ田舎町に住む老人。よそ者の人間を疑り深くなり、突如現れた圭を疑う。
愛 (あい)
戸崎の婚約者。事故で意識不明になり入院中だったが、容体が急変して死亡。親が残した借金を背負っていたため、健康保険に入っておらず、莫大な入院費を戸崎が負担していた。
藤川 翔(ふじかわ しょう)
テレビ出演した日栄大学文理学部心理学科教授。佐藤が起こした事件の後に、亜人は極めて危険な存在で、死なない亜人には人の心など存在しないなどと、全国に伝える。



















