そこで三瓶と大迫教授の確執と、記憶障害の真相を知った川内。
自分が手術不可能な状態であることを目の当たりにし落ち込む川内だが、三瓶はまだ何も知らないのだった。
12巻のあらすじを振り返ってみましょう。
ヘッドハンティングを受ける星前
星前の下で救命救急医を目指したいと、丘陵セントラルに残ることを希望する風間。
全科専門医レベルを目指す星前が中心となっているチーム医療を体感し、心を決めたようだが星前は戸惑いを隠せない。
星前には医大から准教授として戻ってきてほしいと声がかかっていたのだった。
ある日、三瓶の外出中に処置を受けた患者は意識がはっきりしていることから、星前は「診断が下るまで経過観察で良し」と風間に指示を出して外出する。
しかし、風間から緊急手術になったと連絡を受け星前は急いで病院に戻る。
受傷後、意識清明なことからその後の血腫増大を見落としてしまう「トークアンドダイ症候群」と思われたが、星前が出かけた後も患者のそばで観察を続けていた風間のおかげで、早期発見し大事には至らなかった。
西島同窓会長の宣戦布告
風間にも背中を押され医大に戻る準備を進める星前は、教授と西島同窓会長の話を偶然聞いてしまい、准教授としてのヘッドハンティングの件は丘陵セントラルを陥れるためだったと知る。
准教授として引き抜かれても早々に地方へ左遷させられるであろうことを知った星前は、准教授の話を蹴って丘陵セントラルに残ることを決めた。
しかしその後病院中の40名もの医師に医大へ准教授として戻るようにと声がかかり、丘陵セントラルは騒然とする。
西島同窓会長の宣戦布告に、理事長は静かに闘志を燃やすのだった。
PTSD
三瓶はびまん性軸索損傷で入院していた患者の術後の診察を行っていた。
経過は良好と安心するものの、事故の夢を見ることが増えPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされていた。
数カ月で落ち着く症状だと、抗不安薬の処方で対処する三瓶は、ふと川内に「大丈夫か(PTSDのようなフラッシュバックはないか)」と尋ねる。
川内は「自分には事故の記憶がないから大丈夫」と胸をはるが―。
理事長の反撃
保健福祉局を訪れた理事長と院長は、西島同窓会長と松木保健局長に「医師を40人も減らされては病院を維持できない」と訴える。
だが西島同窓会長は地域医療構想に沿って西島病院を建て替えることを口実に、「地域医療構想をないがしろにする病院に医師派遣の協力はできない」と譲らない構え。
単刀直入に「要求は何か」と尋ねる理事長に、松木保健局長たちは「増床を撤回し、綾野病院の合併で増えた80床は西島グループに渡せ」と要求する。
窮地に陥った理事長は、古い知人を呼び出し、お茶を飲みながらのんびり相談を始めた。
いったい誰と話しているのかと困惑する院長だが、その後、松木保健局長は知事に呼び出されることとなる。
市民から救急医療の充実を望む声が届いたことを告げつつ、知事選を前に揉め事を上手く収めるよう、松木保健局長に指示する知事。
実は理事長が頼った知人は、地域の患者団体を束ねる一人であり、それは知事の支援団体でもあるのだった。
恐怖がフラッシュバックする川内
大迫教授のもとでMRI再検査を行った川内は、帰り道に西島同窓会長たちと遭遇するが、記憶がないにも関わらず強い恐怖を感じて逃げ出す。
丘陵セントラルに戻っても恐怖と不安が消えず、震える川内を皆が心配する。
体験を記憶している偏桃体は無事なため、川内は記憶障害により原因が自覚できないだけでPTSDの症状であると分析する三瓶。
一方そのころ、松木保健局長から呼び出された院長と理事長は、新たな提案を受ける。
「綾野病院からの増床分を救急用ではなく回復期用に充てるのであれば、地域医療構想とも上手くマッチし、県として面目を保てる」ということだった。
そして、西島同窓会長は「これまで以上に医師を派遣する代わりに、救急用の病床をこれ以上増やさない確証が欲しい」と迫る。
さらに、川内の記憶が蘇ることを恐れる西島同窓会長は、「救急部門を牽引している三瓶を地方に異動させてはどうか」と言い出した。
しかし三瓶には異動を受け入れる意思はなく、また三瓶を名指ししてきたことに何か裏があるのではと訝しむ。
一方の西島同窓会長は、三瓶の異動に関して動きがないと分かると、次は川内の記憶障害の原因を三瓶に教えれば、三瓶は川内の手術を決断、間違いなく手術は失敗し川内の意識は二度と戻らなくなるはず…と企む。
その後川内は、何気ない会話で再びPTSDの症状が現れパニックを起こす。
川内は恐怖体験の記憶も呼び覚まされるが、迷惑をかけたくないと三瓶には相談せず、成増にだけフラッシュバックした記憶を打ち明けた。
しかし、そのドアの向こうでは三瓶が静かに耳を傾けていたのだった。
事故と記憶障害の原因
三瓶の起こした大学病院での事件で指導責任を問われてポストを失った後、西島同窓会長に現在の病院に戻してもらった恩がある大迫教授。
2年前から西島同窓会長や建設会社、銀行の思惑が絡み合う贈収賄に加担させられていた。
今になってその告発を決意した大迫教授は、警察に全てを話す前に川内に記憶障害を負うこととなった事故の原因を明かそうと呼び出す。
当時、西島同窓会長が医大建て替え反対勢力の一人を脅して買収しているところを目撃した川内は、その場から離れ急いで車で逃げ出した。
しかし後を追われた川内は自動車事故を起こした、というのである。
そのころ、三瓶は川内のPTSDの原因が西島同窓会長だと分かり、本人を訪ねていた。
すると西島同窓会長は、事故の原因については話そうとしないが、川内の記憶障害の原因を話すのだった。
大迫の告白
警察にすべてを打ち明けた大迫は、三瓶に会いにやってきた。
数々の共通点から出会ったときには、まるで他人とは思えなかったという二人。
大迫は幼少時代早くに父親を亡くしたことや、知的障害者の姉について三瓶にぽつりぽつりと語ったのだった。
母親と共に苦労を重ねた大迫は、重症児家族が生きづらい世の中を変えたいと思っていたはずなのに、いつの間にか複雑な道に迷い込んでしまっていた。
【12巻のまとめ】
西島同窓会長は自身の野望のため、丘陵セントラルに先制攻撃を仕掛ける。
そして、川内はPTSDを発症し恐怖の記憶を呼び覚ましてしまった。
事故の原因を知った川内と、記憶障害の原因を知った三瓶はどう立ち向かっていくのか。
【12巻の見どころ】
この巻の見どころは、星前が医大からのヘッドハンティングを受けて迷うシーンと、川内のPTSD症状が浮き彫りになる瞬間です。
星前が丘陵セントラルに残る決断をする際、風間の観察力で患者の命を守る場面では、医師としての成長とチームの絆が感じられます。
また、西島同窓会長の陰謀に巻き込まれた星前が、病院の未来をかけて戦う姿にも注目です。

次巻へ続きます。
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