カモメ古書店、そこは凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者やその遺族が無念を晴らすために訪れる店。
古書店の主・鴨ノ目 武（カモ）とその相棒である島田 虎信（トラ）のコンビでこれまで数々の復讐依頼をこなしてきた。
シリアルキラーの園田に両親と従姉妹を殺害された開成 奈々子の面倒を見ながら、奇妙な同居生活が続いていたが、ついに園田を捕捉し復讐を完遂した。
他方、ストーカー化したファンにSNSで個人情報を晒されて人生を狂わされた元アイドルが朝食会の榎に復讐依頼を出すが、榎は犯人の情報を伝えたがゆえに依頼人が暴走し勝手に復讐を果たしてしまった。
珍しくミスを犯した榎は事後処理に他の朝食会会員の関口に借りを作ることとなり、関口への借りを返すためにデートの誘いを受けざるを得なくなる。
関口は狙った女性を殺すのが趣味であり、本命のターゲットである榎に薬を盛って拉致することに成功するが、寸でのところで鶴巻が救出した。
シリアルキラーだった関口はそのまま逮捕されるが、他の事件の証拠は何もないためすぐに出所する可能性が高いのだった。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。以下ネタバレ注意です。
目次
妻の裏切りで心が壊れた男
仕事での些細なミスなどからストレスが限界に達し、不眠やうつ病を発症した田神というサラリーマンがいた。
田神は節制しながら必死に貯めた400万円の貯金と妻の存在だけが心の支えだったが、ある日妻が400万円を持ち逃げして家を出て行ったことでついに心が壊れてしまう。
興信所を使って妻が若い男のもとに転がり込んでいることを突き止めると、田神は包丁を何本も買ってその家に押し入る。
そして「400万持ってったから400万回刺す」といってひたすら妻をメッタ刺しに。
不倫相手の男が仕事から帰って来ても構わずに刺し続けた田神は逮捕・起訴され、精神鑑定の結果でも責任能力があったと認められて懲役15年となった。
刑期を終えて出所した田神は、心が壊れ消えぬ怒りを抱えたまま妻の墓へ向かい、また包丁を手に1つずつ数えながら墓石に包丁を突き立て続ける。
それを見つけた住職によって通報され器物損壊の罪で再逮捕された田神は、「あと396万4527回残っている」と供述するのであった。
刑期を終えて出所した2人の男
指定暴力団我蜂組若頭の桜内は兄弟分で収監中の興劉会系山中組若頭の梅沢ともう1人の出所を待っていた。
世間では興劉会が分裂騒動が落ち着いたものの海外からの出稼ぎや半グレたちが幅を利かせており、2人は世間を正すべく意欲を燃やしている。
その数か月後、有名な起業家の國松が刑期を終えて出所。
2人は國松と合流し、社会的弱者から搾取している反社会的勢力の一掃で街を浄化するために動き出す。
仕事に必要な携帯や道具、そして手下となる活きのいい若者は桜内が用意することになるのだった。
私的制裁で街の浄化を狙う半グレグループを傘下に
スマホを見ながら自転車を運転していた若い女性を問答無用で強姦しその動画をSNSで拡散する覆面の2人組は、刑期を終えて出所した詐欺師の五月女と合流する。
「世名汚死（よなおし）」というグループを名乗る2人もまた悪いことをしている人に過度の暴力で私的制裁を加える活動をしており、桜内の街の浄化という理念に共感して仕事を受けることに。
出所したばかりで父親の借金や母親の病院代など金に困っている五月女も誘われる。
一方、桜内と梅沢は興劉会本部長の栢山と面談し、出所したときに組が解散していた梅沢の身柄を栢山の組で預かることが決まる。
兄弟分である桜内が身柄を引き受けた方が丸く収まりはするものの、梅沢は栢山の決定を快諾。
その背景には、「興劉会の中にいた方が内情を知れて都合がいい」という國松からの指示があるのであった。
興劉会潰しの作戦が始まる
出稼ぎに来ていた外国人の犯罪者チームがある民家に押し入り、一家を斬殺して金庫から金を盗む強盗殺人事件が発生。
そのグループの裏には興劉会が絡んでおり、密入国から出国の斡旋、滞在先や携帯などを用意していることを梅沢が掴む。
話を聞いた國松と桜内は浄化の第一歩としてそのグループを潰すことを決め、強盗殺人を犯して家から出てきたグループを世名汚死の2人と五月女が待ち伏せ。
五月女たちは外国人グループを全員殺して山に埋め、桜内の指示どおり奪ったスマホの電源を入れたままその場に放置し、車は知り合いの工場で廃棄した。
仕事を完遂した報告を受けた桜内は、その仕事でグループから奪った金品から3人にそれぞれ200万円を与えようとするが、世名汚死の1人である富水という若者は「金のためにやってるわけじゃない」と固辞する構えを見せる。
信念に真っすぐなために少し融通が利かない部分がある富水は渋々金を受け取ったものの、相方の金も一緒に全て金に困っている五月女に譲ることにするのだった。
一方、桜内と國松はこれをきっかけに興劉会と抗争を起こして潰すことを考える。
強盗をさせていた出稼ぎの外国人たちと連絡がつかなくなり、GPSを追った結果山に埋められていたことを知った栢山は怒り、犯人探しに躍起になっているのであった。
半グレグループへの復讐依頼がカモとトラのもとへ
桜内はカモと幼馴染であり、やり方は違えど社会からクズを一掃するという理念では共通している。
しかし世名汚死に強姦されSNSに晒された女性が自殺し、その母親が無念を晴らすためにカモメ古書店を訪れていた。
カモとトラのもとには他にも同じ覆面の男たちへの復讐依頼が相次いでおり、2人はSNSで拡散されている映像から相手の正体を探ることにする。
覆面をしていて素顔はわからないものの、2人は上半身裸で刺青も見せているのに対し、残る1人（五月女）がウェアを着ていることから、カモとトラはこのウェアの男は警察に逮捕歴があると推理。
これを機に運命が交錯していくのであった。
【11巻のまとめ】
指定暴力団我蜂組若頭の桜内は兄弟分で出所したばかりの興劉会系山中組若頭の梅沢と、同じく出所してきた國松という有名な起業家の指揮のもと世の中を浄化する作戦を開始する。
國松らはいことをしている人に過度の暴力で私的制裁を加える活動をする「世名汚死（よなおし）」というグループを名乗る2人に旧友で詐欺師の五月女を配下に加え、まず興劉会のシノギに手を出して抗争を起こしにかかった。
他方、「世名汚死」への復讐依頼はカモとトラのもとへ相次ぎ、2人はターゲットとして狙うこととなる。
桜内とカモは幼馴染で社会からクズを一掃するという理念では共通していたが、やり方の違いから運命が交錯することになるのであった。
次巻へ続きます。
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