三瓶たちの、どちらも諦めないという姿勢を目の当たりにした綾野はついに心を決める。
丘陵セントラルは綾野病院との合併を発表し、両病院は手を取り合い互いの希望を叶えたのだった。
11巻のあらすじを振り返ってみましょう。
三瓶が遭難?
丘陵セントラル病院の職員旅行で富山県のスキー場にやってきた三瓶たち。
職員たちが豪華な食事や温泉を楽しむ中で、先崎は片頭痛の症状が現れ部屋にこもってしまう。
単なる頭痛と思われがちで、周囲から正しく理解されないことが多くつらい病気だと、三瓶は先崎を終始気にしていた。
翌日、先崎の薬を手に入れるため、一人雪山を下った三瓶は、帰路のバスが出発する時間になっても戻らない。
安否すら分からず、道を誤って遭難した可能性もある状況。
居ても立っても居られない川内が山に戻ろうとしたその時、三瓶が薬を手に戻ってきた。
平然としている三瓶に、川内は思わず抱きつくのだった。
嘘も方便…?
脳神経外科の医師として、正式に丘陵セントラル病院に仲間入りした綾野。
新病棟や救急救命センター、手術室の新設を予定し、脳外科や救急部への期待がさらに高まる。
ある日、脳出血で運び込まれた女性患者は、血管奇形がみつかり再出血の可能性も考えられる。
危険度は高いが手術できると断言する三瓶に対し、綾野は後遺症が残る可能性の高さから手術には慎重な姿勢を見せた。
女性患者は母一人子一人で歩んできた娘が、自分の看護のために夢であった海外留学を諦めようとしていることを察して、「再婚するから大丈夫だ」と嘘をつき娘を突き放す。
その様子を見守っていた川内は、自分も嘘をついて婚約したような光景を記憶の中に呼び覚ますのだった。
川内の気持ち
川内は記憶の欠片をさらに集めようと、綾野を迎えにやってきた西島を呼び止めた。
そして、2年前に綾野を突き放すため、三瓶に婚約者のフリをしてもらったということを知る。
嘘の婚約だったにも関わらず、アメリカでのキャリアを捨て日本に戻り、川内を守ろうとする三瓶に川内の胸は締め付けられた。
その時、女性患者に再び脳内出血が起こり緊急手術をすることに。
綾野のカテーテルで出血を最低限に抑えてから三瓶が摘出手術を行い、見事な連携プレーで無事に女性患者は命をとりとめた。
そして娘は、母をずっと見守って来た男性から母の本当の気持ちを聞かされ、留学へと飛び立ったのだった。
女性患者のついた嘘の結末を見届けた川内は、三瓶への気持ちが募る今だからこそ、もう迷惑はかけられないと自分の嘘にも決着をつけようと考える。
大迫教授と三瓶の過去
三瓶に内緒で、大迫教授にカルテの開示を求めて医大を訪れた川内。
「三瓶に深入りするな」と助言する大迫教授の話は8年前に遡る…
現在とは別の大学病院で准教授をしていた大迫に他大学から弟子入りしていた三瓶は、製薬会社のプレゼンをきっかけに、脳性麻痺患者の筋緊張について実態調査を任された。
調査の結果、筋痙縮に悩む患者が予想以上に多いことが発覚するが、上司である麻生教授は大迫に論文にするよう指示し薬の導入はうやむやにしてしまう。
その後三瓶は、麻生教授が執刀した少女の担当を受け持つことに。
手術後も意識障害で3年間寝たきりの少女だが、三瓶は重度の筋緊張で全身が硬直しているだけなのではと考え、麻生教授に反論する。
矛盾と戦う三瓶
麻生教授への態度を大迫に注意される三瓶だが、少女を救いたい一心で、重度の意識障害と誤解されていた症例を見つけ出し大迫に報告する。
三瓶の説得力ある資料と、電気皮膚反応(GSR)の信憑性を確かめた大迫は、三瓶とともに麻生教授の説得を試みる。
麻生教授の前で、三瓶の声掛けに反応をみせる少女。
新薬を使用すれば意思疎通ができる可能性があると訴えるが、麻生教授は積極的な治療には首を縦に振らない。
筋緊張が改善しないために、ひどい肺炎を繰り返し命の危機に瀕する少女を目の当たりにして、三瓶は再び新薬の投与の許可を得ようとするが、病院のリスクを避けるため少女の命を犠牲にしようとする麻生教授の判断に三瓶の怒りは沸点に達した。
川内のカルテ
麻生教授の指示で三瓶は少女の担当から外され、GSRも取り上げられてしまう。
救える可能性を信じ少女の命を諦めきれない三瓶は、母親の同意と製薬会社の協力を得て独断で薬の使用に踏み切る。
少女は目を開き言葉を発するが、結局肺炎のため数日後に命を引き取った。
この事件をきっかけに大迫と三瓶の間には深い溝ができたのだった。
そして大迫はカルテを開示するも、三瓶が川内の記憶障害の原因を知れば、命を危うくするほど暴走すると警戒し、知られてはならないと釘をさす。
手術できる脳とできない脳
誤嚥により運び込まれた男性患者は、髄膜腫の圧迫により嚥下障害と右半身の麻痺が残った。
手術により腫瘍を取り除きたい三瓶だが、周辺を少しでも損傷すると重度の障害や命の危険を招く場所にあり周囲が躊躇したため、2期的手術を提案する。
1度目の手術では嚥下障害が改善せず、三瓶はやはり血流を改善するため0.5㎜の血管を縫合する2度目の手術をするしかないと考える。
手術を受けると決めた患者だが、その後も家族との関係を含めて心が揺れる。
その胸のうちを知った川内は、手術中不測の事態で手が止まる三瓶に代わり、高難度の手術を驚異のテクニックで成功させた。
川内は元気を取り戻した患者を優しく見守るものの、自分の場合は手術することも不可能な状態と知ったため、落ち込んでしまうのだった。
【11巻のまとめ】
三瓶への気持ちが日に日に強くなる川内は、迷惑をかけたくないと思うあまり、自分で解決策を見い出そうと大迫教授のもとへ。
そこで三瓶と大迫教授の確執と、記憶障害の真相を知った川内。
自分が手術不可能な状態であることを目の当たりにし落ち込む川内だが、三瓶はまだ何も知らないのだった。
【11巻の見どころ】
この巻の見どころは、三瓶と川内の深い絆が試される瞬間と、医師としての倫理的ジレンマが交錯するシーンです。
三瓶がスキー場で遭難し、必死に薬を手に戻る姿には、彼の責任感と冷静さが光ります。
さらに、脳出血患者の手術において、綾野と三瓶が見せる見事な連携プレーは圧巻です。
その後、川内が三瓶に抱く気持ちが強まる中、過去の秘密が明らかになり、三瓶と大迫教授の確執が浮き彫りになります。

次巻へ続きます。
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